イシュタルと共にハイリヒ王国の王宮に着いたハジメ達は、玉座の間へ案内されていた。
国王が出迎えた際の態度からすると、教皇の方が立場が上の様だ。
王族や国の主要人物との自己紹介の後、晩餐会が開かれる。
気後れしている生徒が多い中、光輝は積極的に交流を図っていた。
晩餐が終わり解散になると、各自に与えられた部屋へと案内される。
僅かな時間だが、ハジメ達は貴重な休息を得ることが出来た。
翌日から訓練と座学が始まった。
訓練責任者である騎士団長メルド・ロギンスから、ハジメ達に渡されたプレートについて説明される。ステータスプレートと呼ばれるそれは身分証にもなり、魔法陣に血を垂らすことで所有者登録をした者のステータスを示すのだという。
今後の訓練の参考にするためステータスを報告してほしいという。
各々がステータスを確認する中、ハジメ、香織、雫の表情は芳しくない。
名前や年齢は確認できたが、肝心のステータスが表示されていない。
光輝達からは高いステータスを確認できたようだが、三人だけが例外となっている。
とれる選択肢としてはそのまま報告するか、香織の幻術で偽装するか。
だが、目視以外での確認方法の可能性を考えれば、幻術はリスクがある。
ハジメ達はありのまま報告することを選ぶ。
メルドは初めて見るそれに戸惑っていた。ステータスプレートの不具合も疑われたが、機能自体に異常が発生している様子はない。原因もわからないため、この件を深く追求することはないようだ。
その後訓練が開始されるが、ハジメ達は自身の能力を意図して抑えていた。
死ぬ気の炎を迂闊に使うことは出来ないが、それでもハジメ達の身体能力は高い。
下手をすれば最もステータスの高い光輝すら上回るかもしれない。
それを示すより、能力が低いと装う方を選んだ。
ステータスが表示されない状態で力を示せば、異常さの方が目立つだろう。
それならば力を持たない無能者と認識される方が、危険は減らせる。
訓練を経ても力を増す様子のない三人は、座学の方に時間を回される事が多くなった。
これは有難いことであった。実際は高い戦力を有するハジメ達にとって、むしろ情報を得る機会が増える方が好ましかったからだ。
ハジメ達の持つこの世界についての情報は限られたものだ。
イシュタルの言葉だけを鵜吞みにすることは出来ない。
このままではまともな情報もなしに、魔人族との命のやり取りをすることになる。
可能であるならばこの世界を回って、自分の目で確認したいと思うが、そう容易くできる事ではなかった。
そんな時にメルドに告げられたのは、実践訓練としてオルクス大迷宮へ遠征に行くという事。
ハジメ達はまだ知る由もない事だが。
そこにはボンゴレファミリーの守護者の一人が存在していた。