仮面ライダー×仮面ライダー 仮面ライダー大戦乱   作:パニック

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プロローグ

「なんでだ……なんでこんなことに………」

 

葛葉 紘汰は呆然とした様子で呟いた。

 

紘汰の目に写る光景は惨劇だった。

 

自身が生まれ育った町が破壊され、炎に包まれる光景

 

ドカンッ!!

 

爆音が響き、大地が揺れる。

 

紘汰は今も続く闘いを見る。

 

 

 

 

「やっぱり楽しいなぁ!戦いってヤツはぁ!!!!」

 

凶戦士・仮面ライダー王蛇は歓喜の叫びを挙げながら、手に持つドリルのような形状の剣・ベノサーベルを乱雑に振り回す。

 

凶悪なベノサーベルの威力は、周囲の鉄筋コンクリートを難なく砂粒に変えてしまう。

 

「くっ!浅倉ぁ!」

 

周囲の被害などお構い無しに暴れる王蛇を止めようと、赤き龍の戦士・仮面ライダー龍騎は自身の青龍刀型の武器・ドラグセイバーを構えて王蛇に立ち向かう。

 

「はっ!」

 

降り下ろされた龍騎の斬撃を、王蛇はベノサーベルを水平に構えて受け止める。

 

「久しぶりだなぁ!おまえと戦うのもぉ!」

 

「お前、まだそんなことを言ってんのか!」

 

嬉々した様子の王蛇の言葉に、龍騎は苦々しい思いを抱き、刃は鍔迫り合う。

 

お互いに一歩も引かず、刃のぶつかり合いは火花を散らす。

 

しかし、その均衡はすぐに崩れた。

 

ヒュッ!

 

「ぐあっ!?」

 

突然背中に衝撃が走り、龍騎はよろめく。

 

「ハッハッ!」

 

その隙を見逃す王蛇ではなく、笑いながら龍騎を蹴り飛ばす。

 

「はあはあ、くっ、クソ!」

 

蹴り飛ばされ、転倒した龍騎は痛みをこらえて何とか立ち上がる。

 

先程背中に走った衝撃、その正体を知るべく顔を上げた龍騎は驚愕する。

 

「て、手塚!」

 

そこに居たのは、龍騎の仲間である筈の仮面ライダーライアだった。

 

先程の衝撃の正体は、ライアの持つ高圧電流を帯びた鞭・エビルウィップの一撃だったのだ。

 

ライアは何も言わず、エビルウィップを構え臨戦体勢を執る。

 

龍騎も身を守るため、ドラグセイバーを構えようとするが…………

 

「………がはっ!?」

 

再び身体に走る衝撃。

 

しかし、感じる痛みは先程とは比べ物にならない。

 

龍騎は痛みに震えながら視線を下げた。

 

見たのは自身の胸部。

 

見えたのは黒い槍が己を貫く姿。

 

龍騎は力なく後ろを見る。

 

彼の目に写ったのは、ライア同様に自分の仲間である筈の………友である筈の仮面ライダーナイトが、ウイングランサーで自分を貫いている姿だった。

 

「れ………連」

 

「…………………」

 

龍騎は最後に残った僅かな力を振り絞って友に呼び掛けるが、ナイトは全く反応しない。

 

「連………手塚…………ち、チクショウ……」

 

龍騎はそのまま動かなくなった。

 

そしてその身体は青い粒子となり、手のひらに収まるサイズの錠前、“龍騎ロックシード"となり、空に消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所でも戦いは続いていた。

 

「はあっ!」

 

レジェンドルガ族の王・仮面ライダーアークは右足を高く上げ、足元にいる仮面ライダーキバに踵落としを放った。

 

「くっ!」

 

キバは身体を横に回転させて距離を取り、アークの踵落としを躱す。

 

3メートルを越えるアークの巨体から放たれた踵落としは、アスファルトの道路に薄いプラスチックでも砕くかのように易々と穴を空ける。

 

「キバット!」

 

キバはベルトの左側から青い笛状のアイテム、ガルルフエッスルを取り出し、自身の相棒であるキバット族のモンスター・キバットバットⅢ世(以下キバット)に呼び掛ける。

 

『おっしゃあ!いくぜ渡。ガルルセイバー!』

 

キバットがガルルフエッスルを吹くと、天空からガルルセイバーが飛んで来る。

 

巨体であるが故に若干小回りが効かないアークを、スピードに優れるガルルフォームで翻弄するのがキバの狙いだった。

 

 

 

 

 

 

しかし…………

 

♪~

 

どこかからガルルフエッスルに似た、しかしどこか機械的な音色が響く。

 

 

「えっ!?」

 

『ちょっ!?おいおい!』

 

ガルルセイバーは突如軌道を変え、キバから離れていく。

 

その先に居たのは………

 

「名護さん!?」

 

飛んできたガルルセイバーを掴んだ者、それはかつて共に戦った戦士・仮面ライダーイクサだった。

 

イクサはキバの武器を強奪する能力を持つフェイクフエッスルを使って、ガルルセイバーを奪ったのだ。

 

『ちっ、アイツもやられちまってたのか!油断すんなよ、渡!』

 

「うっ、うん」

 

ガルルセイバーとイクサカリバー、2本の剣を構えたイクサは、キバに斬り掛かる。

 

「くっ!?」

 

イクサの的確で容赦のない斬撃を、キバは何とか躱しつつ、距離を取るため後ろに向けてジャンプするが………

 

ヒュッ!

