突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
座椅子。一般的にちゃぶ台などの高さに合わせて作られた椅子だ。
座面がほとんど床と同じ高さに来るように作られ、背もたれが身体を包み込むような形状や材質で作られていることが多い。
これは普通の椅子と比べても姿勢が変わりやすいため、きちんと形が出来ていないと背もたれとしての意味がなくなってしまうためだ。
また近年はインテリアとして利用されるため、派手で鮮やかな色合いのものが多い。
今回はその座椅子が出てきた話だ。
ここのところ毎日のように発掘ダンジョンに潜っていたからか、兄が猫のように伸びていた。
テラスから出てすぐの日当たりの良い草原に、ほとんど死体のように動かない状態で兄が寝転がっていたのだ。
ああ、これは精神力が尽きたな。
基本的にテンションが高く、思いつきをすぐさま実行に移す兄だが、数ヶ月に一回ぐらいの頻度で、全く動かなくなる。
見るからに電池が切れたかのように動かなくなるので初見ではかなり驚く。
もっとも医者にはただ体力が切れているだけで躁鬱ではないと言われているので、無視するのがいつもの扱い方だ。
動かなくなる場所も大体安全な場所であるし、突然動かなくなるわけでもないので本当に心配するだけ損だ。
でかい図体をして奇妙な伸び方をしているのでぎょっとしてつい声掛けされがちなのだ。
周りに迷惑かけるのやめてくれない?
うーん横で一緒に伸びてるサメ妖精のシャチくんがかわいい。
さて今日のガチャだ。
ろくでもない物が出てきませんように……。
いや、このガチャそのものがろくでもないものだから何が出てきてもろくでもないのでは?
R・座椅子
出現した物は旅館などで見るタイプの、木を曲げて作られた座椅子だ。
座面に円形の穴が空き、その上に座布団を敷いて座るタイプのものである。
本当に旅館などで見かけそうな、作りのしっかりした座椅子であるが……。
まあこれは一目でこれが異常だとわかるわな。
これがおかしいとわからないやつは目が節穴で出来てるか、そういう世界から来た奴だけだわ。
そう、腰掛けるのに丁度いい高さで浮いているのである。
浮いているために摩擦がないのか、ゆっくりと回っている。
手で座面を押してみたりもするが、一定の高さを保とうと反発する感覚がある。
……なんでこれ座椅子なんだ。
しかも木製の。
ご丁寧に、座布団がついてないし。
座るのに丁度いい高さ、というのはとどのつまりキャスター付きのオフィスチェアの座面の高さなのだ。
超技術を使ってまで浮かせる必要がない。
普通にオフィスチェアでいいのだ。
オフィスチェアの足を筒の中で浮かせてやるだけで十分すぎる。
なんで座椅子を浮かせたんだ……。
そっと座布団をセットして座ったら勢いよく座椅子が滑り出した。
座布団というすっぽ抜けやすい敷物に座っていた私はそれについていけず、座椅子から滑落。
摩擦がないからこうなるんだよ!
後日。案の定兄が座椅子に座ってエアホッケーのごとく実験室を縦横無尽に滑っていた。
キャスター付きの椅子でやるのと対して変わらないアレなのではしたないからやめてほしいんだが……。