銀河を駆け抜ける騎士王   作:黒が好きな生き物

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トラブルと驚きそして別れの第二話

「っくそ!」

 

俺は銀河を自身の操る機体で駆け抜けた。

 

「隊長には聞いてたけどヴァジュラがこんなにすばしっこいとは……ッ!」

 

右へ左と高速移動中の敵機の尻に噛みついたままの俺はそのまま離れないように敵の動きをトーレスするかのように操縦桿を操る。

ミサイルを豪快にばら撒き敵を狙うがチャフをの様な物を展開されそれは意味をなさない、何ならその何かに衝突しそうにもなるがバレルロールと呼ばれる機動を取ってこれを回避…するんだけど。

 

「!?」

 

操縦桿を傾けたが体感コンマ一秒ほどのラグがありこのままだと回避は不可能と判断、素早く補助エンジンと補助スラスターを使って強引に回避すしたがその結果目標と距離はかなり離れてしまう。

 

「ッチ! このままだと不味い!」

 

4000メートル先にはデブリ群あそこに入られると俺の機体の性能だと不利、かなり厄介な。

敵がデブリ群へと入る前にミサイルを発射、同時に搭載されてあるガンポットの引き金を引き敵が直進するのを防ぐ。

ミサイルは敵を捕らえそれを避ける為に敵は進路を変更し飛行するがはっはは、それは囮だ! 囮につられ避けた敵を誘導、さっきの感覚を元に補助スラスター限界にぶっ放し起動を微調整しながら再度ガンポットから吐き出され続ける弾で敵を貫き撃破した。あぁーックソが! 

 

「OSが機体性能に追い付いてない!? アップデートはしていたはずだぞ!」

 

確かにこの機体はまさにじゃじゃ馬だ。だがそれは性能云々ではなくこの明らかに時代遅れで反応の遅いOSのせいでじゃじゃ馬ではなく暴れ馬、無理矢理操らないと操縦がまともにできない。

 

【スカル5、何やってる!?】

「機体不良だ! 少し待て」

【こっちは親玉の相手をしているだ、そんなことはしてる場合では―――】

 

俺は以前知り合いに教えてもらった方法でメンテナンスシステムへとアクセス、反応キーの感度を2倍に変更。機体を左右に振ってその具合を確かめる―――よし。

 

【―――だからお前も援護を】

「もう済んだ」

 

進路をリーダー機から送信されたポイントへと合わせフットペダルを深く踏み込み熱核バーストエンジンが火を噴き上げ、増速する。

 

「ははは……トラブルもあったがここまでの性能とは……」

 

体への負担も大きいがあまり気にならないぐらいには俺は機体の加速性能に驚いていた。

 

VFー19SF フラッグ

 

偶々マーケットに上がっていた機体を俺が買い取りSNSの整備班に依頼してそれをリペア、使用的には俺専用の機体となってたんだけど……まさかOSが未調整のままとは思わなかった。‥‥ってか調整するためのプログラムを事前にインストールしていたはずなんだけどな。

 

確かに古い機体だ。総合的性能だけを言えば隊長や先輩が乗っているVFー25よりも少し下の性能だが、それは武装面が足を引っ張っている結果の話であり飛行性能限定で見ればVFー25を大きく凌駕している為に問題はない。

 

「スカル5隊長の指示に従い、援護行動へと入る」

 

若干感度が高すぎる気もしない操縦桿の感触に錐揉みしながら俺は訳でもないがこれぐらいなら問題なく、飛べる。

俺はさらにペダルを踏んで加速して元へと向かった。

 

味方艦隊の対空砲火を潜り抜けるヴァジュラども。俺達も振り切られないように追尾をしているが……なんて奴だ。

 

「赤いのの攻撃能力が高い‥‥隊長の言う通り親玉か?」

 

赤色の大きい個体は護衛艦を一撃で破壊、防衛ラインを食い破っていく。

 

俺と先輩の二人は何とか追撃するが……っく!

