魔王生徒カンピオーネ!   作:たけのこの里派

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二話目でお気に入り登録と感想を一杯頂き、感謝。



第三話 変態司書と弟子入りと

 前回のあらすじ。

『実はナギはエヴァンジェリンに会った時は既に結婚していたんだよッ!!』

『な、何だって──!?』

『そして全てはッ、ノストラダムスゥゥゥウううッ!!!』

 

 あらすじ終わり。

 

 

 

 

 

 

「──────ふ、フフフ。そうか、私と会った時点で奴は既に既婚者だった訳か。道理で私に靡かん筈だ」

 

 森に佇み、風情溢れるログハウスの一室で紅茶を持って、しかし口元は引き攣り汗を浮かばせながら笑っている金髪の少女が一人。

 

「いやね、既婚者関係無く靡かねェと思うよ? 肉体年齢的な意味で。どこぞの変態古本野郎じゃあるまいし、社会的な意味でエヴァンジェリンの見た目で結婚はキツいって」

「うぅ……」

「肉体を成長させたり出来ないのか? 幻術違くて」

「吸血鬼の真祖にされたのが十歳で、そこから不老不死だから……。成長させるには神話級の霊薬でも無いと……」

 

 四つん這いで落ち込んでる金髪ロリを、小一が慰めるという、なんともシュールな状況が完成していた。

 

「続き……聞く?」

「…………聞く」

 

 

 

 

 第三話 変態司書と弟子入りと

 

 

 

 

 

 

「さて、それでどうしてナギが封印される状況に繋がる?」

 

 流石復活早い。

 どこぞの紅魔館のカリスマ(笑)吸血鬼とは違う貫禄を見せたエヴァンジェリンだった。

 

「まぁ、その後アリカ女王はナギ・スプリングフィールドの『立派な魔法使い(マギステル・マギ)』活動を影ながら支えてた訳だ」

 

 そして八年後に『完全なる世界(コズモエンテレケイヤ)』がその活動を再開した。

 舞台は、魔法世界から旧世界地球へ。

 

「どういう事だ? 奴等の親玉はナギが潰したのだろう」

「それが(やっこ)さん、ただ殺しても死なんのよ。例え体を消し飛ばそうが、近くにある死体やら何やらに乗り移るらしい。どこぞのRPGに有りがちなラスボス設定だよ」

 

 殺せるけれども蘇るから『不死』ではなく『不滅』。

 そもそも皐月の原作知識でも造物主のその性質は詳しく説明されてはいない。

 

 大分烈戦争時にはナギの師であるフィリウス・ゼクトの肉体を。

 そして原作十年前には相討ったとされるナギの肉体に乗り移るも、しかしナギの肉体ごと世界樹の地下に封印された。

 

 おそらくこの事を知ってるのは、紅き翼でもアルビレオ・イマと近衛詠春、ジャック・ラカンに封印場所となった世界樹のある麻帆良学園学園長、近衛近右衛門のみ。

 

 そして『完全なる世界(コズモエンテレケイヤ)』側はデュナミスを除く全ての幹部を失い、フェイトを再生させた。

 

「……アリカ女王はどうなった?」

「残念ながらそこまでは知らない。戦いに巻き込まれて亡くなったか、それとも封印の楔にでもなったか……」

 

 原作で彼女がどうなったか、最終話でも描写されていない。

 

「……まぁ良い。ナギがここまで近くに居るとは思わなかった。それにそのような戦いをしていれば、私の呪いを解呪するのも難しかっただろう」

 

 皐月は言えなかった。

 本当は忘れられていただなんて、今の彼女に告げるのは皐月の良心が憚られた。

 面倒臭かった訳では決してない。

 

「しかし、これでは私の呪いは解く手立ては本当に無くなってしまったな」

 

 エヴァンジェリンが穏やかに嘆息する。

 皐月の話を鵜呑みにするならば、死んでは居ないものの登校地獄の呪いを解く事は出来ないだろうと。

 しかし元々死んだと聴いて絶望していた以前に比べれば、幾分マシだった。

 

「いや、結構あるぞ?」

 

 しかしその解を皐月は否定する。

 

千の呪文の男(サウザンドマスター)』しか解けない呪いならば、『千の呪文の男(サウザンドマスター)』に“成って”解けばイイ。

 

 皐月がランドセルの中から一枚のプリントを取り出した。

 

「あったあった。昨日丁度、学園の職員名簿をコピーしたんだが……」

 

 皐月が指差したのは、図書館島の司書の職員名。

 何故皐月が態々こんなものを持っているかというと、

 

