龍の血を継ぐもの   作:ZG

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御伽噺が始まる時③

百足の化け物を倒した後とわと2人の少女が集まっていた。だがどうも不穏な空気になっている。話を聞く限り蒼い服と鎧を纏った少女がせつなで赤い服の少女がもろはらしい、とわが言うにはせつなは昔生き別れた双子の妹らしいのだがその本人はとわの事は知らないと言い、近づいてきたとわに斬りかかった。とわはそれを避けるとすぐさませつなから距離を離し、せつなは追撃しようと距離を詰める。

それを見た瞬間俺はせつなの前に出て薙刀を脇と手の甲で絡めとる。

 

二虎流水天の型水草取り

 

「なっ!?この……離せ!」

「離したらまたとわに斬りかかるだろうが!それにさっきみたいな化け物ならともかく、人を斬ろうとするな!」

 

そんなやりとりをせつなとしていると俺たちの間にもろはが更に割り込んできた。

 

「そうカッカすんなよ。いいじゃねえか近づいたぐらい。」

「黙れ。」

「あたしはもろは賞金稼ぎの連中からは化け殺しのもろはって呼ばれてるでお前らは?」

「私は日暮とわ。」

「俺は黒神龍牙だ。」

「じゃあとわに龍牙だ。」

 

もろはは自己紹介を終えるととわに近づいた、場の雰囲気が変わったのを察した俺はそっと薙刀を絡めとっていた腕を離す。せつなも今は斬りかかるつもりは無いようで、薙刀が解放されても大人しく見ている。

 

「なあ、本当にとわはせつなの姉ちゃんなのか?」

「それは間違いない!10年前の森の火事で離れ離れになった双子の姉だ!」

「だってよ。」

「知らん、私は生まれた時から1人だ。」

 

せつなは変わらず姉妹だという事を否定する。

 

「でもなぁ〜2人とも半妖なんだよな?」

 

半妖という言葉に反応したのか今度はとわではなくもろはを狙って薙刀を振り下ろす。もろはは刀の鞘でそれを防ぎ話を続ける。

 

「あたしぐらいになると、2人が醸し出す妖気で分かるんだよ。なぁ半妖のせつなちゃん。」

「そうでなきゃ虹色真珠が瞳に宿る道理に合わない。だから半妖なのさ。」

「半妖?」

 

とわは聞いたことの無い言葉に首を傾げる。俺は本で知っていたのだすぐに理解出来た。

 

「妖怪と人間の混血だろ」

「龍牙は知ってるの?」

「家の蔵にそんな事が書いてある本があったからな。」

「龍牙の言う通り妖怪と人間の間に生まれたのが半妖だ、よく似てるぜ2人の妖気は。」

 

唐突にもろはは俺に近づくと匂いを嗅ぎ始める。何か疑問に思った事でもあったのか首を傾げた。

 

「龍牙も何か人とは違うのが混ざってる気がするんだが……半妖じゃないんだよな?」

「俺は半妖じゃないよ。ただ俺の家には昔から龍の血が流れてるって話がある。」

 

それを聞いたもろはとせつなは驚いた様に目を見開き俺に詰め寄ってきた。

 

「お前龍の一族か!?」

「龍の一族?」

「私も噂で聞いたことがある。今は殆ど見る事は無いが龍の血を持つ龍の一族がいると。」

「なんでもそいつらは一人一人が生半可な妖怪や人間じゃあ太刀打ち出来ない強さを持っていて、人間からも妖怪からも恐れられている一族だってな。」

「へぇー、龍牙のおじいちゃんが言ってた事は本当だったんだね!」

「まさか本当だったとはな。」

 

爺ちゃんが言ってた事が本当だったのには驚きだが、だったら尚のこと喜べない事も本当なのかもしれないな。

もろはやせつなの話を聞きながら本の内容を考えていると不意に視界の端から何かが飛んできた。

それは根っこの様なものだが赤い目がついていて、生きているように動きながらとわに飛びかかる。

 

「うわぁ!?」

 

根っこの様なものはとわの中に消えていき、とわの左目に模様の様なものが浮かび上がる。

とわは刀をこちらに向けると蒼い刃が形成される。

 

 

 

 

「飛頭根が宿主に選んじまった、油断してるからそんな雑魚に取り憑かれるんだ!」

「また別の妖怪か!面倒事ばかり起きるな今日は!」

 

とわは刀を横薙ぎに振るい3人は後方に飛び避ける。

 

「とわ?」

「やめてとわ姉ちゃん!」

 

更に後ろにいる芽衣達が操られたとわに叫ぶがとわは意に返さず刀を構え直す。

 

「あれはもうさっきまでのとわじゃねえ!皆は隠れてな!」

「3人とも隠れててくれ、とわはこっちで何とかする!」

 

