バーチャルリング   作:群武

3 / 7
アーカイブ3

「うわ!爆発した!?」

 

私は不安のする所へ走っていると突如近くに建っていた古いビルが爆発する。

解体工事でもしているのか?一瞬そう思ったが、それにしては周囲に人は居ないし工事の看板もない。

 

「不安の種はここで間違いなさそうやけど、何処から入れるんやろ?」

 

そこには扉も窓も無い四角柱の建物が建っていた。

 

「何で今まで気付かんかったんやろ?」

 

先程までは全く気にならなかったのに爆発が起きた直後から違和感を感じ、不安の元凶と断定出来るほどの異彩を放っている。

 

「扉無いなら潰すか?」

 

近くに潰せそうな物が無いか探し回っていると再度爆発し、中から何か飛び出てくる。

 

「何や!?誰や!?」

 

中から出てきた者が自分の目の前に落ちそうになった為、咄嗟にキャッチするとそこには顔馴染みの女性が居た。

 

「何で凛先輩が落ちてきたん!?」

 

状況を整理したいが、凛先輩も気を失っているのか反応がない。

 

「また処刑対象が増えてしまったか」

 

そう言って爆発で出来た穴から1人の男性が降りてくる。

 

「誰やあんた!」

 

自分の第六感が逃げるように告げているが無視をする。

 

「ボンゴレ最強独立暗殺部隊ヴァリアー。雷の守護者レヴィ・ア・タン」

 

そう言った男は身長は190を超えアフロの髪型のせいもあってかとても大きく見える。

両手には傘?の様な物を持ち緑色に光っている。

 

「(それにボンゴレって今朝会ったあの子らと同じ所属のマフィアか?)」

 

気の弱そうな少年と一緒にいた少年2人、それとスーツを着た赤ん坊を思い出す。

 

「(確かあの子ボスって言われてたし、これを命令したのもあの子?)」

 

マフィアって設定じゃなかったんだ。そんなツッコミを心の中に収め、お姫様抱っこ状態の先輩を抱えたまま後方へ全力で駆け抜ける。

 

「あんなヤバそうな奴相手してられへんわ!」

 

何の力も持ち合わせていない自分と大柄で武器を持っている相手まともにやり合っても勝てる見込みは薄い。

 

「逃がさん」

 

レヴィ・ア・タンと名乗った男性はこちらの逃亡に対して直ぐに追いかけてくる。

元々距離は20メートル程しか離れてなかった上に人を1人抱えている為、距離は確実に縮まっていく。

 

「ヤバい。このままじゃすぐに追いつかれる」

 

脚を回転させるのと同時に頭も全力で回転させ攻略の糸口を探る。しかし、逃げ切れるような案は浮かばない。

都合よく能力が覚醒したり救援が来るのはフィクションの話で現実はそんなに甘くない。

「どこか身を隠せるところは!」

 

逃げながらも必死に辺りを見渡す。視界に入ったのは日常にありふれた物で武器になりそうな物は見つからない。絶望的な状況で唯一の救いは近くに曲がり角があり、まだ可能性が残っている事である。

スピード差的に次の曲がり角でいい案を見つけないと詰む!

 

「鬼ごっこは終わりだ」

 

曲がり角にたどり着く直前、真後ろから死の宣告を受ける。その瞬間、半歩左に進路を変え相手の振り下ろした傘を避けるが、右肩をかすっただけで激痛が走る。

予想以上の痛みと傘が地面に当たった衝撃で生じた爆発でバランスを崩す。その拍子に抱えていた凛先輩をほり投げてしまう。

意識を失っている凛先輩と右腕を怪我してしまった影響で自分も受身が取れずに転がる。

今まで見ないように気を付けていたが転がった凛先輩が視界に入る。いつも私と美兎ちゃんのやり取りを笑顔で見守ってくれていた表情は無く、美しく同性でも憧れる肌は傷だらけになっていた。

私は敵わないと認識していても力無くもヨロヨロと立ち上がる。

 

「なぁ、1つ質問してもええか」

 

「冥土の土産に答えてやろう」

 

「凛先輩…あの女性を傷付けたのあんたで間違いないか?」

 

「あぁ。間違いない」

 

その返答を聞いた瞬間、自分の中で何かが切れる音が聞こえた。

 

「!?」

 

私の中で何かが切れる音が聞こえたのと同時に相手の表情が険しくなる。

 

「嵐の炎だと…。それになんて言う炎の量だ」

 

何か訳の分からない事をブツブツと言っているが意味が理解出来ない。

先程の右肩の怪我だけでなく強く握りすぎているのか拳も痛くなる。

「あんただけは絶対許さへん」

 

