ちなみに更新はリメイクのクセに例のごとく遅いです。
それから数日後、南方は幕張鎮守府の正門に立っていた。見たところ外観は特に損傷はしておらず、静かすぎるという事以外は特に変わった部分は見られない。
「取りあえず艦娘たちが暴れている様子は無さそうだな」
南方は手荷物を詰め込んだキャスター付きのキャリーケースを引きながら幕張鎮守府の門を潜る。
「…
今更重くのし掛かる現実に南方の足取りが心なしか重くなる。訓練提督といえど所詮は実地研修の見習い、実際に艦隊の指揮をしたり鎮守府の運営の垣根部分に触れるような仕事をしたことはない。
つまり南方は『提督として正式に』活動するのはこれが初めてなのだ。
(…うだうだ考えても仕方ないよな、まずはここの艦娘たちの
「…ねぇ」
そんな事を考えながら廊下を歩いていると後ろから声をかけられる、ここの艦娘だろうかと思いながら南方は後ろを振り向いた。
「…あんた、誰?」
振り向いた先には艦娘と思わしき女性が立っていた。色素の薄いプラチナブロンド髪を腰の辺りまで伸ばし、銀色の
“誰”と聞いてはいるがその制服である程度察してはいるようで、騎士を思わせる艦娘は南方の事を鋭い眼光で睨みつけており、まるで親の
「俺は南方彰、お前たちを救うために本日付けでここに配属された提督だ、よろしくな」
「…金剛型戦艦一番艦の金剛よ、それにしても…へぇ、あんたがねぇ…」
金剛は南方の事を値踏みするようにじろじろと眺めていく、明確に“敵意”というものを向けられているせいか、新米提督同然である南方は緊張気味に金剛が自分を見定め終わるのを待つ。
「それじゃ悪いけど、帰ってくれる?」
気がつけば金剛は自身の艤装から対空機銃を具現化させ、その銃口を南方に向けていた。
「っ!?」
突然やってきた予想外の命の危険に南方は全身に鳥肌が立つの感じる、対空機銃は空母の艦載機を攻撃して撃墜させる為の装備だ、深海棲艦や艦娘そのものへの攻撃力は無いに等しいが、人間が食らえばそれこそピストルに匹敵するほどの威力を発揮する。
艦娘たちが心に
「ま、まて金剛!!お前たちの置かれている状況は事前に聞いている!俺はお前たちを救うために来たんだ!俺は金剛の味方だ!」
「…もう一度言うわ、今すぐここから立ち去りなさい」
金剛は南方の言葉に聞く耳を持たず、再度銃口を突きつけて警告する、その声は氷のように冷たいながらも、煮えたぎるマグマような強く熱い怒りを含んでいた。
「…金剛、俺の話を聞いてくれ、確かに俺は訓練提督を終えたばかりの何も知らない新米提督だ、だけど元帥からこの鎮守府を救ってくれと頼まれてここに来たんだ、俺はお前たちを救う使命がある、だから信じてくれ、俺は前任のような事はしない、もしそれでも信じられないなら、せめて俺に時間をくれないか?」
「…時間を与えて何になるの?」
「俺は俺のやり方でお前たちを救う、それで俺という人間をお前に見極めてほしい、もしそれで危険と判断したらその場で殺せばいい」
南方からの取引とも言える言葉に金剛は機銃を下ろし、顎に手を当てて考えるような仕草をする。だがはっきり言ってこんなモノは取引でも何でもない、南方からすれば今ここで殺されるという結果を先延ばしにしようとしているだけに過ぎないし、金剛の方も前任のせいで
「…分かったわ、ひとまずはあんたの言うことを信じましょう」
「…本当か?」
「…えぇ、何も知らない新米って事は
「…ああ、十分だ、ありがとう金剛、信じてくれて嬉しいよ」
「まだ信じた訳じゃないわ、あくまでも見極め期間よ、それじゃあ提督室に案内案内するから付いてきて」
金剛はやはり冷たい声で南方に言うと提督室に向かってさっさと歩き始め、南方も慌ててキャリーケースを引いて付いていく。
次回『食い違い』
置きみやげは既に腐ってる。
頑なに金剛をゲームの姿で登場させないのはあのエセ外国語を再現できないと思っているからです。