八重樫道場ではハジメ、香織、雫による戦いが行われていた。
三人が出会った事がきっかけなのか、炎の純度が上がりボンゴレ匣の開匣が可能となった。
グローブ、レンズ、四刀。
それらを使いこなすために訓練が可能な場所を求め、雫の家族達がボンゴレの力に興味を持った結果、八重樫道場の使用許可を得ることが出来た。
香織の力が有幻覚を生み出せるレベルまで高まったことも理由の一つだ。
道場内に生成された空間や物質のおかげで、道場の損傷を防ぐことが可能となった。
三人の家族が安全に観戦する事も出来るようになり、関係者のみ存在する時間帯を作り、三人の訓練が開始された。
その内容を見ていたものは驚愕することになる。
訓練が始まると目に見える変化として、ハジメに額に炎が灯った。
その直後にグローブが炎を纏った瞬間ハジメの姿が消えた。
直後にハジメが姿を現す。先ほどまでいた場所とは真逆の場所に。
炎を推進力とした高速移動。それだけではなく、空中で様々な軌道を描いてみせる。
香織は有幻覚で障害物を生み出しハジメの移動を妨げるように配置する。
ハジメは回避出来ない物を足場にして移動するが、実体を持たない物に気づかずに態勢を崩す。
香織にレンズを使われた際の幻覚は、ボンゴレの超直感すら欺くレベルであった。
雫の四刀には八重樫家は特に驚いていた。長刀と三本の小刀に死ぬ気の炎を用いることで、ハジメに比べ速度は劣るものの、より複雑な機動力を有していた。さらに四刀による変幻自在な剣技は八重樫家の者でも再現できない物であった。
各々が自身の力に慣れたタイミングで、模擬戦闘が始まるようになった。
ハジメと雫の対戦が主であり、時折香織が乱入する形式だった。
雫の雨の炎を纏った攻撃は、受けてしまえば鎮静の効果によりそのまま勝負が決まりかけない。
そのためハジメはすべての攻撃を回避、あるいは己の炎で受けなければならない。
その状況下で香織の幻術が現れれば、お互いに対処を誤ることも少なくない。
もちろん直後には香織が二人に狙われる事になる。
幻術だけでなく己の身で自衛を求められ、最初の頃は容易く脱落する事が殆どだった。
それでも暫くすれば、三人で近接戦闘を行える程に力を身に付けていた。
訓練を続けていく内に三人は交流を深めていった。
それぞれ自身の交友関係を持ちながらも、ファミリーとしての関係も大切にしていた。
三人だけで行動する事も少なくはなかった。
その際、雫は可愛らしい装いをすることが多かった。
普段の凛々しさから、周りの人間の殆どが気づいていないが、実際は人一倍女性らしい振る舞いや趣味を重視しているのが雫だった。
周囲の目を気にしているわけではない。
単純にそう言った話題を出してくる者がいないため、それを披露する機会がなかったのだ。
ハジメと香織には交流を深める過程で自らそれを話していたため、気兼ねなく好みの装いなどをすることが多くなっていた。
結果としてボンゴレ関係者以外の者には、雫の好みが知られる機会がなくなっていた。
その日常は不意に崩された。
クラスメイト達と共に異世界トータスへの召喚。
そして、残りのボンゴレファミリーとの出会いと強大な敵との戦いが待ち受けていた。