突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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R 成分抽出器

 成分抽出。それは固体や液体から特定の成分だけを取り出す作業だ。

 簡単に言うと、お茶の葉を煮てお茶を作る作業を抽出という。

 当たり前だが現代の科学はこれが無くては成立しない。

 なぜなら抽出とは、人類が手に入れた最古の化学的な分離手法だからだ。

 ある種の植物や血清のように、何らかの液体や固体の中に薬の成分が溶けていることは多い。

 多くの場合、薬の成分以外は必要ではなく、逆に害を齎すこともある。

 そうでなくても、純粋な物質というものは、成分の変化が予想しやすく科学的に非常に扱いやすい。

 

 今回はその成分抽出を行う装置が出た話だ。

 やかんではないぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兄がいそいそと次の発掘ダンジョン攻略の準備をしていた。

 現状の戦力では攻撃力不足で、あのドラゴンを倒すにはまともな武器がないのだ。

 まあ、サメ機人(シャークボーグ)の基本武装は拳で、とにかくその筋力で相手を打ち抜く戦法を得意としているからな。

 それが通じない相手となると、相当厳しくなる。

 

 そのため、兄が用意した武器はヒヒイロカネの大型ハンマーだ。

 シンプルな武器だが、サメ機人(シャークボーグ)の筋力で振り回すと簡単に発掘ダンジョンの壁を破壊できる。

 

 それに、あとはヒヒイロカネの剣だ。

 これはサメもどきにも持たせていたものと同じだが、サイズが違う。

 刃が恐ろしいほど肉厚で、まさしく鉄塊、と形容されうる。

 というか2メートル近いサメ機人(シャークボーグ)の体格に合わせて作られているため、3メートル位あるんじゃないか?

 

 そしてでかい武器をもたせたためにこれまでの連携が使いづらくなってしまった。

 振り回せば当然隣に攻撃が当たってしまう。

 そのため、並んで連携が取れるように訓練をしていたのだが……。

 

 翌日見たら武器が槍と盾に変わっていた。

 ファランクス……!

 

 いいや、ガチャ回そう。

 どうせろくでもないんだから、兄が死ななくなるような景品を出せよ~このやろー。

 

 R・成分抽出器

 

 出現したのは針のない注射器だった。

 注射器……というか、全体的にプラスチック出来ているし、いわゆるシリンジ? と呼ばれる物のようだ。

 科学実験に使うようなタイプのものだな。

 片手で扱うには少し大きい。

 

 しかし、成分抽出器?

 普通はそういうのは、化学的に薬品を入れたり、遠心分離機にかけて分けたり、溶媒(要するに水だ)に溶かし出したりするものだと聞いているが。

 

 いや、このガチャに常識とか説いても仕方ない。

 明らかに日本語を誤用している物品が出たことは一度や二度じゃない。

 

 まあいいや。注射器である以上、吸い上げて吐き出させればなにかこれの持つおかしさがわかるだろう。

 そう思って、飲んでいたりんごジュースに先端をつける。

 自販機から出てきたもので、あの妙に高いが美味しいやつだ。

 

 じゅじゅじゅ、と押し子を引き上げる。

 引っ張っていけば中身に液体のようなものが溜まっていくのが見えるが、何故かりんごジュースの方は量が変化せず、その色味をどんどん失って透明になっていく。

 

 筒の中に溜まっている液体がものすごく黄色いんだが……。

 え、こわ。

 一体何を抽出したというんだ。

 そっと別のコップを用意し、その中に吐き出させる。

 一気に、そいや!

 

 コップの中に吐き出されたのは黄金に輝くりんごだった。

 え?

 

 丁寧に8分の1カットされたりんごが、コップに入っている。

 これが、あの注射器から?

 え?

 

 なお、残ったジュースは、甘いだけの液体になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。兄が、成分抽出器をサメ機人(シャークボーグ)に使っていた。

 なんと抽出されたのはサメで、空を自由に飛んでいることと兄の言うことを聞くことと人を襲わないこと以外はホオジロザメそのものだ。

 そして残ったサメ機人(シャークボーグ)は、搭乗式の3メートルほどあるロボットになっていた。

 えー……なにこれ……。

 恐ろしいことに私でも簡単に操縦できる上、フットワークが凄い。

 

 というかサメもどきとサメ機人(シャークボーグ)はどこかコミカルだったから怖くなかったけど、ホオジロザメは流石に怖いよ!

 片付けなさいよ!

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