「……クウネル・サンダース……? 何だ? このふざけた名前は?」

「一昨日友人と図書館島に行った時に会ったが、外見は魔法使いみたいなローブを着た、常に胡散臭い笑みをしたイケメンな変態だった」

「……………………」

 

 そしてエヴァンジェリンは、そんな変態を一人知っている。

 

「なんか紅き翼のメンバーっぽい顔していたけども」

「────一体ナニをしてるんだあのエロナスビッ!?」

 

 変態の名はアルビレオ・イマ。

 紅き翼の参謀、原作に於いて図書館島の地下で10年間食っちゃ寝をしていた変態という名の司書である。

 

 有するアーティファクトの能力は、対象の半生の記録と、記録した特定人物の身体能力と外見的特徴を再生し、更に特定人物の全人格を完全再生する能力。

 

 つまり、ナギ・スプリングフィールドそのものを再生出来るのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 ────遡ること二日前、皐月は麻帆良に来て初めて出来た友人と図書館島に来ていた。

 

「ほぇー、ほんますごいなぁ」

「あぁ、パンフレットにゃ滝が館内にあるらしいぞ。常識が剥がれる音が実に喧しい」

「滝やったらウチの実家近くにあったで?」

「ぬぅッ! このジャパニーズブルジョアジーめがッ!! このこのッ」

「アハハハッ、くすぐったいわー」

 

 この皐月の横で、埼玉県にある麻帆良学園で京都弁を喋る少女の名は、近衛このか。

 

 原作に於いて極東最強の呪力を持ち、父親に英雄紅き翼の一人を持つ関西呪術協会長の一人娘。

 皐月のクラスメイト兼隣の席兼友人を勤めている。

 

 彼女は魔法組織としての麻帆良学園で、非常にデリケートな存在である。

 麻帆良学園の魔法組織、関東魔法協会の敵対勢力である、京都に本山を置く関西呪術協会の長の家系、近衛家の一人娘なのだ。

 

 何故彼女が麻帆良学園に居るのか、そもそも何故敵対勢力の長に同じ近衛家の近右衛門がなっているのか。それはまた今度話そう。

 

 問題は彼女の抱える死亡フラグである。

 極東最強の呪力に、日本古来からの呪術組織の長の一人娘。

 利用価値など掃いて捨てるほどあるのだ。

 原作ヒロインの中でも死亡フラグ発生率はアスナに次いで第二位。

 

 皐月も最初こそ木乃香の存在に戸惑っていたが、最近は自棄(ヤケ)になったりしてじゃれ会う程の仲になっている。

 彼女自身も、京都で幼馴染み親友にとある事故が切っ掛けで避けられ続けて辛かったのだろう。

 皐月という新たな友人(拠り所)を得て、皐月と出会った時から幾分明るくなっている。

 

 そんな姿に見かねて、原作知識からの危険(リスク)を知っていても放って置けなかった皐月だったりする。

 

「そして中は……一階はまともだな」

「ご本がいっぱいやなぁ」

 

 図書館島の内部一階、そこは凄まじい広さこそあるが、まだまともな物だった。

 

「あ、地下には行くなよ木乃香。アレだ、死ぬ」

「わかったえー」

 

 図書館島の地下には様々な重要な本があるため、盗難防止に罠が仕掛けられているなどが原因で中学生にならないと地下三階以下に行くことが禁止されている。

 

 そんな本を図書館に置くなと切に皐月は言いたかった。

 

 まぁ、その本が禁書クラスの魔導書やら何やらであることとを知ってる皐月は行くことは無いのだろう。

 最深部にはワイバーンらしき竜種まで居る始末だ、皐月にはとてもじゃないがやってられない。

 

 

 

 

「これはこれは。可愛らしいお客さんですね」

 

 

 

 

 皐月が思わず硬直する。

 その男はいつの間にかそこに居た。

 魔法使いの様なローブを身に纏い、フードを深く被り顔を隠しているものの、その整った口元は美形であることを示していた。

 

 皐月は彼を知っている。

 皐月は、このロリコンのド変態を知っている。

 

「どちらさまでしょうかァ?」

「おや? 何故彼女を庇うのですか?」

「どないしたんつっくん?」

 

 ここでこのか命名の皐月の渾名が登場したが、皐月は華麗にスルー。

 皐月は直ぐ様このかを庇うように前へ出た。

 そして皐月は、最後の確認を取る。

 それは別人かも知れない可能性と、別人であって欲しいという願望からの行動だったりする。

 

「……YESロリータ?」

「NOタッチです」

「このかぁーちょぉっとこの人から離れようかぁ」

 

 即答だった。

 その男にとって聖句であるが如く、一片の淀みの無い言葉だった。

 