自分の生活を潰し、大切な先輩を傷つけたこいつだけは許さない。

 

「フハハハハ!嵐のリングとは都合がいい。それにそれだけの炎に耐えられるとは少なくともAランク以上だ!」

 

リング?炎?Aランク?訳の分からない事を言いながら険しい表情から歓喜の表情に変わる。

 

「これを持ち帰ればXANXUS様に喜んで貰える」

 

「さっきから何1人でブツブツ言っとんねん」

 

さっきから自分の感情が不安定になっている気がするが、自分の感情がそのまま力になる感じがする。これが火事場の馬鹿力ってやつか。

相手もこちらの力が漲っているのが分かったのか距離を詰めてくる。

 

「嵐の炎相手に遠距離戦は不利。雷の炎の硬化で接近戦に持ち込む!」

 

全身が緑色に発光しながら走ってくる。

本来なら有り得に光景に驚くはずだが今回は驚く余裕がない。しかし、焦る余裕が無いおかげか冷静になれる。

近づいてくる敵に対してこちらは右拳を引き射程範囲に入った瞬間右拳を顔面に打ち込む。

 

「ふん。雷の炎で防御力を上げた俺にその程度のパンチ効かぬわ!」

 

クリーンヒットしたにも関わらずまだ近ずいて来ようとする。

先程までは周囲が暗かったこともあり、ハッキリと認識出来ていなかった相手がしっかりと視界に収まる。

 

「雷の炎?そんなん知らんわ!私の目の前から消え失せろ!」

 

力が入り過ぎたせいか視界が赤くなるが、構わず力を入れ続ける。

敵の抵抗がなくなった瞬間、地面へ叩きつけるように拳を振り下ろす。

勢いがあり過ぎたのか敵は地面にめり込み周囲の地形を軽く変える。

自分の力がそれほど上がっていることには気づかず辛うじて息がある事を確認する。

 

「アンタらのボスに伝えとき、次私達の前に現れたらタダじゃ済まさへんからな」

 

意識があるかは分からないが取り敢えず言いたい事だけ伝える。

 

「ふぅ…」

 

少し気が抜けたのか身体中が一気に痛くなる。

痛い場所を見てみると全身が燃え上がっていた。

 

「てかこれ私燃えてる!?」

 

視界が赤いのは目が充血のせいではなく実際に燃えているのが原因らしい。

 

「どうやって消すん!?」

 

無意識に出してしまったせいか消し方が分からない。

不思議と熱さは無いが代わりに全身が切り裂かれているかのような痛みが襲ってくる。

 

「凛先輩なら何か知ってるかも!」

 

咄嗟に振り返ろうとするが体力の限界と全身の痛みでバランスを崩してしまい塀にもたれ掛かる。

 

「流石にあれだけ全力疾走したら足が縺れるのは仕方ないか。…うわ!」

 

もたれかかって少し休憩しようとした塀がいきなりバラバラに分解される。

 

「なになに!?どういうこと!?」

 

先程の戦闘で脆くなっていたのか、他に原因があったのか。それとも他に要因があるのか分からない為、思考よりも驚きが先に来る。

 

「楓さん。少しじっとしてください」

 

「凛先輩!」

 

先程まですっかり放置してしまっていた凛先輩はヨロヨロと重たそうに体を動かしながら近づいてくる。

 

「凛先輩の方がヤバいでしょ!」

 

全身が燃えている私と傷だらけの凛先輩。どちらも重症には変わりない。しかし、自分の状態というのは分からないもので私は凛先輩に肩を貸すために近寄る。

 

「待ってください楓さん。取り敢えず死ぬ気の炎を消してください」

 

「どうやって消すんですか?」

 

私は自分の意思でその死ぬ気の炎と言うものを出していない為、消し方が分からない。

 

「本来はリングを外せば消えるんですが…楓さんの場合全身から出てるんですよね…」

 

しずりんは少し考えてから自分のリングに炎を灯す。そこには鮮やかな青色の炎が揺らめいている。

 

「へぇ、しずりんは青なんや」

 

「そうですね〜。詳しい事は起きたら説明しますね」

 

その瞬間、全身を水のような物が覆う。すると死ぬ気の炎と呼ばれ、私自身を燃やしていた赤い炎はみるみる小さくなりやがて消える。

 

「それって…どういう…こと?…めっちゃ…体が……ダルい……んや…け……ど………」

 

私は全身の痛みと引き換えに意識を失ってしまった。




最後まで読んでいただきありがとうございます。
今回はでろーんが覚醒するお話でした。
後何話かはこういう形で各々に焦点を当てていきたいと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。