突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
土台となる部品に、2枚の金属の刃を組み合わせることで表面を薄く切り、剥がすことを可能としている。
ただこの工具の扱いは非常に難しく、切れ目なく削り取れる事ができるということはそれだけつっかえることなく扱うことができているということである。
そして表面を均一に削り取るには、つっかえていてはいけない道具なのだ。
下手に扱うとどう頑張っても表面をえぐり取ってガタガタにすることしか出来ないので本当に扱いが難しい道具なのだ。
今回はその鉋が出た話だ。
スノードームをよく観察していると、その中に人のような生き物がいる事がわかる。
ドームを振り回してもとくにその動きに巻き込まれる様子がないので中央の建物の付属品のようなもののようだ。
もとより拡張現実のような虚実のわかりにくい景品であるが、ずっと見ていると建物を直す人の営みが見えてくるのはこれをひっくり返す罪悪感に駆られる。
まあ兄は全く気にしないでひっくり返すのだが。
そのたびに違う災害に襲われる建物が悲惨すぎる。
まあいいか。
今回のガチャでも見よう。
R・鉋
今回出現したのは大工道具の鉋だ。
黒い2枚の刃が噛み合ったかなりしっかりした作りの鉋で、側面に焼印が押されている。
しかし相変わらずどこの文字かわからない字が刻印されていてそれが何なのかはわからない。
土台の木材の手触りはサラサラとしていて手に馴染む。
しっかり掴んで使えそうだ。
しかし鉋か。
機能がシンプルなぶん、普通に使えば一目で効果がわかりそうな気はする。
ようは削ればいいのだ。
削って磨く道具なのだからそうすればいい。
とはいえ手頃な素材は……、あった。
テラスを作ったときの端材だ。
兄が適当に買い込んだ木材のあまりが少しある。
苗木から育った木材を使うようになってからこっちに見向きもしなくなったので別に使ってもいいだろう。
適当に台を組み、木材を乗せ、鉋を滑らせるように削る。
切れ味の良い刃はするすると気持ちのいいように表面を削れる。
これは良い鉋だ。
とても扱いやすい。
思わず、セットした木材が薄々になるまで削りそうになる。
もう一度削ろうと鉋を戻したその時だ。
鉋の削りカスを吐き出す部分が、カスを吸い込んだ。
は?
削ったはずの表面が元に戻っている。
いやそれは正確な表現ではない。
よく見れば、そこに張り合わせたかのように削った木材がくっついている。
指で剥がそうとしてみるが、完全に癒着しているようで少しも動かない。
えっ。
そういう?
そっと木材を削って、削り節をつなげたまま、近くにあった石に滑らせてみた。
結果、石の表面に木材の膜が張り付いた。
はじめからそうだったかのように完全に一体化している。
えっ?
後日。兄が鉋でヒヒイロカネを削って、
なんで金属のインゴットを削れているのか。
電気を流しながら鉋がけしているからなのだが。
恐れ知らずというかなんというか……。