突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが?   作:内藤悠月

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R かっこいいカブトムシ

 カブトムシ。主に小学生5年生男子に大人気の昆虫である。

 長く突き出た角につややかな外殻がロボのようなかっこよさを生んでいるのだ。

 また世界各地で異なる造形のカブトムシが存在し、それらもまた独特な色合いや角の形状でかっこよさを主張している、ような気がする。

 いや私は虫があんまり好きではないのでよくわからないのだが……。

 

 今回はカブトムシが出た話だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兄のダンジョン攻略は難航している。

 原因はただ一つ、サメ機人(シャークボーグ)が重いことだ。

 サメ機人(シャークボーグ)が重いため、カヌーのようなものを作って用意しても乗せると沈んでしまうのだ。

 ちょっと想像すればわかると思うが、サメ機人(シャークボーグ)はサイボーグであるため金属の塊である。

 当たり前だがカヌーのような個人用の小型船はそんな金属の塊を載せることを想定していない。

 あくまで人間が乗ることを考えて作られるものだからだ。

 

 というわけで兄はサメ機人(シャークボーグ)が乗っても沈まないような船を作るところから始めなければならなくなったのだ。

 鉄の塊を浮かせるにはどれだけの大きさのバラストが必要なのかいまいちわからん。

 

 ドローンで飛ばそうにも数が足りないという。

 まあ兄のことだからどうにかするだろ、多分。

 

 さて、ガチャを回そう。

 ろくでもないものがでないといいな、とか言ってるとだいたいろくでもない物が出るのでここ最近は可能な限り無心で回すことにしている。

 

 R・かっこいいカブトムシ

 

 oh……。

 小学5年生男子が喜びそうなものが出現してしまった。

 

 それは虫かごに入れられて出現したカブトムシだった。

 甲殻の色からして日本の在来種のように見えるが……。

 

 そう、思いっきり改造されているのである。

 それも樹脂粘土で。

 

 角に盛り付けた後、ヤスリで削ったのか食玩のフィギュアも真っ青なエッジの効いたデザインに変わってしまっているし、カブトムシの額、とでも言っておくべきだろうか、そのあたりの位置にブレードアンテナのように鋭く尖った角が増設されている。

 幸い未塗装だったために人為的に改造されたことがわかるが、塗装なんてされていたら新種じゃないかと慌てるハメになったような気がする。

 

 角につけられた樹脂粘土が重いのか、カブトムシはよろよろとした動きをしている。

 悲惨な姿だ。

 

 小学生が考えるかっこいいを詰め込まれたせいで生き物としての機能を損なわれている。

 生き物の命を尊重できないことは、こんな残酷なことを招いてしまうのか。

 

 妙にしんみりした気分になる。

 兄には隠しておこう。

 ろくなことにならなさそうだし……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 後日。兄が見つけたカブトムシからカブトムシを抽出して、サメ機人(シャークボーグ)に注入していた。

 こ、こいつ、こいつー!

 残された“かっこいい”は直視できないなにかになっているし、注入されたサメ機人(シャークボーグ)ももうサメなのかカブトムシなのかわからん姿になってるじゃないか。

 注入されたサメ機人(シャークボーグ)も角を持て余してバランスを崩しているし。

 こいつ倫理観がない。

 

 というか今思い出したぞ、この改造カブトムシ、兄が小学生5年生だったときにやらかした奴じゃねーか!

 こいつなにも成長していない!

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