AF使ってダンジョンに潜るのは間違っているような… 作:aF
あとこの物語はゆるく楽しくとシリアスを使い分けつつシリアスを控えめにぶち壊していこうと決めました。
煌めく星空の下、空が見える古びた教会で。天を見上げる1つの影があった。古びた教会の、古びた備え付けの席に座って時折黒髪を払うその姿はどこか神秘さを感じさせる。その影は目線1つも向けることなく。
「なにやってるんですかヘスティア様、こんな夜中に」
隠れた神の存在を看破した。
「いやごめんねスピネくん、覗き見なんてつもりはなかったんだけど声をかけづらくって……」
「いえ構いませんけれど……ほんとにどうなされました?」
「君と話をしたかったんだ」
ヘスティアは申し訳なさそうに、しかし譲れないといった様子でそう述べた。であればスピネも拒むことはなく、彼女に崩れた教会に残されたひとつながりの椅子に座る自らの隣を示した。
「で、話とはなんでしょうか?」
「『君の魂と混ざってるいくつかの魂』について、だよ」
その問に対して、スピネは答えを持ち合わせている。だが、それは口にはしないと決めていた。仮に道化の神あたりが知れば、友好的で借りがあったとしても、己を滅ぼそうとするに違いない答えであったのもそうだが、過去を語らねば語れない話であったのも理由だ。
「神ヘスティア……」
「ヘスティアでいい」
「ヘスティア、貴女も知っているはずです。踏み込んでならない場所があることくらいは」
「わかってるさ、これはボクの自己満足だ。でも聞きたいんだよ」
スピネはなお食い下がる神へ、拒絶の言葉を放とうとする。
「私のことなど」
わからないだろう、わからせるつもりもないんだ、そう口にしようとして。
「わかるさ、なんでも。ボクたちは家族なんだから。ボクの……子なんだから」
「ずっと機を伺うことしかできなかった自分にどなりつけてやりたいよ、何をしていたんだとね」
「君は誰よりも苦しんでる、それを誰にも気付かせることなく」
「君は竈の女神の子だ、家族だ。ボクが知らなくて、誰が君の奥に踏み込めるんだい?」
暖かな母、見守る者としての言葉に、スピネは目を閉じた。
「なにから、話すべきでしょうか。未だに私にはわからない。己の在り方さえ歪んでしまった私には」
男は平凡な人生を送っていたと他者からは思われている。実際、表の経歴を辿ればスピネ……その前身の男は平凡極まる。表の経歴に本来足すべき文字を付け加えた、本来あるべき経歴というものがなければだが。
義務教育の学校で学んだ。海外へと出張した男の親2人と妹の乗る飛行機が堕ち、2人は死に、妹は植物人間となったことを知ったのは卒業式の2時間後だ。
大学へと進んだ。高校卒業まで自らを保護してくれた祖父が病に倒れ、奇しくもそれによって進学することができるほどの額を相続した。
就職した。植物人間となった妹がいた病院が気狂いが拵えた爆弾で吹き飛んで、男の家族はこの世から消えた中で唯一残っていたのは祖父の意思、いっぱしの社会人になれという思いだけだった。
労働環境の悪い企業を辞めないでいるという同僚からの懇願を受け入れたのも、なんのために働いているのかを知らなかったからだ。一度だけ、同僚にボイコットに協力するように頼まれ一人浴びるように酒を飲んだが、なにも満たされなかったのを覚えている。
数多の不幸とそれらから来る無気力とが男を襲い、そして世界は無気力となった男を嘲るように最後の不幸、あるいは情けとして彼に死を贈ったのだ。
トラックを操っていた若い女が不幸にも居眠りをして、不幸にも彼のいる路地へ突入し、不幸にもアクセルが踏み込まれていて、それで男は死んだのだ。
そうして壊れた心を持つ男は消え、かの神に会ったのだ。
転生してすぐ、カドモスの前で行った回想。あの後彼は『工房』の内部にあった手紙という形で転生神という神のしたことを知った。
『タイミングなんかも重なった結果ではあるがこんな形になってしまって申し訳ないと謝罪させてもらう。~(時候の挨拶、転生した世界の説明などのため割愛)』
