突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
かき氷。氷を削り、ふわふわにしたものにシロップをかけて食す食べ物だ。
その関係上、誰でも簡単にアレンジできる食べ物でもある。
かけるシロップを変えるのはもちろん、練乳を足したり、あずきをかけたりするのは基本として、ソフトクリームを添えたり、野菜を凍らせたものを削ったり、山のように盛り付けたりと様々なアレンジが存在する。
今回はそれを作る機械、かき氷機が出た話だ。
液体経験値タンクは、結局湧きスポットのそばに設置されることになった。
いちいち担いで戦闘させるのが邪魔になった、というか、湧きスポットの脇に置いておいたほうが効率が良かったのだ。
小一時間で初期の量の2倍は増えているので相当な効率のようだ。
そこまでして出来た液体は、少年魔法使いくんが飲まされている。
ろうとを口に突っ込んで無理やり流し込むその姿は完全に犯罪のそれであり、そんな状況で薄い微笑みを浮かべている彼があまりに不憫だ。
そして結局邪魔だから簀巻きにされたまま
大雑把な指示しか出せない少年魔法使いくんが足手まといになるのは分かる。
兄は常に大量の
兄も
兄に怪我されるのは困るから少年魔法使いくんを簀巻き扱いするのを止めるわけにはいかないのが困ったところだ。
能力が向上すればその扱いも改善される……はず。
考えを切り替えよう。
ガチャを回そう、そうしよう。
いやガチャは回したくないのだが。
R・かき氷機
出てきたのは、ペンギンがデザインされたかき氷機だ。
頭の上にハンドルが付いていて、胴体の中に皿を入れるシンプルなタイプのかき氷機だ。
かき氷機としても一番安いタイプではなかろうか。
しかし季節外れな景品である。
夏の暑い時期ならありがたいかも知れないが……。
とりあえず試してみよう。
冷蔵庫にあった氷を投入。
うっかり冷蔵庫にあった氷をすべて持ってきてしまったので、後で水を補充して置かなければ。
ハンドルを回して氷を削……ハンドル重っ!
異常なほどハンドルが重い。
総プラ製にしか見えないのに、金属で作られているかき氷機の刃が噛んだ時みたいな重さがある。
ハンドルが全然回らんのだが!
仕方ないので本体を固定しながら、ハンドルに掌底を打ち付ける。
この方法で無理やり削ったかき氷は舌触りが悪くなるのだが回らないので仕方なかろう。
最悪不味かったら兄に回そう。
そこまでして削り出した氷は、ふわふわを通り越して、クリーム状だった。
というか、現代の科学では作り出せないような気がするレベルのふわふわを実現してしまったため、クリームのような状態になってしまったというべきか。
ありえないほど薄く、ありえないほど軽く、ありえないほど空気と溶け合った、究極のかき氷といえよう。
味?
タダの氷だからそんなもんないよ。
後日。兄がかき氷を使って防護服を試作していた。
あのあとかき氷を兄に食わせようと思って放置していたのだが、何時間経とうが一向にかき氷が溶けなかったのだ。
それを知った兄はすぐ緩衝材として服に詰め始めたのだ。
いくら溶けないからといってかき氷を服に詰めるのはどうかと思う。
そこまでして作った防護服は成果はというと、微妙だった。
一般で売っている綿が詰まっているような物と比べて少しだけ優秀、というべきか。
ダンジョンで使う防護服としてはゴミ、というべきか。
防護服にはなったけど、思っていたような性能は出なかった。
まあ、かき氷だしな。