AF使ってダンジョンに潜るのは間違っているような…   作:aF

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めっちゃ忙しかったけどひとまず合間を縫って投稿です
予約投稿ミスってて全く投稿されないので昼休みの今こうしんです!!ちくしょうめ!!


第十話 酒!呑まずにはいられない!

「いやまさか僕たちが負けるとはね……さすがと言わせてもらおうか」

「スピネさんもロキ・ファミリアの皆さんもさすがです……この人たち以上の英雄に、僕はなれるのか?」

「しかし……彼には世話になるな……エリクサーじみた回復力を誇る謎の薬を投与されたのだったな? それに残り物も貰ってしまった……その礼も言わなくては」

「礼はいりませんよー、そもそも模擬戦で済まなくなっちゃったこちらが悪いので」

 

 アーティファクトの生産とサポートを止めることを前提にするなら『工房』は割となんでもできるあたりさすがのチートスペックだと内心舌を巻く。ベルとの特訓の時の回復薬よりいっそう効能が上昇しているな、とマキナを称賛する。

 

 マキナから帰る声がないことに若干気分が落ちるが、外界の、それも通信部が半壊しサポートも受けられるか怪しかった代物を直接操作するのは相当精神力を使ったらしい、今はすやすやと眠っている。

 

「ラウルー! できとるかー?」

「ラウルさんはフロアで忙しいんでかわりに報告します! 階下の準備、完了しましたー!」

「ようやったっ! いくでー!」

 

「これから始まるのはヘスティア・ファミリアへの謝罪も込みにしたロキ・ファミリアの歓待だ、ぜひ参加してほしい」

「立食会というやつでしょうかね、予想はできてましたけど団長さんどうしましょうか?」

「行きましょう、なかなかロキ・ファミリアのみなさんとお食事する機会なんかないです!!」

「ありがとう。では案内しようか、僕についてきてくれ」

 

 そんなやりとりのもと、彼らの食堂にて夕食を頂くことになったが、ヘスティア・ファミリアの2人の心持ちはというと。

 

(もしかしたらアイズさんと話せる……? き、緊張してきた……!)

(最後の攻勢、その起点を作った彼女に……逆転の一手足りえた魔剣持ちの少女……【九魔姫】と【千の妖精】でしたか、とても気になる……!)

 

 憧憬に恋する少年と戦闘に夢見る青年、似ているように見えて全く別の思いを抱いていた。

 

 ロキ・ファミリアをして戦闘狂以外の言葉が浮かばないスピネではあったが、その実際はアーティファクトを始めとする機構を輝かせる場、人物、時間……そういったものを愛す機構狂いである。結果として戦闘狂にもなれるだけ。

 

 あなたはミスで死んだ、ほれじゃあ異世界転生などという意味不明な状況に対し適応する人間がまともなはずがないのだ。社畜だったから現世への未練がないとか解放の喜びの反動であるとかは置いておいたとしても貫禄の狂いっぷりである。

 

 

 

「それでは……これからも我らに良き関係のあらんことを、乾杯」

 

「「「乾杯!!」」」

 

 クイッと酒杯を傾ける面々。無論中には酒でなくジュースや茶などを飲むものもいる。スピネはといえば、中央の方へ団長という代表者を残し、速やかに隅へ移動していたわけだが、気付く者はいる。

 

「おいクラネル……あいついなくねぇか?」

「うん? …………あれ? スピネさん!?」

「ははっ……主役たるところの団長を生け贄にさっさと撤退かな?」

 

「ワシの秘蔵の火酒の分け前分が瓶丸々もってかれとるわ、酒豪に類されるのか酒になれとらんのか……」

「普段分けられても呑めるとは思えんほど強いガレスの酒を? 相当な酒呑みにしか思えんな……」

 

 

 

 こんっと机に透明のコップが置かれる軽い音とともに、スピネは喉を通る熱さを楽しんでいた。このスピネという者は屈指の酒豪であり、またマニアでもあった。

 労働環境の改善を訴えるボイコットの際には溜め込まれていた金で多くの酒を買い、3日で呑んでしまったこともある。

 