『さて、君に伝え忘れたことがあったんだ。君の魂は地球で暮らすうちに壊れて、転生させるにも強度が足りなかった』
『だから、君がはねられてこちらに辿り着くまでの間に1つ、君がそちらにつくためにゲートを潜る時に1つ、強度の増幅のために魂を足したんだ。世界は幾重にも存在する、それは二次創作のようなものでも同様だ。多くに認識されたものほど存在が確立されていく、というだけなんだ』
『認識されなくなった滅びかけの世界から、強度を上げるために優れた魂を引っ張って、融合させる。愚かだと罵ってくれても構わない。僕は間違っているのかもしれない。それでも、僕が望んでいることはいつも1つだ』
『どうか人として君が生きることができますように、その世界に君が家族と呼ぶ人ができますように』
『追伸 その魂の人格も僕の与えた工房のマキナのように、心の空間的な物の中にいる。君が彼らを理解しても悪いことにはならないよ。2人の名はこの紙の裏にある、細かいこともそっちにあるから見ておくといい』
「……まあ、そんなことがあったんですよ」
「つまり君は……転生してこのオラリオにやってきた異界の人だということかい?」
「そういうことになりますね」
「そして混ざった魂というのは君の魂をより強くするためのものだったんだね?」
「かの神は穴に詰め物を詰めて被せ留めると表現していましたね」
そうしてヘスティアは彼の言葉を噛み砕いて理解を進めた。そして、1つ。矛盾を見つけてもいたのである。しかし嘘をついている様子は見られず、放っておいたのだが、これは指摘する必要があるだろう。
「なるほどね……2つの魂を1つの魂に足したんだね?」
「えぇ、その解釈で相違ないかと」
「じゃあさ、その……三つ目の魂っていったいなんなんだい?」
「……なんですか、それ」
「偶然、フレイヤから聞いたんだ。『あの子の心はなによりも空虚だけれど片隅から異常なまでの執念を放っているものがあるの、気を付けたほうがいいわ』って。それで探した。君の魂の外側にくっついてるような感覚でそれはそこにあったんだ」
スピネは黙考した。魂のパッチワークで己に付け足された魂はどちらもShadowverseの方のストーリーで悪役を務め、敗北して散った者たち。
片方はすでに力を貸してくれている。散った物の数に比例するバフ、という能力により【機構の神剣】を完成させたのは彼女であった。
もう片方は話こそすれ力は貸さぬ、といった感じではあったが、一言、『未知はいらねぇ、既知が全てだ』という言葉から察するにダンジョンという未知にぶちギレているのだろうか。
共通点は1つ、先にも述べた通り章のラスボスになったことだ。英雄への羨望を以て真実と嘘の剣を振るう女と、機械の叡知を以て自然の未知を既知へとせんと侵略した男。
どちらもずいぶんと十分な執念に見えるが、それ以上の執念……【奪われたものを取り返す呪い】を持つ男をスピネは知っていた。
「執念……執念か。一人、思い当たる存在がいますけど……下手に手を出せません。最悪、乗っ取られる可能性がですね……」
「乗っ取られる……?」
「えぇ、他の2人は既に夢破れて傷心しきってから私の魂のパッチにされて協力してくれていますが……彼はまだその胸に秘めた野望が破れてない可能性があるんですよねぇ…どうしたものか」
ヘスティアは聞こえた不穏な言葉へ突っ込みを入れる。
「そこじゃない、乗っ取られるってどういう……」
「彼の特異な能力です、【奪われたものを取り返す】、【何を奪われたかは自分の定義により決定できる】。とんでもないぶっ壊れた能力ですよ」
「そんなものがあって……君は大丈夫なのかい?」
「大丈夫ですよ、触れなければなにも起こりませんから。それよりも、今はゆっくりと寝るべきです。もう遅いんですから」
「うん……夜遅くにありがとう、君も寝るんだよ?」
「私は星を眺めてから寝ますよ、それではまた明日」
