転生ハドラーは魔王軍を辞めたい   作:友親 太一

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第四話 ハドラーの天敵は書類?

 さてこれで六大魔団長がそろっていよいよ新魔王軍の本格始動……とはならんかった。

 そら団長だけ決まっても兵士はまだまだ足らんし武器、兵站など必要な物もまだまだある、こりゃ地上侵略なんぞ数年は先だね、いやビビリな元サラリーマンの俺からしたら侵略なんぞ出来たらやりたくないが。

 そんなこんなで俺が転生してはや数ヶ月経ちました。

 

 んで俺は今何してるかと言うと……

 

「書類が終わらん!!」

 

 山のような書類と真剣勝負してた。

 いやね、みんな最初は口頭で要望とか伝えてきたんだが当然ながら聖徳太子でもない俺はそれぞれ好き勝手言いまくる要望、質問を聞き取れるはずもなく各々に書類を書かして提出するように言ったんよね。

 これで万事解決……とはいかんかった、考えてもみい? クロコダインやバランが事務仕事の経験があると思うか? 

 当然ながら無い、なのであの二人の要望書は最初のは酷かった。

 

 クソ汚い字で「武器が足りん」や「食料よこせ」など殴り書き、流石においちゃんブチ切れました。

 んで何やかんや怒って教えてして何とか幼稚園児の落書きレベルから小学校の連絡帳レベルまで上げました。

 本当に苦労したよ、原作では好きなキャラだった二人が嫌いになりそうになるくらいには。

 幸いにもバーンの右腕として支配地域の統治とかで事務仕事になれてたミストと、科学者としての活動で研究結果の纏めなどを書くから文書を書くことになれてたザボエラがいて本当に助かってるわ。

 ヒュンケルはここ最近になってミストにひっついて魔団長の仕事を覚え始めたばかりだが、それでもクロコダインやバランよりマシな書類を出すのはどゆこと? 

 

 と、我が軍は書類仕事で早々にけつまずきました。

 へ? フレイザード? 右手が氷の岩、左が炎の岩のモンスターに字が書けるかよ! 

 んな訳で氷炎魔団の分はフレイザードの副官がやってるんだけど……

 

「カリカリ……ん、どうしました魔軍司令殿?」

 

「いや、相変わらずいい仕事ぶりやなあって思って」

 

「お褒めいただきありがとうございます」

 

 俺の横で本当に素晴らしい仕事ぶりを披露する……『ばくだんいわ』、そうフレイザードの副官は『ばくだんいわ』のロッキーなんよね。

 しかも事務仕事する為に腕が生えた特別製の、これじゃあドラクエというよりポケモンだよ。

 だがさっきも言ったようにその仕事ぶりは素晴らしいの一言に尽きる。

 早い、正確、丁寧の三拍子揃ったパーフェクト事務員なんよね、ロッキー。

 しかも字も流暢な達筆でマジで粗がない、本当に何で『ばくだんいわ』なんや? 絶対に自爆させたくない位には有能なんよね。

 てなわけで今も俺の書類仕事も手伝って貰ってるんだけどね。

 

「はい、私の分の仕事は終わりました。ではフレイザード様のもとに戻ります」

 

「相変わらず早いね、助かったわ」

 

 俺に軽い会釈するとゴロゴロと転がりながら俺の執務室(仮)を出てくロッキー、違和感が半端ないが有能な部下であるのでちょっとやそっとの違和感は無視する。

 

「うっし、俺の分も今日の分は取り敢えず一区切り。あーしんど」

 

 ……そいや俺って最近休んでないなぁ、てか寝てないなぁ。確か最後に寝たのって一ヶ月前位前だよなぁ、しかも5分だけ……なんだこのブラック企業。

 

「……考えだしたらムカついてきたぞ?」

 

 うん、労働基準法は大切だよね、この世界には無いけど。

 

「よし、今日残り半日は休もう」

 

 たとえバーンやミストが文句言っても知るもんか、兎に角半日は遊び倒したる。

 

 ▼▼▼

 

「よし、クッキーを作るか」

 

 何を隠そう、俺は大の甘党だ。

 だが今の魔王軍には甘味が足らん、と言うか皆無だ。

 なら無いなら自分で作ればいい。

 幸いな事に俺は前世でも料理は大得意だった、なら大量に作りためて仕事中に食べれば少しは気晴らしになる。

 ちなみにクッキーな理由は比較的簡単なのとちゃんと管理したら日持ちするからだ。

 

 んなこんなで3時間ほどキッチンに籠もってクッキー作りに熱中しました、その結果……

 

「しまった、作り過ぎた……」

 

 眼の前にはクッキーの山が出来ました、これは流石に一人では食いきれんな。

 

「そうだ、六大魔団長達に配るか!」

 

 部下を労るのも上司の仕事、お中元替わりにみんなに食べて貰おう! 