 ちなみに1番のお気に入りはウォッカの高級品として知られるところのシロックであり、それを買おうと思えば多く買えるだけの金銭がたまりこんでいたこと、またそれまで趣味に金を使ったことがなかったことを思い出し涙したのはまた別の話である。

 

「美味しい……このお酒もっと都合してもらえないかな? ソーマ・ファミリアの……なんでしたか、『神酒』? あれもよくはありましたが……酒としてはこちらのほうが好きだ。喉を通る酒精の熱さ、いい穀物を用いたのか知りませんが豊かかつ複雑な香り、なにより不純物が一切なく仕上がった……なんだろうこれ……」

 

 スピネ、どんな興奮よりも長い独り言であった。そんな彼に近付く影1つ。

 

「すまない、このテーブルに同席しても?」

「えぇ構いませんよ……っと【九魔姫】じゃないですか」

「リヴェリアで構わんさ」

 

 ジュースを持ったハイエルフ、リヴェリア・リヨス・アールヴが偶然にも彼を発見していたのだ。

 

「そういうわけにも行きませんよ、そう呼べば周りのエルフさんが敵に回って再戦になりそうで怖いです」

「私たちをああも手玉にとっておいて今さらではないか?」

「違わないですね……でも秘匿できますから良し」

 

 なにも良くはないが、そういうことにすると2人の間ですっと目線が交わされ決議された。この件はここまで。

 

「しかし……その杯に注がれているのは?」

「ご自由にどうぞと言われたのでもって来たとてもいいお酒です、この逸品を作り上げたのはどなたか聞きたいくらいにはいい酒ですよ、呑みます?」

「瓶を軽く揺らすな……いや結構だ、すまないが私は酒には弱いんだよ。逆にお前はずいぶんと強いじゃないか」

「付き合いで呑んでるつもりだったのが気が付いたら好きになってましてね……そこの流れで強くならざるを得ませんでした」

 

 そんな話を交えながら酒とジュース、それぞれの杯が傾けられる。時折スピネが酒と混ぜ合わせるものについてあるかどうか確認を取り、それに答えるリヴェリアということもあったが、それ以外は特に何事もなく呑んでいる。

 

「あぁ……この話はしないと先ほど同意したつもりだったんですがこれだけは伝えたいことが」

「ん? なんだ?」

 

「ロキ・ファミリアに敬意を。躊躇わずその身を投げ出してもなお守り抜くという決意、心の底から称賛します。なにより……見えてましたよ、【九魔姫】。あなたの防護魔法が確かに【千の妖精】の身を包んだのを。逆転を生むその判断力……味方を信じるその力。私にはまだないものでしたから」

 

 それは本心である。アーティファクトという、一個人のために全体が統率された集団こそ連携の極地にあると思っていたスピネにとって、ロキ・ファミリアの連携は正しい意味の連携に映った。映ってしまった。だから、

 

「次に戦えば……私は勝てない。知ってしまったから。真に繋がる、繋がり合う……それこそが連携の真髄だと、気付いてしまったから」

「何が……言いたい?」

「ぁ……いえ……いい勝負でした、そしてあの戦いは私の糧になったんですということですよ」

「そうか、私たちが……」

 

 リヴェリアは彼の心に気付いていた。なんだかんだ敬愛する神ロキの片鱗は彼女の心と知恵に。

 

「(この男……自ら目的やらなにやらを決めているようで、そうではないな? 今は明瞭な目的のもと生きているが……それもまた一時的で、影響されている)」

 

 スピネの本質というか性質の一端を、彼女なりに見抜いていた。スピネが今までに見て、生きて、目標を目指して……そういったものは悉く、人に決められて与えられたものを歩んだだけである。

 

 学校で学んだ。それが義務だったからだ。

 大学へと進んだ。それが親の願いだったからだ。

 就職した。それが人として当然であるからだ。

 労働環境の悪い企業に勤め続けた。そこにいてくれ、辞めないでくれと願われたからだ。

 死んで、なんだかんだと言いつつも転生を受け入れた。それが神に望まれたからだ。

 

 ベルを英雄として育てるだろう。『それがベルに望まれているから』だ。

 

 では、それを終えた時、彼は次に何をするのだろうか? なにも望まれなくなったとき、彼は存在意義を見出だせるのか? 