「初めまして、私は此処の司書をやっているアルビレオ・イマと申します。貴女のお父上の詠春とは古い友人なのですよ、近衛このかさん」

「わっ、お父様のっ!?」

「このか気付いてぇー! 言ってない名前知っている時点でおかしいことに気付いてぇー!!」

 

 ────その後、紆余曲折の末にこのかを連れて図書館島から逃れることに成功した。

 尤も、このかが図書館島に興味を持ってしまった事が、残念でならない皐月だった。

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

「────という事があった」

「…………」

「だからあの変態司書からの凄まじい恥辱に耐える事を対価に、呪いを解いてもらう事も出来なくもないんだよ」

「ぬぅおぉ……究極の二択とは正にコレか……!!」

 

 俺の目の前でエヴァンジェリンが本気で頭を抱える。

 おそらくあの変態という名の紳士ならば、対価としてエヴァンジェリンの猫耳スク水セーラーぐらいは要求してくる筈だ。

 しかし呪いを確実に解呪できるのは、ナギ・スプリングフィールドを除いて、全く同じ能力を再生できる、アルビレオ・イマしかいないだろう。

 キツ過ぎる二択である。

 

 …………斬魔剣・弐の太刀については黙っておこう。

 何故か? その方がおもろいから。

 

「兎に角、変態の話は保留にしよう」

「あ、あぁ。それが最善だ」

 

 あの変態に対抗出来るのは同じレベルの変態だけ。俺の知る限りではネギの使い魔であるオコジョ妖精のカモだけだった筈だ。

 妖精なのに作中で一、二を争う変態とは業が深すぎる。

 ちなみに弄るか弄られるか、俺は弄る方だが、アレに勝てないことは先刻承知。エヴァンジェリンに至っては天敵だ。話にならん。

 

 にしても、

 

「疑ってないのか? 俺の話……?」

 

 自分で言ってて何だが、小学生がこんな事を喋るなんて怪しい事極まりない。

 そして小学生がそんな情報を知ってる訳がないのだ。普通荒唐無稽と鼻で笑われるレベルだというのに。

 

「フン、貴様がただの子供じゃないのは解っている。それともそれで小学生のつもりだったのか?」

 

 確かに。

 以前一度、鏡の前で演技して激しくキモかったから止めたのは嫌な思い出だ。

 

「創作にしては話が具体的で的確だ。筋も通っている。妄想と打ち捨てるのは早計だろう」

 

 あらこのロリ、冷静に分析してらしたのね。

 お兄さん吃驚。ご褒美に飴ちゃんあげよう。

 

「歳不相応の精神に知識、しかし肉体は子供のソレ。なら考えられるものは…………前世の記憶の転写か?」

 

 流石にこれは絶句した。

 前世なんてワードをジャストミートで言い当てたエヴァにゃん凄すぎだろ。

 

「……いや、転写って発想は無かった」

 

 偶発的だし、そもそも前の俺にはそんなファンタジー要素は皆無だけども。

 

「ふむ……まぁいい。約束通り弟子にはするが、そこからの成長はお前次第だ。いいな?」

「ありがたい。いやぁ良かった、そして緊張した」

「おや? どうして緊張する必要がある? 今の私は魔力がほぼ皆無だぞ?」

 

 絶対全部解って言ってるよこの女。

 

「魔力が無かろうと、気で強化された人間を容易く拘束する人形師の操糸スキルや、確か合気柔術も使えた筈だ。魔法無しでも並の魔法使いなら瞬殺可能とか、600年は伊達じゃ無いなオイ」

「フハッ、良く調べてるな。分も弁えている。気に入ったよ」

「さいで」

 

 エヴァンジェリンは上機嫌に立ち上がり、宣誓するように言葉を告げた。

 

「しかし覚悟をすることだな。貴様が踏み出した一歩は今までの常識と倫理が通用しない、殺し殺される世界だということを──────エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだ。今から貴様は私の弟子だ水原皐月。これからは師匠(マスター)かエヴァと呼べ」

「水原皐月。前世の記憶がある唯の小学生だ。これから宜しくお願いする、師匠(マスター)

 




今回は変態を伴いつつ説明回が終了。
アルの司書については、「10年間図書館島最深部にいた」「古本の魔導書が本体である」「図書館島事件は学園長主催」「メルキメデスの書」からの設定です。

解呪方法その二の、斬魔剣・弐の太刀。
クルト曰く「斬るものを選択可能」な斬魔剣。
なら、封印術式と精霊だけを斬れる筈なのでは。

エヴァへの弟子入りはテンプレですね


修正点は随時修正します。
感想待ってまーす(*´ω`*)


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