変態ばかりの学園ものエロゲーに転生したからヒロイン全員清楚に調教する 作:ブラックカボチャ
お茶菓子はマカロンだった。
カラフルで食品とは思えないような色のものもあるが、これが中々美味しい。甘いのもあれば、苦いのもあったりと色同様、味のバリエーションも様々だ。初めて食べたが、これを食べているだけで自分がおしゃれになった気がする。こうやってティーカップで紅茶を飲むなんて経験も相まって自分の格がワンランク上がった様だ。
「楽しくないお話は先に終わらせてしまいましょうか」
お茶会と称しておしゃべりする気満々の会長は、主題にして1番の重要案件をそう軽いノリで話し始めた。
内容を要約すると、こうだ。
用務員が犯罪者になってしまうのは学校としてもまずいし、証拠品として盗撮された映像が押収されると会長的にもまずい。よって、用務員は司法の力ではなく、神宮寺家の力によって、つまりは転勤という形で海外に飛ばされた。
奴の仕掛けていた隠しカメラも、昨日徹夜で神宮寺家のスタッフが探索、取り外したらしい。プライバシー保護を名目に、映像は確認せずに消去、カメラもそれを管理していたハードごと破壊されたとのこと。
会長が上手いこと根回しして、このような解決へと導いたらしいが、有能過ぎませんか?
自分の激やば画像は一切流出させず、神宮寺家の名誉を守り、用務員は海外追放。そもそもの発端が会長の安易な露出ということに目を瞑れば、あまりに有能。目を瞑ったままでいたい。
「さて、それでは改めまして、この度は本当にありがとうございました。私がこうして学校へ来れているのも貴方のおかげです」
「昨日も言いましたけど大げさですって。だからお礼もこのマカロンと、紅茶で十分過ぎます」
実際、会長と二人きりでお茶会だなんて、うちの学校なら全財産投げ出す奴もいそうな特権だ。お礼としては極上だろう。
それにぼくは、会長の未来を守れたことには胸を張ることにしたが、感謝されるようなことをしたとは思っていない。
「そういうわけにはいきません。それにもうお礼の品を用意してきましたので」
お礼なんていらないとは思いつつ、あの神宮寺聖歌が用意したお礼とはどんなものなのか、興味があるし、少しだけワクワクする。
立ち上がった会長。
何をするかと思えば、ゆっくりとブレザーのボタンを外していく。そのまま見せびらかすようにブレザーを脱ぐと、丁寧にハンガーに掛けた。
そして、次はブラウスのボタンに手を掛け――
「ん、んぅ」
「――って、なんで脱ぎ始めたんですか!?」
目の前で起きている出来事を正常に処理できず、しばらく眺めてしまったが、この人、ぼくの目の前で脱ぎ始めたんですが!?あまりの自然さに一瞬ぼくの方がおかしいのかと思ったわ!
「身内以外の男性に贈り物をするのは初めてだったので、インターネットで調べたのですが、男女間でのプレゼントには『プレゼントは私』という文化があるようで」
「偏った調査!」
つまり、この人自分をお礼の品とするために脱ぎ始めたってこと!?一体どういう経緯でそんな思考に決定したんですかね!
「大丈夫です。私はとても……ドキドキしています」
「ただの露出狂だぁあああー!?会長、反省してないんですか!?」
昨日の今日で何してんだこの人!学習能力ないの!?貴女、学年1位の才女でしたよね!?昨日、滅茶苦茶反省してましたよね!?
「反省していますよぉ。やはり不特定多数に見られてしまってはトラブルに発展するのは必至。つまりは特定の方に見せる分には何の問題も発生しません」
「問題しかないが!?根本が違うんですよ!露出を止めましょうって話で、そして何よりその特定の方とやらをぼくにしないで欲しいんですがぁ!?」
人の話を全く聞かずに恍惚の笑みを浮かべながらブラウスを脱ぎ捨て、その歳不相応に成長した果実を包む真っ白な下着が全開。その上、スカートまで脱ごうとしており、もう止まる気がないどころが、顔を上気させ、はあはあ息が乱れている。お巡りさん助けてください!
「見ていてくれれば良いんですよぉ。そう、舐め回すように、じっとりと」
もう表情がR18化している。お礼とか適当なこと言ってただ脱ぎたいだけじゃないか!もしや、ぼくの昨日の行動って余計なお世話だったのでは!?
「思ったとおり、
完全に下着姿になった会長が身をよじって身悶えており、遂に待ったなしな状況になったため、ぼくは咄嗟に、近くにあったブランケットを引っ掴み会長に投げた。
「はぶっ」
顔面でブランケットを受けた会長の体を、広がったブラケットが隠す。全身を隠すには大きさが足りなかったが、辛うじてパンツを隠すことに成功している。
「会長!」
会長がそれを取り払う前に、ぼくは勢いよく立ち上がった。
やるべきことを悟った。覚悟を決めた。
ならば自らの信念に誓い、宣言をしよう。ぼくの使命を。
「ぼくは!女の子は清楚であるべきだと思っています!」
女の子は清楚であるべき。
それがぼくの信念にして理想。
そして、女の子に清楚を求める以上、自らも誠実であるべきだと思っている。恋人でもない女性の裸体を眺めるようなことをしてしまっては、ぼくはもう世界の清楚な女性と付き合う権利も、会話し触れる権利も、ない。
だから、ぼくはいつか将来を誓い合う清楚な女性としか、R18な展開にするわけにはいかないのだ!
「露出して喜ぶなど破廉恥な行為は言語道断、当然ながら即刻、止めるべきです!ですが、会長は口でいくら言っても行動を改めないようなので――」
押し付けだろうと何だろうと、ぼくは清楚・清純・清廉潔白な女の子が良い!そうでなければ、ヒロインとは断固として認めない!
ここがエロゲーの世界で、会長がエロゲーのヒロイン、露出狂であることを運命づけられた生粋の変態であろうとも。
その運命、ぼくが変えてみせよう!
「――ぼくが貴女を、本物の清楚に調教しますっ!」
この世界に抗って、会長をエロゲーヒロインから、聖女という名の通りの、清楚で、清らか、清純な、理想の女性にしてみせる!
ぼくの決意表明に、ぽかんとしている会長。訪れる静寂。
――ガチャリとドアの開く音。
続いて、ドサッと荷物が落ちる音。生徒会室にいるのはぼくたち二人だけ。ドアが開いた以上、それは部屋に人が入ってきたということで。
「………調教、だと?」
女性にしては高いスラッと伸びた背丈に、艷やかな黒髪のポニーテール。
生徒会室に入ってきたのは生徒会副会長、二階堂薫。そして、彼女の視界に広がるのは、下着姿をブランケットで隠した会長と、立ち上がってそれを見下ろすぼく。
はい、ぼく終わりましたー。
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