 

 もちろん、リヴェリアがそれらの思いを知ることはできない。だが、リヴェリアの目には、空虚なナニかが見えたのだ。それはあの天に聳ゆる塔の上から地上を眺めやる美神が見たものと同じモノ。

 

 リヴェリアが考えを結実させ、言葉を放とうとする、その前に。

 

「ここにおったか! いたぞぉフィン!」

「おぉ見つけた、探したよ」

「ガレスさんにフィンさんじゃないですか、美味しいお酒をありがとうございます」

「おう! その火酒、これだけ呑めるとはさすがじゃのう! どうじゃ! 今度共に呑むと言うのは!!」

「構いませんよ、楽しみにしています」

 

 道化を共に敬愛する、共に戦った友たちがその言葉を防いでしまった。

 

 

 

 

 

「ふぅ……今晩はお世話になりました」

「いやいやこちらこそ、本当にご迷惑をお掛けした」

「申し訳ないのぉ、改めて許してくれ」

「頭をあげてください、ロキ・ファミリアはオラリオの最上位ファミリアなんですから!」

「そうですね、ロキ・ファミリアの名に泥を塗らぬ行動をと心より願い、謝罪を受け入れましたから」

「あぁ……ありがとう」

「ふん……悪かった、ヘスティア・ファミリア」

 

 ベルが先にホームへと戻ることとなり、追ってスピネも帰ることとなり、礼を互いに交わして別れる。

 

 リヴェリアは振り向いてそっと手を伸ばすような仕草を見せ……

 

「まぁ……次回彼が来たときにでもいいか」

「なにうだうだしてんだババァ、行ってこいよ」

「なっ!? 何を突然っ!」

「団長には適当に誤魔化しといてやるからよ」

「っ……すまん、そうしてくれ」

 

 そうして【凶狼】に背を押されるのであった。

 

「…………て」

「ん……この声は……リヴェリアさん?」

「待ってくれ……っと。ありがとう……」

「で、なんのつもりですか、そんなに急いで……」

 

 肩で息をするほどに疾走してきたのだ、相当のことでもあったかと気にする彼に彼女は一言。

 

「図書を解放するが……私の執務室にも、寄ってほしい。ファミリアには内密にしたいから追うしかなかったんだ」

「……場所はどちらに?」

「来てくれる、か。ありがとう」

 

 そうして彼女の執務室の場所を知り、次回はこの日にと約束を交わして改めて帰路につく彼をみやり、独り言。

 

「私は……お前のことが不安でならない。いつかあの少年が青年になり、英雄になったときのお前が。なぜこうしているのか、私にもわからんが……これは私の決めたことで、影響されたことでもないことだけは言いきれる」

 

 

 

 

 

「到着致しました、入室の許可を頂きたく」

「いいわ、入ってらっしゃいな」

「はっ……して、なにごとでありましょうか?」

「輝く子と……虚ろな子。私には見えてるの、表だって輝く癖にどこまでも虚ろで……私はあの子がとても嫌だわ? でももう片方はすごく輝いてる、だから……」

 

「オッタル、あなたに命じるわ……」

 

 

 




不穏!!次回は「怪物祭」へと行こうかなと思います!未定ですけどね!

プロットとしては
「怪物祭」→「装備変更」→「VS???withアイズ」→「ベルVSミノタウロス」までは確定、その間に学び回、主人公のメンタルケア回が入ったり入らなかったりしますということで!

オリキャラ二人目、【文明の先駆者】ルチル・クロフォード。白衣茶髪赤目眼鏡系研究になると饒舌な無口おねーさんを…

  • これからも出してええんやで(寛容)
  • オリキャラ2人はいかんやろがい!
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