はるか昔、人と妖怪とがいる時代。
その血に龍を宿しその力を使う一族が大陸からその時代の日本に移り住んだという。そしてその先祖達は龍の血を継ぐものとして人と妖怪両方から恐れられていたという………なーんて言うのが昔から言い伝えられる話だ。
爺ちゃんが言うには長い時をえてその血も薄まっていったと言っていたが、俺にはそんなものは関係ない、龍の血だとか妖怪だとか、言い伝えのことだって御伽噺程度にしか俺は思ってない。
今はただ……
「どうしたの龍牙?」
銀髪の少女が顔を覗かせてくる。俺はなんでもないと答えながら隣にいる少女日暮とわと歩く。
「……昔爺ちゃんから聞いた話を思い出しててな」
「それって龍牙のご先祖さまの?」
「まあね、俺は御伽噺程度にしか思ってないけどあんだけ聞かされたら頭から離れないからな」
いつもいつも口にしてた「龍の血を恐れ敬い己の物とせよ。」とその意味はまだよく分かっていないが、何となく自分の中に妙な物が混じっている感じがある。
「でももし本当に龍の血が流れているんだったら凄いよ!」
とわは目を輝かせてそう言うが正直俺はそうは思えない、あの話にはとわには話していない続きがあるから。
「どうだかな、あんまし良いものだとは思えないけどな……まぁ、そんなことは置いといて明日から新しい学校だろ?」
「うん、今度は女子校なんだ。喧嘩をせずに済むようにって草太パパが…」
とわはお人好しだが、それがいい事ばかりに繋がる訳でもない。昔いじめを止めようとして狙われ始めたんだったか。
「また喧嘩しないようにしないとな」
俺は笑いながらそう言うが、とわにとってはそうそう笑えることでもないようで。
「そうは言っても!」
と大声で反論してくる。
「分かってるよ。とわがやりたくてやってる訳じゃないことは」
そっととわの頭を撫でながら続けて言う。
「何かあったらいつでも呼んでくれ、必ずとわの所に行くから」
「うん。その時はお願い」
とわは笑顔でそう返してくる。
やっぱりこの笑顔がおれは好きだ、いつもそばにいてくれるとわの笑顔は安心する。龍の血と力よりもとわと一緒にいる時間があれば俺はいい。
「龍牙?」
「何でもないよ、それよりもそろそろ草太さんの家に着く」
「え?もうこんな所まで、じゃあここで別れようか」
とわは俺の言葉に驚いていたが、気づいてなかったのかよ…
その後はとわと別れ俺も自分の家に帰って行った。
「ただいまー」
俺はそう言いながら玄関に入るが返事は帰ってくることは無い。何故なら俺の家族は皆既に死んでしまっているからだ。
俺は仏壇に今日の事を話すと自分の住む家(家と言うよりは屋敷だが)にある蔵に入っていった、ここには俺の一族についての事が書いてある書物が大量にある。
龍の血や妖怪の話も爺ちゃんから聞いた事以外は全てここで知った。いつも夜はここに入り浸ってこの大量の書物を読み漁っている、誰も居ない屋敷よりもここや道場にいた方が俺は落ち着くからだ。