 

「先輩、このままだと最終防衛ラインが!」

【分かっている!】

 

近付けまいと艦隊は総力を挙げて防衛線を張っていたのだがバルキリー並みの機動力に準用戦艦クラスの攻撃能力を携えているヴァジュラ相手では艦艇では役に立たず俺と先輩の二機のバルキリーで追撃をなおも継続するが届かず船団の旗艦であるアイランド1への接近を許してしまう。

 

【アイランド1内での戦闘に映るぞ!】

「了解」

 

俺は機体に装着してあるスーパーパックと呼ばれる宇宙用の外装を脱ぎ捨て敵が開けた穴へと潜り込んだ。

 

「ックソ」

 

俺の機体は宇宙で真価を発揮する機体、このような閉鎖空間では得意である高機動が封じられてむしろ動きづらい。それに加え俺は重力下での経験が浅い。だから慎重にスロットルを操作して飛行に移った。

 

【先に行ってるぞ!】

「直ぐに追いかけます!」

 

そのことは先輩も承知で先輩の操るVFー25は先にヴァジュラが向かったブロックへと飛び立った。でも、この時の俺は後に呪うだろう。この時の誤った判断が、彼を死に追いやったのだから―――

 

 

 

※※※

 

「うぉおおおおおおお!」

 

俺はパイロットがつい先ほど死んでしまった後に残されたこの機体へと乗り込み見たことも無い兵器か生物なのか分からない相手へ向かって引き金を引いている。

近くにはあの時、ライブ前に出会った女の子がいる。ここで引いたら恐らく女の子の命はないだろう。幸い俺の今纏っているEXギアは軍の正式採用された物と同一タイプ、だからこそ俺は操縦方法も分かる。

数分赤い何かへと撃ち続けているのだがまるで効果がない。くそ、一体どうなっているんだ! そうすると武器は弾を吐き出さなくなり正面の画面にはゼロの数字がって―――

 

「弾切れ!?」

 

弾切れに気付いたのか奴は俺へと多き被さろうとするが俺は武器を放棄、何とか取っ組み合いの形へと持って行けたけれでもこのままじゃやられるのも時間の問題だ。

じりじりと追い詰められている時、俺と敵の間に黒い機体が割り込んできた。俺を後ろ側へと無理矢理追いやり代わりに取っ組み合いの様な形になったんだが。VF-19!?骨董品が何故ここに?

 

【誰だ! 誰が先輩の機体に乗っている!?】

 

そしてその機体から響いて来た声は俺の聞き覚えのあるもので……まさかアルトリアか!?

驚きもつかの間黒いVFー19はバトロイドからガオークモードへと変形すると内部兵装のミサイルを派手に連発し始めた。

全弾といかないものの敵へとダメージは通っているみたいで怯んでいる。

 

「す、すげぇ」

 

【とりあえず話は後だ! お前はその娘を連れて今すぐ逃げろ!】

 

ミサイルを討ち終わった直後にそう言われ、俺はあの女の子の事を思い出す。

 

「あ、あぁ!」

 

何とか初めての操縦ながらも女の子を俺は掴む。っく、実際の機体はやっぱり操作が難しい。

 

【かすり傷でも負わせてみろ、反応弾で蒸発させてやるッ!】

 

そんなセリフをかけられ俺は内心さらに真剣な気持ちとなりながら女の子を連れてその場を後にした。その後は外宇宙へと放り出されそうになった女の子を頑張って救出したり他の奴に狙われてアーマードを装備した機体に助けられられたりと色々とあったが何とか無事に逃げ切ったのだった。

 

「それにしてもよかったな鼓膜敗れてなくてよかったな」

「私、ゼントランのクウォーターだからね」

「見かけによらずタフな訳だ」

 

その後俺達は近くの公園へ機体を不時着させ、生き残った事への安堵を胸に抱いていた。

 

「うふふ…それにしても今日は助けてもらってばっかりだね、本当に本当にありがとう!」

 

そう言って頭を下げる女の子。

 

「え? あ あぁ」

 

それに一瞬俺は頭が追い付かなかったが、確かに言われてみれば今日はこの子を助けてばかりだと思う。でも、今回は俺のおかげではない。

 

「こいつのおか―――あ…」

 

バルキリーのおかげ、そう言おうとした時俺の脳裏にあの光景がフラッシュバックされる。この機体の元の持ち主の最後の姿が。

彼は勇敢に戦っていた。身動きも取れなくなった状況の中、コックピットから飛び出し生身で渡り合おうとしたのだから。だからこそ―――

 

「…礼を言われるのは俺じゃない……」

 

「え?」

 

悲しい気持ちが浮かび自然と足はあの場所へと向いていた。あの惨劇の起こった場所へと――――

 

 

一頻り感情の整理を終えて家に帰るとそこには憎たらしいぐらいの何時もの光景が広がっていた。

 

「あ、お帰りだ、アルト。今日は遅かったな」

 

いつものように夕飯を用意して俺を待っているアルトリアの姿が。お前が……本当にあの機体に乗っていたのか?

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