 

突如キバの右腕に何かが絡み付いた。

 

「なにっ!?」

 

強い力で腕を引っ張られ、キバは空中から落下してしまう。

 

「な、何が…………」

 

起き上がりながらキバは自分の右腕を見る。

 

足に巻き付いていたのは、紅く細長い鞭のような物。

 

そしてその先に居たのはステンドグラスのような身体の戦士。

 

ソレが何者なのかキバは直ぐに気付いた。

 

「に、兄さん!」

 

キバの視線の先に居たのは、彼の兄にしてファンガイアの王たる戦士、仮面ライダーサガ。

 

『マジかよ……………大牙まで!』

 

キバは腕を振って、右腕の拘束を振りほどこうとするが、サガの持つジャコーダーから伸びるジャコーダービュートはかなり強靭で腕から離れない。

 

動けないキバに、イクサとサガ、そしてトライデントを構えたアークがゆっくりとキバに近づく。

 

「残念ですが………終わりです」

 

背後から聞こえた声に、キバは振り向く。

 

そこに居たのは冷気を操る白い雪男のような戦士・仮面ライダーレイ。

 

レイは、ベルトのレイキバットに自身のウェイクアップフエッスルを読み込ませる。

 

『ウェイクアップ!』

 

レイキバットが叫ぶと、レイの両腕に幾重にも巻かれた封印の鎖・カテナが弾け飛び、巨大な爪、ギガンティッククローが露になる。

 

『クソッ!渡、一旦逃げねぇとマズいぞ!!うわぁっ!!?』

 

「キバット!?くっ!?」

 

キバは一旦退こうとしたが、サガのジャコーダービュートをほどくことができず、更にレイの方に一瞬意識が向いてしまった。

 

その隙を見逃すサガではなく、キバの身体全体にジャコーダービュートを巻き付け、完全にキバを拘束してしまう。

 

「言ったでしょう、もう終わりだと。抵抗も無意味です。さっさと済ませてしまいましょう」

 

レイが淡々と告げた後、アークのアークトライデント・イクサのイクサカリバーとガルルセイバー、そしてレイの冷気を纏った大爪の連撃・ブリザードクロー・エクスキュージョンがキバの身体をズタズタに切り裂いた。

 

「う……あ………」

 

力尽きたキバは地面に倒れ込む。

 

そしてその身体は、先程の龍騎同様に青い粒子となり、キバロックシードに変わる。

 

レイはキバのロックシードを拾うが、すぐに無造作に投げ捨てた。

 

レイの手から離れたロックシードは、天高く飛んで消えていく。

 

同時に、イクサとサガの身体もロックシードに変化し、キバのロックシードを追うように、天空に消えていった。

 

 

 

紘汰は龍騎とキバがロックシードに変えられた光景を見て、身体をよろつかせながら、ゆっくりと立ち上がる。

 

「どうしてもやらなきゃならないのか!」

 

身体の痛みと……………何よりも心の痛みに耐え、絋太は戦極ドライバーを装着する。

 

「アイツらが、世界を壊そうとするのなら…………」

 

震える手で、ポケットからオレンジのロックシードを取り出す。

 

「戦うしか……………………倒すしかないってのかよ!!」

 

絋太は涙を流し、後ろを見る。

 

そこに居たのは、敵である者達と仲間である筈の者

 

龍玄

 

バロン

 

斬月・真

 

グリドン

 

ブラーボ

 

デューク

 

マリカ

 

シグルド

 

ナックル

 

9人のライダーが絋太に向けて武器を構える。

 

「クソォォォォォォォォォ!!!」

 

慟哭の叫びを挙げ、絋太は戦極ドライバーにロックシードを装着させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「来たか」

 

暗い空間で何者かが天井を見ながら呟いた。

 

低い声色からして、男のようだ。

 

奇妙な黒い鎧を纏っている男だった。

 

頭部を覆う触角の生えた三葉虫を連想させるような三角形の兜。

 

右手には鞭を持ち、左手は鋭い鍵爪となっている。

 

そして顔には、表情を隠すかのように鬼に似た仮面が装着されている。

 

男の前に“地上から降り立った"ナニカが降りて来る。

 

ソレは先程倒され、天空に消えた龍騎とキバのロックシードだった。

 

2人のライダーのロックシードは、男の目の前に浮かぶ十字型の透明な容器に収まっていく。

 

その光景を一瞥しつつ、男が黙ったまま左手を前に翳すと、空中に映像が投影された。

 

映像には先程とは別ライダー同士による戦いの光景が写し出されていた。

 

「残るライダーのロックシードは後4つ、鎧武、ディケイド、W、そして……………ファイズ。もうまもなくだ」

 

何かを確認し終えた男はマントを翻して、その場から去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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