突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
地方性のないお土産として挙げられるものとして、なにがあるだろうか。
何か竜の巻き付いた剣のキーホルダー。
ガラスの中にレーザーで彫刻された置物。
チョコレートをランドグシャで挟んだお菓子。
まあ色々あるが、今回はスノードームについて話す。
これはガラスの球体内に液体が満たされた置物で、中に小さなフィギュアが入っている。
ひっくり返すと中身が撹拌され、液体と一緒に封入された白い粉が雪として降る、という仕掛けの置物だ。
基本的に雪だるまなんかが入っているが、お土産としては中のフィギュアをご当地ならではのものにしていることが多い。
そうするとなんで雪が降っているのかよくわからないシチュエーションになっていたりする。
代わりにスパンコールを封入してあったりするがそれはそれで変だったりする。
今回はスノードームが出た話だ。
切断したスリッパだが、結局倉庫の肥やしになった。
まあ当然である。見えない足場が生成されるのはスリッパの裏側のみ。
足の外側だけでふんばれと言われているようなものである。
兄は伊達や酔狂で生きているので、使えるかどうかで発想していない。
あの人は面白ければいいのだ。
その関係で実用まで至らなかったガラクタも結構増えていっているのだが。
N・ライターを改造して作った火炎放射器は、最終的に派手な爆発を起こして実験していたサメもどきが1体消滅する羽目になったわけだし。
しかし、本当にヤバいものには直接手を出さないあたり、異常に嗅覚が鋭い。
本当に何なんだろうな、あの人は。
さてガチャを回そう。
R・スノードーム
今回出現したのはスノードームだった。
ガラスでできた球体の中に、この……なんだ? この建物は。
奇妙な形状の建物が球体の中に建っている。
わずかに浮いている雪の粉が落ちていく光景と不釣り合いですらある奇妙な印象を受ける。
円柱を組みわせて重ねたような形の建物なのだ。
SFに出てくるような建物だといえる。
だがどのような文化でそのような建物が形成されるのか微妙なところだ。
ひっくり返してかき混ぜてやると中の白い粉がぐるぐると渦巻く。
普通のスノードームだな……。
渦巻く雪は綺麗で、建物の見た目はともかく雪は綺麗に降りそうである。
そっと、机の上にスノードームを置き直す。
それと同時に、スノードームを中心に映像が投影された。
スノードームの光景を拡張するかのように広がった映像は、どこからかやってきたドラゴンが建物に炎を浴びせている。
は?
というかめちゃくちゃ大きな音で火炎放射器みたいな音を立てていて騒々しい。
雪はどこに行った。
燃え上がり灰と化していく建物。
それが中の液体の対流に乗って灰として降り始めた。
ああー、雪だと思ってたのは建物の灰かぁ……。
後日。兄がスノードームを、ダンジョン探索の囮につかうようになった。
何しろ、やたら派手で轟音を立てるのである。
モンスターの警戒を集めるのにうってつけだ。
いやいやいや、そういうものじゃないでしょこれ……。