転生ハドラーは魔王軍を辞めたい   作:友親 太一

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書き溜めはここまでです。明日以降は不定期更新となります。

あと鎧の魔剣について質問がありましたので回答を。
今作の鎧の魔剣の頭部は鎧の魔槍の様な冠型で、剣を収納する時は額の部分に柄の部分が短くなって額に張り付き、額当ての様になります。
刃の部分は原作通り頭部向かってに鎖状に伸びます。
剣を使う時は柄の部分が伸びてソコを掴み、剣に変形します。

ハドラーがパーツを盗んだ時にアムドして試して「収納する時出来ないとヤバいなぁ」と思って改造しました。
キラーマシンを作るときに培った技術あったので改造出来ました、と後付しときます(^^ゞ


第七話 ハドラーの日常(前編)

 アルビナスが俺の副官件秘書になって数ヶ月が経った。

 アルビナスのおかげで俺の生活は前とは比べ物にならない程にまともになったよ。

 仕事中は確かにアルビナスからの鋭すぎるツッコミは喰らうが仕事以外は自由しさせてくれるからね。

 いやぁ寝なくても良い体とはいえ、毎日ちゃんと寝ないと精神が磨り減るから寝れるだけでも本当に助かる。

 今日はそんな俺の一日を紹介しよう。

 

 〜6時00分〜

 

「ハドラー様、起床のお時間です」

 

「ふぁ〜、おはようアルビナス」

 

 毎朝6時00分ピッタリにアルビナスが起こしてくれる、有り難いのだが何故か毎度俺のベッドの横におるんよね? 俺は確かに寝室にカギをして寝てるんだが。

 

「今日のモーニングはハムエッグとポテトサラダとジャムトーストとハドラー様の好きな甘ーいカプチーノです」

 

「何時もありがとうな」

 

 そして必ず朝飯の用意もされてる、本当に不思議なんだが俺の好みも完全に把握されてるんだよね。

 あれか、禁呪法で生み出したからアルビナスの好みが俺と一緒なんかね? 

 

「さぁ、さっさと食べて仕度して下さい。今日もお仕事は沢山ありますよ?」

 

「はーい」

 

 〜7時00分、仕事開始〜

 

 さて仕事するか、つっても以前に比べたら格段に楽なんよね。

 何故なら、

 

「ハドラー様、今日優先するべき書類はこちらになります。またこちらの書類は明日までに終われば良いのでソチラが終わり次第お願いします。後、この書類はハドラー様のサインが無くても良いモノですので私が代わりにやります、後で確認だけお願いします」

 

 アルビナスが優先度の高い順に割り振ってくれるからね。

 しかも以前は下から上がってきた書類に不備があれば前は俺が直接書いた奴のとこ行って確認したが今はアルビナスがやってくれる。

 

「ハドラー様、姿勢が悪いです! 司令ならいつなんどきでも人に見られて恥ずかしくない姿をして下さい!」

 

「はいっ!」

 

 この説教さえ無ければ本当にアルビナスは最高なんだけどね。

 

 〜12時00分〜

 

 んー、昼やな。

 

「ハドラー様、ランチのお時間です」

 

「本当に毎回時間に正確やね」

 

 俺、アルビナス作るときに時計でも混ぜたっけな? そう思う程にはアルビナスは時間を厳守する。

 

「食べながらで良いので聞いて下さい」

 

 俺はムシャムシャと昼飯食いながら頷く、前に食いながら返事したら「お行儀が悪い!」って怒られたからね。

 

「現在の各団の兵士集めの状況報告です。魔影軍団、不死騎団は順調です。ミストバーン様、ヒュンケル様の両名により、かなりの数の兵士が揃いました。ですがそろそろ『さまようよろい』の材料となる鎧や『しりょうきし』用の死体のストック等が尽きそうです」

 

 その辺はしゃあないよね、暗黒闘気さえあればいくらでも作れるといえど材料は要るからね。

 

「次に妖魔師団ですが数は揃いましたが質に関してはイマイチといったところですね。個々の兵士一人一人の習得魔法のレベルが低いです」

 

 それな、原作やゲームでは中位上位の呪文をバンバン使ってたモンスターでも、この世界では個々のレベル次第で覚えてる呪文で違う。

 俺は食後の茶をすすりながらアルビナスに自分の意見を言う。

 

