突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
ピンボール。傾いた盤面に金属球を転がし、フリッパーと呼ばれるヒレのようなパーツを操作して弾き、得点を稼ぐ遊具である。
設計や筐体が古いことから、その構造はめちゃくちゃに複雑になっており、裏面は配線のおばけである。
現在は専門の修理工でしか直せない。
部品が残っておらず、その設計図も残っていないためだ。
そんな状況であるにも関わらず、これは定期的なメンテナンスを必要とするのだ。
現在ではゲーム機というよりかはアンティークとしての価値が高い物だと言えよう。
今回はそのピンボール台が出てきた話だ。
発掘ダンジョンだが、実は6層から様相が変わってきた。
これまでは遺跡然とした迷宮だったのだが、6層は廃墟の街といった状態だ。
6層には天井がなく、常に星が見える夜の天蓋が広がっている。
廃墟の街が広がっている以上、文明の痕跡がそこかしこに散らばっているのだが、兄は興味を示さない。
兄の今の興味は魔法一択であり、ダンジョンの文明そのものではないからだ。
しかし私は人以外の知性体文明の痕跡は興味がある。
スケルトンを見るにヒューマノイド、すなわち人型生命体であることは間違いないのだが。
発掘ダンジョン内はまだまだ危険地帯、というか4層より先の完全制圧も終わっていないので私は見に行くことが出来ない。
とはいえ、行けたら行けたでろくな目にあわなさそうな気もするんだよなぁ……。
すでにガチャという災厄を被っているわけだし。
そのガチャも今日の分はこれだ。
R・ピンボール台
出現したのは一見普通のピンボール台だ。
問題があるとすれば、見たこともないキャラクターがディスプレイ部に描かれ、見ていると不安になる造形をしていることだろうか。
人型なのに腕が4本見えるし、その長さの比率もまちまちな上、デッサンが崩れているのでこう、心の内がザワザワするのだ。
ピンボール本体はというと、これもまたあれだ。
よく見るとホログラムだ。
バンパーの裏にうっすらとなにもない背景の盤面が見える。
え、ホログラムなのにボールを弾けるんですか?
というかめちゃくちゃしっかりしたホログラムで視点を変えて観察してみても全くブレがない。
こういうホログラムは大体視点を変えるとブレるのだが。
試しにワンプレイやってみるか。
湧きスポット産のコインを投入すると、ボールがセットされる。
あ、このコインでいいのか。
ボールはトリガーを弾いて飛ばすタイプのようだ。
拳を振り下ろして球を発射する。
バネとボールの手応えを感じるとともに、発射されたボールが実体のあるものだと理解した。
そしてそのボールはホログラムのバンパーに弾かれて吹き飛ばされる。
あまりに激しく飛ぶものだから私は反応できずに、ボールを落としてしまった。
上のキャラクターの横に点数が表示される。
かろうじて3桁の数字が表示されているが、バンパーに1回吹き飛ばされるごとに50点程度入っていたので本当にゴミみたいな得点だ。
カラン、と何か音がして、ピンボール台の下を覗き込むと、そこにはガムボールが。
ポイントに応じてガムボールをくれるとかそういう?
なお味は言葉にし難い味で、強いて言うなら風邪を引いた時のタンのような味だった。そこもポイント比例なのかよ。
後日。
兄がピンボール台から謎の金属球を生成していた。
曰く、カンストするまで弾き続けていたら出てきた、と。
異常なほど高品質化したガムボールが金属と見間違えるほどの強度を獲得したとしか思えない。
兄に何かしら新しいのを与えると妙なことを引き出すのはなんなの?