 

 ▼▼▼

 

 〜クロコダインの場合〜

 

「おーい、クロコダイン。クッキー作ったんだが食べるか?」

 

「かたじけない、頂こう。モグモグ……旨いな、俺は甘い物はそこまで好きじゃないんだがこれならいくらでも食える」

 

「そうか、そうか。気に入ってくれて何よりだ」

 

 〜ミストバーン&ヒュンケルの場合〜

 

「おう二人とも修行か? 結構結構。クッキー焼いたから食え」

 

「……貴様はいきなり仕事休むと言い出したと思えば一体何をやってるんだ? (まぁ折角くれたんだ、私は食べれないが私の分はバーン様に献上しよう)」

 

「……うまい(くそ、父さんが死んだ原因の一つはハドラーが弱かったからなのに、それなのに無駄にクッキーが旨いのが悔しい!)」

 

「どうやらヒュンケルも気に入ったみたいだな、また作ったらやるからな( T_T)\(^-^ )」

 

「オレの頭を撫でるなハドラー!」

 

 〜ザボエラ&ザムザの場合〜

 

「おーいザボエラいるかー?」

 

「すいませんハドラー様。父は今出かけてます」

 

「ようザムザ、元気か? まぁ居ないなら仕方ない。クッキー作ったんだが食うか?」

 

「頂きます、モグモグ……美味しい! (思えば幼い頃にオヤジからお菓子なんか貰った事ないなオレ)ハドラー様、ありがとうございます!」

 

「おう、お前には期待してるからな。また作ってやるから研究がんばれよ!」

 

「はい! (ハドラー様が期待してくれる、このオレを!)」

 

 〜バラン&ラーハルトの場合〜

 

「うぃっす、バラン何やってるんだ?」

 

「カリカリ……見てわからぬか? 貴様に言われた書類の直しをしてる(# ゚Д゚)」

 

「魔軍司令殿、邪魔をしに来たらなら是非お引き取りを(~_~メ)」

 

「(苛ついてるなぁ、まぁこの二人は根っからの武闘派やからなぁ)まぁまぁ、差し入れにクッキー作って持ってきたんだ、食え」

 

「……貴様は一体何をやってる? まったくこのような軟弱な男が魔軍司令とは┐(´д`)┌」

 

「いっそのことバラン様が魔軍司令をやったほうがよろしいのでは?」

 

「おっマジで!? いやぁ助かるわ、実は先月から全く寝ずに働いていてよ、そろそろ精神が死にそうだったんだわ! うん、バランなら強いしバーン様も反対しんだろ!」

 

「……ラーハルトよ、冗談はよせ。魔軍司令殿、部下の非礼を詫びよう(一ヶ月休み無しだと!? 本当に冗談ではない、そんな苦行はまっぴらごめんだ!)」

 

「は! 魔軍司令殿、失礼しました(不眠不休だと!? このハドラーという男、只者ではないな。腐っても元魔王ということか)」

 

「……なんだ冗談か、まぁ気が変わったら言ってよ。俺からもバーン様に推薦すっからさ」

 

「……(絶対に天地がひっくり返っても私は拒否するぞ!)」

 

「……(バラン様がこれほどまでに戦慄するとは、魔軍司令侮りがたし)」

 

 〜フレイザード&ロッキーの場合〜

 

「おー……って、何じゃこの部屋は!? (部屋から溢れんばかりの『ばくだんいわ』の山って何!)」

 

「う〜ん、コイツは目の角度が……ってオヤジか、何のよう?」

 

「あ、魔軍司令殿。すいませんが魔軍司令殿からもフレイザード様に言って下さい。『ばくだんいわ』の私が言うのもあれですがフレイザード様は『ばくだんいわ』ばかり作り過ぎなんです」

 

「お、おう(『ばくだんいわ』だらけのモンスターハウスとか心臓に悪すぎる!)、フレイザードなしてそんなに『ばくだんいわ』ばかり作るんだ?」

 

「いやね、何か『ばくだんいわ』を作ってると心が和むと言うか落ち着く言うかそんな感じでついつい熱中しちまんよ」

 

「(フレイザード作るときに間違えて『まほうのたま』を使ったのが原因かな?)……『ばくだんいわ』を作るのもいいが他のモンスターも作れよ」

 

「へーい、んじゃ次は『ばくだんベビー』か『メガザルロック』でも作るよ」

 

「違う、そうじゃない。つうか……イテッ! (何か踏み潰した気が……)」

 

「ま、魔軍司令殿!? 今踏み潰したのはフレイザード様が作ったミニばくだんい……」

 

 ……その日、バーンパレスの一角で巨大な爆発があったそうだ。

 

 ▼▼▼

 

 オ・マ・ケ

 

「のうミストバーンよ。今日の大きな爆発は何だったのだポリポリ」

 

「……いえ大した事ではありません(フレイザードが作った『ミニばくだんいわ』が爆発したなんて口が裂けても言えない、ましてや誘爆して他の『ばくだんいわ』までも爆発したなんて。前回、嫌な予感がしてフレイザードの部屋をバーンパレスの端に移して正解だった)」

 

「そうか、お主が言うなら良かろうポリポリ」

 

「……(幸いにもバーン様はハドラーのクッキーに夢中で爆発にはさして興味無くて助かった。今後の為にもハドラーには苦労をかけるがまた作ってもらおう……爆発の後処理で泣きそうになってるハドラーにクッキーの追加を頼んだのは流石の私も心が痛んだがお陰でバーン様のお怒りを買わずに済んだんだ。ただハドラーが発狂しそうになったが……今度は私が酒でも持っていって労ってやろう)」

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