3人が離れるのを確認すると龍牙はもろはに飛頭根の事を聞き出そうとした。

 

「飛頭根ってのはどんな妖怪なんだもろは?」

「飛頭根自体は大した妖怪じゃないが取り憑いた相手の力を自在に操るんだ、面倒な事になったぜ。」

 

とわはせつなに飛びかかり刀を振り下ろす、その瞬間刀は大きくなった。せつなはそれを回避すると近くの屋根に飛び上がり、更に距離を離し別の場所に移る。それを見たとわも追いかけるように駆け出す。

 

「それが秘めたる妖気の力か、ならば本気の相手をしてもらおう。」

「やめなよせつな、実の姉を殺す気か?」

「関係ない、立ち向かってくる者全てが敵だ。」

「だからここで殺し合いをするなって言ってんだろうが!」

「旋風刃!」

 

もろはと龍牙がやめるように言うもそれを聞かず、技を繰り出す、せつなは薙刀を頭上で回転させて竜巻の様な風を起こす。

 

「うひ〜!」

「なんて風だ!」

 

2人は近くの柵に捕まるがとわは竜巻の中心に飛び込む、竜巻に飲み込まれた瞬間蒼い光がそれを両断し風が消えた。その光景に呆気にとられていると中から姿を現したとわがせつなに向けて刀を突き出し落下してくる。

刀がせつなに当たる直前にもろはが放った紅い龍によって防がれ、とわはもろはとせつなから距離を取る。

 

「余計な真似を。」

「おいせつな!お前も退治屋なら飛頭根を弱らせる薬ぐらい持ってるんだろ!」

 

距離を離したとわはすぐさま駆け出し距離を詰める。それを見たせつなは再び薙刀を構え直し迎え撃とうとするが、2人の間に龍牙が割り込む。

 

「邪魔をするな。」

「とわを斬られるのは困るんだよ。俺が隙を作るからその薬とやらを使ってくれ。」

「何故私があいつの為に…」

「頼む。」

「……好きにしろ、ただし隙を作れなければ今度こそ斬る。」

「まぁ任せておけ!」

 

せつなと話終えた龍牙はとわに向かって駆け出した。距離が一気に縮まり刀の間合いに入った瞬間龍牙は凄まじい速さの斬撃を浴びせられる。だが龍牙はその全てを紙一重で避け、受け流す。反撃を行おうとすれば防御に綻びが出て直撃すると察したから龍牙はひたすらに避けながら、受け流しながら反撃の一撃を狙い続ける。数分にも満たない攻防が続いた後ようやく待ち望んだ攻撃がきた。刀による突きだ。それを見た龍牙はとわの右側に出るように避け突き出した右手首を両手で捕まえると足を引っ掛け転ばせその上に上半身をのせる。動きを抑えると龍牙はせつなに向かって叫ぶが。

 

「せつな!動きを止めた…「とわ姉ちゃんしっかりして!」何やってんだ芽衣!」

「何やってんだ早く逃げろ!」

「芽衣!」

「大変じゃ!」

 

とわのすぐ近くに芽衣が来てしまっていたのだ。

とわの目から飛頭根が飛び出すと今度は芽衣に飛んでいき、取り憑いた。

 

「今度はあの子に取り憑きやがった。」

「うぅ……め、芽衣……」

「とわ無事か?」

「私は大丈夫だけど、芽衣が。」

飛頭根に取り憑かれた芽衣は近くにあった石を持つと大ママ達にゆっくりと近づいてゆく、だがそのすぐ後ろにせつなが立っていた。

 

「飛頭根め小さな子の方が操りやすいと思ったのか?愚劣な。」

「大人しくしていろ、今飛頭根を切り出してやる。」

「ダメだあ!」

 

拘束から解放されたとわがせつなの前に立ち塞がる。

 

「芽衣の、顔に傷なんかつけさせないぞ!」

「私はもうこの家族に迷惑をかけさせる訳には行かないんだ!」

「甘えたことを」

「なんだって?」

 

芽衣はとわの近くに行くと石を何度もぶつける。

とわはそっと抱きしめ何度も芽衣に「大丈夫、大丈夫だよ」と声をかける。

その光景を見ていたせつなは薙刀を円を描くように振るう。

 

「宿り蛾の月」

 

円の中から宿り蛾が飛び出しその鱗粉を浴びたとわたちは眠りにつく。それを見ていた3人は眠っているとわたちに近づいてゆく。

 

「これは眠ったのか?」

「宿り蛾の鱗粉は眠らせるだけだ」

 

そういうせつなは肘当てから薬を取り出しそれを芽衣に振りかけると芽衣の目から飛頭根が逃げるように飛び出した。

 

 

一連の騒動が終わると俺は大ママ達を起こし、まだ眠っているとわを背中におぶりせつなともろはに芽衣を引き連れて草太さんの家に向かうのだった。

 

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