「その辺はザボエラ、ザムザが頑張って各兵士のレベル上げやってもらうしかないね」

 

「はい、ですが副官のザムザ様はともかくザボエラ様は……」

 

「またサボってバーン様のトコにゴマスリに行ったの?」

 

 ザボエラはどうも俺をナメきってるみたいで、しょっちゅう仕事をザムザに押し付けてバーンのトコに行こうとする。

 原作では途中までは原作ハドラーにもゴマスリしてたが、この世界では俺が任せた仕事を放置してまでバーンに直接取り入ろうとするんよね。

 多分、原作ハドラーとは違い俺が出世とか保身に一切興味無いから取り入る旨味が少ないとか思ってるんかね。

 あの妖怪ジジイめ、書類作成能力と研究者としては超がつくレベルの一流だから魔団長にしてるがそうじゃ無かったらザムザとマジで交代させたい、残念ながらまだザボエラの方が能力は上だから交代させられないけど。

 ザムザがザボエラ以上に成長したらガチで交代させようと密かに決めてたりするのよね。

 

「ち、しゃあないから午後からザボエラに説教するか」

 

「ハドラー様、それには及びません」

 

 へ? 

 

「ザボエラ様はバーンパレスに移動中のとこを私とミストバーン様で捕まえて、今は自室で椅子に縛り付けて頭と膝に漬物石を乗せた状態で仕事をさせてますわ。ふふふっ、監視役をミストバーン様にお借りしたパペットマン三体にやらせてますから魔法で脱出する事も出来ませんからご安心して下さい」

 

 自業自得なんだがちょっとだけザボエラに同情、つかウチの副官が優秀すぎて怖い。

 

「次は百獣魔団です、こちらは地上のモンスターの勧誘をしてますが、やはり人間達に気付かれない様にとなると、かなり手こずってますね」

 

 これはクロコダインに能力が足りんと言うより俺のせいやね。

 俺がクロコダインにくれぐれも目立つなと言ったから手こずってるんよ。

 何でこんな指示出したかと言うとアバン達、現在の勇者パーティに気付かれない為。

 原作開始時点では勇者の家庭教師の仕事ばかりで自身の鍛錬をサボってたのと老化(確か原作開始時点で三十前後やから全盛期は過ぎてるよね)で衰えたアバンだが、今はまだ二十代で全盛期バリバリ。

 おまけに当たりさせすれば問答無用で消滅させる『メドローア』を使えるマトリフ、数十秒なら本気出したミストと戦えるブロキーナまでいる。

 マァムの両親に関してはどれ程強いか分からんが、それでも勇者パーティの一員だから弱いことはないやろ。

 

 そんな連中にいくら獣王と言えど準備が万全では無い状態で戦わすなんて自殺行為以外の何物でもない。

 だでクロコダイン自身は渋ったが人間達に極力見つからん様に行動すりように言ってあるんよ。

 どうせ俺とバーンが地上に拠点移したらモンスターは凶暴化するんだし、クロコダインはゆっくりと原作のガルーダみたいな中隊長やれるような忠臣探しをしてくれればいいさ。

 

「そして超竜軍団ですがハッキリ申し上げると、この軍が一番兵士の集まりが悪いですね」

 

 これもしゃあないよ。

 ドラゴン種は強力だがそれ故に個体数が少なく、しかも群れる習性が無い。

 だから、いかに竜の騎士バランと言えど一体づつ探して力で一度上下関係を叩き込まないといけないのよね。

 

「百獣魔団と超竜軍団は予想通りやね。まぁゆっくりやって貰うしかないさ」

 

「ではクロコダイン様とバラン様には、そうお伝えしときます」

 

 本当は魔界のモンスター達を軍を組み込めば楽なんだが、それは出来ない。

 実は魔界のモンスターには致命的な弱点がある、それは太陽光に弱いって事だ。

 魔界にはもう何万年と太陽光が無い、その為に魔界のモンスター達は太陽が無くても生きていける様に進化した。

 これ自体はいい事なんだが逆に言えば太陽光、もっと言うなら太陽光に含まれる紫外線に耐性が無いんよ、どこぞの乙女の柔肌かよ。

 皮膚が厚かったり、そもそも生物として強靭な種族なら大丈夫だが、スライムベスや大ミミズみたいな皮膚の弱いモンスターだと一時間もあれば紫外線で焼かれて死ぬ。

 そうでなくても大抵のモンスターなら皮膚の炎症は避けられない。

 これは完全に俺の予想だが原作で魔界のモンスターの出番が少なかったのも、この弱点があったからじゃないかな? 

