突然部屋にガチャポンマシンが出現して、しかもめちゃくちゃ邪魔なんだが? 作:内藤悠月
ジーパン。染色したデニム生地によって作られたズボンのことだ。
主な特徴としてリベットで補強されているため、縫い目にかかる負担をリベットが防ぐ事ができる。
アメリカのゴールドラッシュの時期に丈夫な作業着として販売され、鉱夫を中心に広まっていった。
ゴールドラッシュが終了した後も優れたデザインから普段着として普及したためか、ゴールドラッシュ時期のジーンズは非常に高額なプレミアがついている。
今回はそのジーパンが出てきた話だ。
兄がロボットの慣熟を終えたのか、凄まじいステップを刻んでいた。
フットワークが鋭すぎて私の目には初動が追えない。
殆ど瞬間移動みたいな動きをしているのだ。
確かにその予兆はあった。
あまりにもスムーズに操作出来るため、自分の身体の延長線上でしか操縦出来ていなかったのだ。
しかしロボットはロボットで、私や兄の身体ではない。
根本的にポテンシャルが違うのだ。
すなわち、人の限界を超えた動作が可能。
まあ出来るからってそれは
出来るからって役に立つとは限らないあたり微妙なところだ。
出来ると楽しいので私もちょっと練習してみようかな……。
兄がやった後思いっきり酔って吐いていたのでやめておくことにした。
さてガチャを済ませておこう。
ろくなものが出ない……ろくなものが出ない……。
R・パワーアシストジーパン
出現したのはジーパンだった。
一般的なものと比べるとリベットがでかく、目立つ。
それに縫製自体もかなり分厚く大きく重ね縫いされており、強度を重視して作られていることが見て取れる。
というか生地自体も2倍ぐらい分厚い。
頑丈すぎてズボンだけで立つ。
何のためにこんなガッチガチに……?
あと頑丈すぎてポケットが開かない。
とりあえず履いてみる……か?
ズボンである以上、履けばなにかわかるかもしれない。
パワーアシストって書いてある以上、そういう機能があると考えられるが……。
そう思ってズボンを履きにかかる。
硬い関係でひどく時間がかかる。
曲がりはするが、足に沿って柔らかく動くといったことがない為にあちこちで足が引っかかる。
それに無理に曲げようとするとかなり力がいる。
突っ張った足でそれをするのはかなり疲れてしまう。
そうやって苦労しながらなんとかジーパンを履く。
硬いせいで動かすのにも一苦労……うおっ。
立ち上がった瞬間、足に異常なほど力がかかっているのを感じた。
それのせいで両足がプルプルするのだ。
一歩一歩、歩くだけで破壊的な力がかかり、実験室の地面に強烈に足跡を残していく。
しかし足に痛みはない。
本当に足の力をアシストしているだけのようだ。
そのせいでまったく制御が利いていないが。
物は試しに、と兄が植林している畑の木に向かって、回し蹴りを放ってみた。
ゴウ、と貧弱な私が放ったとは思えない風切り音と共に木にぶち当たり、音もなく木を粉砕、へし折ってしまった。
えっ、そんなパワー出るのこれ。
というか使ってて大丈夫なやつなのこれ。
破壊的すぎるくせに、まともに歩くのもままならない。
どうやって使えばいいんだこれ。
後日。兄が金属バットにパワーアシストジーパンを巻きつけた。
一言で言えば、内側で生じる力を強化してアシストするジーパンだったために、棍棒のような物に巻きつけて振り回しても破壊力は跳ね上がった。
履いたときに足がプルプルするのは、不随意運動を強化してしまったために暴走したから。
ならばそういう要素の無い物に使えば問題は起こらない、と。
なんでそんな使い方を思いつくんだ、兄……。