突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
扇風機とは、羽を回して風を起こすことで、涼しさを作り出す機械だ。
人は体の周りに空気の層を持っており、それは通常体温で温まっているために風で剥がす事によって涼しさを得ることができるのだ。
最も、まとっている空気よりも大気のほうが暑かった場合、それは熱風でしかなく逆に体温が上昇してしまう結果になるだろう。
わからないと思うならサウナで手や足に向かって息を吹きかけてみるといい。
吹きかけられた部分が熱に晒されるはずである。
今回はその扇風機が出てきた話だ。
発掘ダンジョンの6層にはたまに杖持ちのスケルトンが出る。
この杖は前にも言ったとおり、振ると魔法が飛び出す不思議アイテムである。
杖の中に魔法の書かれた紙をいれることでその書かれた魔法が誰でも使えるということは、この杖になにか秘密があるわけだ。
最も紙自体も投げれば誰でも魔法が使えるので、使い方の差でしかない。
ということはこの金属の杖は魔法を伝導する性質があるわけだ。
この金属を制作したり、加工できれば魔法利用の幅が広がるような気はする。
兄は実験のためと言って杖を鉄琴にした。
見なかったことにしてガチャを回そう。
そろそろ高レアないいものが出てきたりしないだろうか。
というかそもそも同じ景品が出ててきたことがないのでレアリティの差にほとんど意味がないように思える。
R・扇風機
見た目は普通の家電が出てきた。
季節商品のあの扇風機だ。
普通のタイプの扇風機で一見構造におかしなところがあるようには見えない。
いや、色はそうではないな。
通常涼を感じるもののために寒色を使用される。
だがコイツは羽が赤いのだ。
それだけに回転している姿は相当暑苦しかろう。
電源はUSBケーブル、サイズは一般家電。
そして選べる風量は弱・中・強・最強。
なんだこいつ。
首振りが普通のピンを引っ張るタイプなあたりよくわからん。
とりあえずポータブルバッテリーと接続して、弱でスイッチを入れる。
ゆるゆるといった速度で回り始める扇風機の羽。
……なんか、もわっとした風が来ているぞ?
うん?
なんというかもったりとした空気が流れてきているような気がする。
弱じゃよくわからないのでささっと強を入れてみる。
……熱っつ!
真夏の風!
扇風機から真夏の風が!
熱風を吹き出す扇風機があるか!
慌てて電源を切る。
強でこれということは。
最強は一体どうなってしまうんだ。
後日。兄が最強を試した。
夏の気温を超え、一瞬で部屋をサウナ室にへと変えてしまうその火力に戦々恐々としていた私を見ながら、即座にダンジョン内にサウナを作成するあたり何が何でも使い倒すという意志すら感じる。
最も兄はサウナを利用するような人間ではないので作ったのは完全に勢いだ。
いつものことだがどうかしている。