 

 バーンは魔界に太陽光を注ぎ込む為に地上を吹き飛ばすつもりだが、この計画自体この弱点のせいで実は破綻してるんじゃないかね? 

 ちなみに俺の種族である魔族は強靭な種族に該当するので日光の下でもへっちゃら、でも地上行くときは念の為に日焼け止めクリームを塗ってるよ、肌荒れ防止は大事よね。

 

「では最後の氷炎魔団ですが……」

 

「いや言わなくていい、何となく予想できるし」

 

 フレイザードだしね。

 

「ですが業務ですので一応報告します。数自体はかなり揃いましたが、その内の1/3が『ばくだんいわ』なのが気になりますね」

 

「あいつはブレないね、本当に」

 

 フレイザードはアルビナス以上に俺の性格を受け継いでるから説教しにくいのよね、自分自身を怒ってるみたいで。

 妥協案として鬼岩城の外にプレハブ小屋を作って『ばくだんいわ』専用とした、んだが既に一つ目が埋まり二つ目のプレハブ小屋も既に半分埋まったよ、そろそろ三つ目作らなかんな。

 だが職人肌なフレイザードが丹精込めて作った『ばくだんいわ』の出来は良いんよね。

 普通の『ばくだんいわ』の数倍の威力のメガンテを誇るフレイザード特製『ばくだんいわ』は侵略戦争しようとしてる我が軍には有用なんよ、神風要員として。

 だから余計に注意しにくいんよね。

 

「報告は以上です」

 

「報告ありがとう、んじゃ午後の仕事するか」

 

 〜13時00分、午後の仕事開始〜

 

 さて次の書類は……げ、バーンからかよ。

 バーンは用事ある時は前は悪魔の目玉使って直接呼び出されたがアルビナスに言われて(心が折れるまで怒られたとも言うザマァww)からは、ちゃんと書面と言う形で伝えてくれる様になった。

 嫌だが読むか、何々……今の魔王軍の組織図を知りたい、か。

 以外とまともやな。

 

 アルビナス作る前は、やれ暇だからチェスの相手をしろだの、やれどれだけ強いから知りたいからバランと一騎討しろだの、と無茶振りばかりしてきたんよね。

 その度にミストと酒好きなクロコダインと三人で(偶にザムザも加わって四人で)愚痴りながら呑んだなぁ、まぁミストは呑めんから一方的に聞いてる事が多かったが、だが偶にミストが半ギレして俺とクロコダインが聞き役になる日もあった。

 

 まぁそんな事は置いといて、現在の魔王軍の報告書作るか。

 

 まずはトップ、大魔王バーンやね。

 この下に本来は右腕たるミストが要るんだが今は魔団長だから外す、と。

 だから大魔王直属の部下は普段殆ど居ない死神キルバーンと、前世で言うとの警備部に該当するマキシマム率いるバーンパレス守護部隊の十六体のチェス戦士がいる(以前、宝物庫に忍び込んだ時にオリハルコンの駒無いなぁって思ったら全部この部隊が使ってやがったよ、チクショー)。

 ちなみに何故かマキシマムに俺はアホみたいに嫌われてるので殆ど話した事がない、何故に? 

 

 んで次は俺、つまり魔軍司令ハドラーと魔軍司令補佐アルビナスが所属する司令部。

 本来なら更にこの下に司令直属の親衛隊が所属するんだが俺の命令で作ってないから司令部所属は俺達二人だけやね。

 まぁアルビナスが優秀やし忙しい時はミスト、ロッキー、ザムザが手伝ってくれるから今は二人でも問題無いよ。

 この司令部が前世で言うとの総務部兼経理部に該当する。

 

 次は百獣魔団、団長は獣王クロコダインで副官はガルーダ。

 いや副官が喋れないモンスターな時点で色々アレだがクロコダイン自体が事務仕事を期待出来ないからもう色々と諦めた。

 所属する兵は植物系、動物系モンスター、虫系モンスター、スライム種などに加えて俺が割り振ったホークマンやガーゴイルなどの呪文を比較的に得意とする悪魔系モンスターやね。

