「ふゅ~…………」
と間抜けな声を上げ、ショウは布団にダイブする。
ステータスプレートの騒ぎの後、国のアーティファクトが支給されたが、彼に合うアーティファクトは無く、取りあえずで燕尾服と護身用にナイフとフォークを幾つかもらった。
その後、魔法や実技の訓練が有ったが両方ともからっきし駄目だった。いや、駄目な振りをしていた。
そして、ショウはメルド団長に頼んで訓練から外してもらい、城の執事さん達に使用人としての訓練を積ませてもらった。【成長補足】のお陰が筋が良いとまで言われ、違うベクトルで褒められた。
「適材適所ってこういう事を言うんだろうな………」
『本当にそう思いますか?ショウ様は本来誰よりもお強いですのに』
「俺TUEEEEEEEEEEEEは見てる分には良いけど自分がやるのはショウに合わないからな……… !?」
流れで気付かなかったが、ショウは聞き慣れない声に驚き、飛び起きる。
『落ち着いて下さい。私は貴方の中から話しかけています』
まるでボーカロイドの様に無機質で綺麗な声がショウの頭の中に響く。
─敵か?味方か?─
ショウは思考でソレに問いかける。
『愚問ですね、味方以外なら私の存在価値はありません』
─そこまでか。取りあえず君は何者だい?─
『【アシスト】。【成長補足】の派生技能にして、貴方をサポートする物です』
派生技能。前話で説明していた様に〝壁を越える〟事で発現する後天的技能だ。
ステータスプレートを見たら本当に【アシスト】と書いてあったので、ショウは先ず信用しても問題は無いと判断した。
『これからは、貴方様の中から精一杯御奉仕させて頂きますので、よろしくお願いします』
─分かった。んじゃ、今日は寝るから明日起こしてくれ─
『はい』
ショウはアシストにそう伝えて深い眠りに付き始めた
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━AM5:00━
『ショウ様、朝ですよ。起きて下さい』
「ん~………二万年早いよ………」
『何処ぞの師匠ですか。起きないとチューしますよ?』
「アシストはん。俺の中からどうキスするの?」
そんな会話をしながらショウは目を覚ます。いつもならなかなか起きないのだが、アシストの無機質で綺麗な声は何故か、目覚めが良く思えた。
『さ、身支度を整えて厨房に向かってハジメ様の朝御飯作りますよ』
「………ん」
ショウは顔を洗って髪を整い、【フォームチェンジ】を使い【南雲ハジメの執事】フォームの衣装(燕尾服)に着替える。
そして、部屋を出て、アシストと話しながら走り出す
─なぁ、アシスト。さっきの起こし方って何処で覚えたの?─
『? ショウ様の記憶を閲覧させていただきますが、どうかしましたか?』
─へ?ま?プライバシーもあった物じゃねぇな………─
『その………序盤は怒涛の人生でしたね…………』
─まぁな。ハジメに助けられなかったらジ・エンドだったからな。今では良い笑い話だ─
ショウは笑いながらそう言う(喋っては無いが)。
『………大切な人なんですね。ハジメ様はショウ様にとって』
─ああ。今は俺にはハジメがくれたものが沢山ある。何にも持っていなかった俺のこの手の中に、こんなにも多くのものが溢れている─
『………』
ショウは優しい表情で語り、アシストはそれをじっと聞いていた。
─俺はハジメを助けたい。役に立ちたい。その為には何でもする。だからさ、手伝ってよアシスト。一応信用はしてるから─
『もちろんです。私の存在意義は貴方の為だけですから』
─嬉しい事言うね。俺、一途な娘に弱いよ?─
『フフッ、嬉しいなら何よりです』
─お、もう着くぞ─
会話に区切りをつけて、ショウは厨房に入り料理を開始した。
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「ん~!とっても美味しいよ!料理なんていつの間に覚えたの?」
「昔、我が主の家にあった料理漫画を閲覧したらすぐ出来るようになりました」
「ああ、いつもの奴ね」
ハジメはショウに称賛を送りながら朝御飯のサンドイッチに舌鼓を打つ。
ハジメのサンドイッチは特別製でツナ(に似た魚)とそれっぽい材料で作った異世界マヨネーズのツナマヨサンド。かなりシンプルな物だが、旨くない訳が無い!
「いいな~南雲君」
「クッソ、まさかここで化けるとは思わなかった!」
と、ハジメを羨ましく思う声や悔しがる声がちらほらと浮かび上がる。
「朝から胃にものを入れるなんて、それなんて拷問?とか思っていたけど……これならいくらでも食べられそうだよ」
「我が主のお気に召されて何よりです」
『やはり、異世界と言ったらマヨネーズですね。これなら余裕で事が終わりそうですし』
─否定はしないけど、異世界=マヨネーズは止めときな。どこぞの高校生総理大臣じゃ無いんだから─
「蒼、そのツナマヨサンドを俺達、皆にも作ってくれないか!?」
アシストと二人で脳内会話をしていたら、ツナマヨサンドを羨ましがった光輝が皆と言う言葉を使って頼むが
「答えはNOだ」
「何でなんだ!?」
「チートだと分かる前のハジメに敵意と殺意を向けてた相手に作るとでも?」
理由は単純に嫌だったからである。
「そんなわけ無い!クラスメイトに殺意を向けてるのはきみじゃないか!」
「あんだけ明確にこっちに向けられたらな。そんなことも分かんないのか?目、大丈夫か?それとも頭か?ま、どっちでもいいや」
「ごちそうさま」
ショウはそう会話を打ち切って、食べ終わったハジメの皿を回収する。
「それでは、俺は洗い物が有るので、失礼するよ」
そう言ってショウはクラスメイトからの嫌な視線を背に、厨房へと向かって行った…………