神社での出来事から数日が経った。
あの後俺はせつな達を連れて草太さんの家に向かった、その後色々あってせつなともろはは草太さんの家で預かることになっている。
俺はいつも通り日課の鍛錬をこなしていたが玄関の方から声が聞こえたので中断して玄関に向かう。扉を開けるとそこにはもろはが居た。
「こんな朝早くから…飽きもせずよく来るな。」
「いいじゃねえか、あたしらの時代でもこっちの時代でもああいうのは中々読む機会なんてないんだからさ!」
「それに龍牙だって毎日時間があればこもって読み漁るんだろ?とわが言ってたぜ。」
「まぁいいや、家には俺以外使う奴いないからな、好きなだけ読んできな。」
もろはを家には上げるとすぐさま蔵の方に向かって行った。後で飯でも持って行ってやろうか……
あれ以来家にはとわ以外にももろはやせつなが訪ねて来るようになった。とわやせつなは鍛える為に来たりするがもろはは蔵にある物の方が気になるようで最近は2人よりもよく来る。
簡単な料理を作るとそれをもろはが居る蔵に向かう。扉を開けると読みふけっているもろはがいた、集中しているようで俺が入って来た事にまだ気づいて無いようだ。
「もろは」
「龍牙?どうしたんだ?」
「軽く食べられる物を作って来たから持ってきたんだ。もろはは時間も忘れて読みふける時があるからな。」
「ありがとう龍牙、そこに置いといてくれ。」
それから多少会話した後に俺は蔵から出ようとするともろはが声をかけてくる。
「で?龍牙はどうするんだ?」
「……夢の胡蝶の事か?」
「ああ、龍牙も何となく分かってるんだろ?とわは絶対に戦国時代に行くと思うぜ。」
あの後せつながとわの事を覚えてない理由を知る事ができた。もろはが言うには夢の胡蝶に夢を奪われた事で眠ることも出来ず小さな頃の記憶も無いんだとか、その夢の胡蝶を捕まえればせつなの記憶も元に戻るかもしれないが、何をしようにもこちらの時代には絶対にいないということも。
とわはせつなの事を助けたいと思っている。それにやっと会えた妹ともっと一緒にいたいだろうし、でも夢の胡蝶を捕まえるには戦国時代に行くしか無い、だからとわもきっと行く方法が見つかれば行くのだろう。そして俺ももう既に答えは決まっている。
「とわが行くのなら俺も行くさ、1人で行かせるのも心配だしな。」
「だったら決まりだな!」
もろはは俺の方を向くと笑った。
「何か方法でも見つかったのか?」
「その通り!ようやくあたしらが戦国時代に帰る方法を見つけたんだよ!」
「あれから何日かは経っているとはいえ割と早かったな。どうやって見つけたんだ?」
「いや〜、神社のところで根の首の下っ端を見つけてな、ちょっとお願いしたらよく喋ってくれるんだよこれが。」
あそこにはまだ妖怪がいるのか……本当に爺ちゃん達は大丈夫なのか?とはいえもろはが言っているのだから本当にあそこにいる妖怪を利用すれば何とかなるようだ。戦国時代に帰るのは今日の夜中だとか、あとはとわ達に教えるだけらしいので俺も準備をして待つことにした。
時間は進んで夜遅くに俺たちは日暮神社に集まっていた、いよいよ戦国時代へと向かうのだ。
それぞれ別れの言葉を告げている中、とわが話しかけてきた。
「本当にいいの?龍牙」
「何をだ?」
「戦国時代に向かう事、せつなの事だって私の我儘だし……龍牙が無理に付き合うことは無いよ。」
とわは俯いてそう言うが俺は笑いながらとわの頭に手を置いてそれに答える。
「戦国時代に行くのも、夢の胡蝶の事も俺が決めたことだ。とわが後ろめたく思う必要も無ければ気にすることもないよ、それにとわは1人にしておくと危なっかしいからな!」
「危なっかしいって一言余計!…でもありがとう龍牙。」
もろはとせつながこちらに歩いてくる。
いよいよ時間が来たようだ。
もろはが赤色真珠を出すと根の首が絡まっているであろう御神木に向かって声をかける。
「根の首よ!この時代では決して手に入らぬ虹色真珠がここに3つある!ここにいる我ら4人を通すのならば金・銀・赤の虹色真珠を貴様にくれてやろう、どうだあ、根の首!」
3人の真珠が光もろはが根の首に通せと言うと御神木が光始め声が聞こえた。
『いいだろう!通るがいい!』
御神木は更に光を増しもろは達の荷物を吸い込んでいった。それを見たもろはが慌てた様子で「返せー!」と叫びながら飛び込んで行きせつなもそれにつづいて飛び込む。
最後に残された俺達は草太さん達の方を向きただ一言「行ってきます」と言い光の中に飛び込む。
飛び込む瞬間に芽衣が「絶対に帰って来て!」と言っているのが聞こえた。
そこは不思議な空間だった、辺りは虹色に光り輝きただ1本の道になっている。俺達はその道を奥に進んで行った。
前の方でせつなともろはの会話が聞こえる。
「あんな約束をして良かったのかもろは?」
「大丈夫だよ!いざとなったら根の首なんざ退治しちまうから……あれ?今せつなあたしの事名前で読んだ?」
そう言われたせつなは自分でも驚いたのかいつもの表情が崩れていた。
「あっ……だからなんだ…」
「いや別に、悪くないね。」
もろはの方は嬉しそうに顔を綻ばせている、その次の瞬間にはとわが2人の会話に割り込んでいた、どうやらもろはが根の首とした約束を破るつもりなのがよくなかったらしい。
「悪いよ!約束は守らないと!」
「嘘じゃないよ方便だよ。」
「とわ〜、あんま真面目過ぎるのも良くないぞ、戦国時代に行ったら虹色真珠も使う事になんだろうしさ。」
「龍牙までそんなこと言って……」
そうこうしているうちに、出口が見えてきた。
だが、そこは戦国の世ではなく大きな根が入り組んだ空間で、その奥を進んで行くと強く光っている根がありそれに近づくとその光は人の形に変わって行った。
「よく来たな夜叉姫共、そして龍の末裔よ」
次回はようやく戦国時代に入ります!
できるだけ早く続きを投稿できるようにしていきますので、最後まで読んでいただけると嬉しいです!あと感想も貰えるとやる気が更に湧いてくるのでお願いします!