 

 そんで超竜軍団の団長は竜の騎士バラン、副官は竜騎衆の陸戦騎ラーハルト。

 他にも鳥人間やトドマンが竜騎衆が居たはずだが俺は見たことない。

 所属する兵はドラゴン、ヒドラ、ガメゴンロードなどのドラゴン種。

 この二つの軍団は現在は地上にて兵士集めしてるから前世で言うとの営業部やね。

 

 次は不死騎団、団長は若きエースのヒュンケル、副官は腐った死体なのに全く腐ってないモルグ。

 所属する兵はゾンビやガイコツなどのアンデッドモンスターだ、余談だが不死騎団にも悪魔系モンスターを割り振ろうとしたんだがヒュンケルに思いっきり断られた、ぴえん。

 

 んで氷炎魔団、団長は俺の長子のフレイザード、副官は頼れる事務員で爆発しない『ばくだんいわ』のロッキー。

 所属する兵はフレイム、ブリザードなどのエレメント系にゴーレムやストーンマンなどの物質系、そしてフレイザードの趣味で山のように作られた『ばくだんいわ』……。

 

 この二つの軍団に関しては今は育成枠やね、基本兵士作り以外の仕事はあまり振らんようにしてる

 団長二人がまだ若いし自分の修行に集中して欲しいからなるべく余分な仕事を回さんようにしてる。

 その代わりに副官達は司令部に借りてるけどね。

 

 お次は妖魔師団、団長はサボり魔妖怪ジジイのザボエラ、副官はその息子な筈なのに性格は全く似なかった妖魔学士ザムザ。

 所属する兵は魔法使い型モンスターに悪魔の目玉、あとは俺が割り振ったアークデーモンやトロールなど肉弾戦が得意な悪魔系モンスターだ。

 ここは技術開発部やね、俺が超魔生物になる為に必要だからなるべく予算を回すようにしてる。

 ミストやアルビナスに睨まれんように予算を増やすのは大変だが俺の将来的に絶対に必要な部署でもある。

 

 最後は魔影軍団、団長は俺の苦労人仲間のミストことミストバーン、副官はミストの分身のシャドー。

 所属する兵は暗黒闘気で出来てるゴースト型や『さまようよろい』などのリビングアーマータイプのモンスターやね。

 ミストが魔王軍最古参なもんで俺が色々頼ってる軍やね、正直今からでも良いからミストと司令代わって欲しいよ

 

 と、改めて思い返すとに我が軍も形になったなぁと思う。

 まだまだ完成とは言えないが原作開始までには何とかなるでしょ。

 さてこれらの情報をバーンに見られても問題ない書類にしたら、そろそろ今日の業務も終わりか。

 今日は仕事終わったら何しようかな? 

 

 ▼▼▼

 

 オ・マ・ケ

 

「ではこれより第一回、魔王軍副官会議を始めます。司会進行は魔軍司令補佐の私、アルビナスがやらせて頂きます。まずは初対面の方もいらっしゃいますから自己紹介からお願いしますm(_ _)m」

 

「クァクァ、クァー! (百獣魔団のガルーダだ、よろしく!)」

 

「(何故鳥がここに?)超竜軍団の陸戦騎、ラーハルトだ」

 

「はじめまして、氷炎魔団の副官をさせて頂いておりますロッキーです」

 

「おや次は私ですな。モルグと申します。所属は不死騎団です」チリーン♪

 

「魔影軍団副官のシャドーです、シャドーだけに影が薄いですがこの会議では頑張ってアピールするつもりですので、よろしくおねがいします」

 

「キヒヒ、最後はオレか。妖魔学士ザムザだ。所属は妖魔師団、よろしくな(本当は司令部所属になってハドラー様の右腕になりたいが)」

 

「(何やらザムザ様から不穏な気配が、気の所為?)この会議は我々副官が所属に関係なく意見を交換する場として設けました。皆様どんどん意見を言って下さいね」

 

 ▼▼▼

 

「……ミストバーンよ、ついにオマケにまで余の出番が無くなってしまったんだが」

 

「……(バーン様、自業自得ですw)」




魔界のモンスターが日光に弱い設定は本作オリジナルです、原作ではそんな描写はありません。
魔界のモンスターが出番が少ない理由をこじつけた結果こんな感じになりました。

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