突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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SR 冒険者ギルド その2

 創作において、冒険者ギルドという組織は複数の機能を有している。

 多いのは討伐対象の解体と買取だろう。これはモンスターをハントするアクションゲームを由来とする機能である。

 何であれ討伐したモンスターを解体して買取してもらわなければ金にならないので合理的ではある。

 なんにせよ、窓口は一元化すると利用する側としてはとても便利である。

 

 今回は、冒険者ギルドの機能について話そうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兄が依頼を利用して、私の知らないダンジョンの調査を行っていた。

 どうもこのギルドは私の知らない地点に接続されているらしく、周辺を含めて地図作成を依頼すると、その場所の地図が上がってくる。

 どうにも日本の風景じゃない、というか見たことがない鉱石サンプルなどを持って帰ってくるので異世界とつながっているっぽい。

 図鑑と照らし合わせても似たようなのがないんだよな。

 

 というかこれも鉱石サンプルじゃなくて生体組織の一部、有り体に言うと何らかの生物の骨らしいんだが。

 こんな結晶構造の骨を持つ生き物がいるってこと?

 異世界やべー……。

 

 さて。

 今日はガチャから出てきたこのN・最後の鍵束を使ってこの冒険者ギルドの屋荒らしをしようと思う。

 この最後の鍵束は、たとえどんな施錠であってもこれを使えば何でも開けられるという鍵が12本引っかかった鍵束だ。

 最も、一回使うと、中程から不自然に断裂して折れるので普段遣いできない。

 いやこんなもん普段遣いしようってのはどうかと思うが。

 カードキー式のオートロックマンションでも開けられるから本当に危ない。

 

 屋荒らしをしようと思った理由だが、このギルド、あちこちにそのギルドとしての機能を有した部屋があるようなのだ。

 だが利用できない。

 利用できない理由は簡単で、鍵がかかっているのだ。

 何故か受付で利用申請はできるのだが、受付が鍵を持っていないために受付の人がその扉の前まで行って立ち往生するのだ。

 そこでNPCの処理が止まってしまっている。

 

 なので今回何でも開けられる鍵で開けてしまおう、と思った次第だ。

 現状、使える機能が冒険者登録と依頼と食事の注文だけだからな。

 注文できる食事は異国風で濃い味なのだが、食べているとご飯が欲しくなる。

 というか食材からして異世界だが。

 走りきのこのスープってなに?

 

 とりあえず手前の鍵がかかった部屋から開けていこう。

 がちゃりと開いた先にあったのは血溜まりだ。

 明らかに床が血を受けることを前提にタイル張りにされている。

 ということはここは獲物を解体する部屋、ということか。

 大掛かりな包丁やら、吊り上げる用のフックやらがそういう部屋だと教えてくれる。

 

 獲物を外から搬入するようの大きな扉もあり、閂が掛けてある。

 その扉にあるのぞき窓から外を覗くと、街道やら商店の倉庫やらが見えたので兄には黙っておこう。

 

 次。

 開けた先にあったのは資料室だ。

 図書室のような部屋だが机にホコリが被っているあたり、相当使われていない部屋なのだろう。

 適当に本を取って読んでみるが、どこの国の文字かわからない……というかそもそも達筆すぎて文字が認識できない。

 せめて絵が入っているものがあればいいのだが、この中から探すのは面倒そうだ。

 

 次。

 これは特別でかい扉で、エントランスから奥に進む扉だ。

 どちらかというと外から強い力が加わっても壊れないように補強してあるといった印象で、ドアノブを鎖で縛り付けて鍵をかけている。

 鍵を外すと思ったよりも大きな音がした。

 

 重い扉を押し開けるとそこにあったのは訓練場。

 開けた先に教官と思しき人物が立っていてこっちを見た、ような気がしたので驚いて声をあげてしまった。

 あげた声に反応しなかったのでNPCのようだが。

 というかこの人、私が鍵を開けるまでずっとここに閉じ込められてたの?

 

 訓練場か。

 木の剣を始めとして訓練用の武器やら、訓練用の機材やらが適当に脇に押しのけられていて、それにグラウンドはなにか無理やり均したといった印象がある。

 適当に木刀を持って振ってみるが特になにかが起こるわけではない。

 わかってはいたが。

 

 NPCのおっさんが一人閉じ込められていたぐらいで面白いことは特になかったな……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。兄が訓練場を使ってやらかした。

 この訓練場、どうもRPGから持ってきたようなシステムらしく、金を払うと経過時間で能力やスキルが上昇するようなのだ。

 その訓練のゆるさは、なんと訓練場に指定時間いるだけで訓練が達成され、能力が上昇するのだ。

 それを理解した兄は、大量にある金貨を訓練場のおっさんに払い、サメ機人(シャークボーグ)20体を訓練場に閉じ込めたのだ。

 

 3日後出てきたサメ機人(シャークボーグ)はそれはもうムッキムキになっていた。

 これまでとは比べ物にならないほど素早く、怪力になっていたのだ。

 一体いくら金貨を渡したんだ。

 というかなんで訓練場にレベルキャップがないんだ。

 そして、どうして利用方法がわかったんだ兄よ。


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