ヘスティアが地下へと引っ込むのを確認して、街中を静かに駆け抜け、城壁の上、ベルとアイズの鍛練の場にて『工房』へと潜り込む要領で精神を没入させる。そのまま、『工房』ではなくもう1つの機械だらけの空間へ足をつけた。
「おう、少し遅れか? まあいい、よく来た」
「こんばんは、【ベルフォメット】。力を貸してくれるつもりは?」
「僕なりに考えたんだが、私の力を貸してやってもいいんじゃねぇかって俺は思い出したぜ」
「へぇ……なぜ? 珍しい風の吹きまわしじゃないですか」
「聞いてたぜ、神さんとの会話をよ。未知だが、ありゃあ地上にあるかぎり既知の存在と相違が見られねぇ。無論、私が好かない神気取りの管理者などとは違うし、僕が知る未知に満ち足りた感じがないんだ」
「ふぅん……まあ神とて天から降りれば恩恵を授けることのほかいくつかの力を用いれるとはいえただの人とその他は変わらないらしいですけど」
「それでもあのダンジョンとかいうの、あれは未知の塊なんだ。冒険者というのはそれを既知に変えていく、形こそ変われどナテラを侵略した私のように未知を既知に塗り替えていく訳だ、俺が本質に気が付いて気に入らねぇわけねぇよな」
「で、【メイシア】になにいわれたんです?」
「いや? いい加減働け、と言われちまっただけだよ」
魂の同居人にして今まで力を貸してくれなかった【ベルフォメット】ではあったが、なんやかんやで力を貸してくれるときもあったのだ。というか【音速機構】はベルフォメットがいなければ実戦に出せなかった。
『工房』のアーティファクト以外の機械はマキナよりもベルフォメットのほうが得意としているので、信頼されているがスピネに力の片鱗の貸し出しをしないのがどうにももう片方の住人は嫌なようであった。
その片方、【メイシア】曰く、『だって借り作って返せないのは癪じゃないですか』とのことらしい。
「で、力を貸してくれる以外に用件があったからわざわざ『夜に誰にも邪魔されない環境かつ屋外に出て精神をこっちに落とせ』と言ったんですよね? あと一人称いい加減統一してくれません?」
「はっ、俺のアイデンティティを奪うたぁひでぇなあ? もし外側にはっついてる奴だったらお前のアイデンティティも奪い返されるぜ?」
「その言い種的に私の予想大正解シリーズですかね?」
「あぁそうだよ、今俺たちの魂の外側に張り付いてマキナにお前との面会求めまくってるのが【アイシィレンドリング】だよ」
「…………アイシィって、そんなかわいいことするキャラでしたか?」
「はっ……俺たちの共有記憶にはあいつがどう負けるかの情報はねぇが外側のアイシィは負けて負けて体も奪えず、もう戻れねぇアイシィなんだと」
「えぇ……」
拝啓、神ヘスティア。心配が無駄になりそうです。
この物語にはー!!いい人しかいないのー!!
悪役はダンジョンの中にしかいないハートフルなオラリオなのー!!今回初出しの『工房』を支えるメンツ+外側おじさんの解説はここから先に乗せておきます。
【粛清の英雄・メイシア】
神様モドキにもう一度選ばれたくて英雄になろうとしていたヤベーヤツ。
カードとしては【粛清の一刀】という『このカードをメイシアに使うならこのバトル中破壊されたフォロワーの数だけ+1/1して疾走(すぐ攻撃できる)を持つ』という効果のカードを回収する効果を持っており、一撃でゲームを終わらせるワンパン女子。
一時期【アーティファクトネメシス】に刺してある時期があったため作者の目に留まった。
【天地の侵略者・ベルフォメット】
機械編、天地侵略編と2つの弾を跨いでの大ボス。シャドバのストーリー本編をやって頂ければわかるが一人称が3つくらいある。めんどくさい。
天地侵略編の時のベルフォメットのカードとしての性能は手札の 機械 というタイプを持つフォロワーを融合させた分だけ『4/2疾走破壊されると2点ダメージでこのカードしか選択できなくなるを持つ【蹂躙の触手】を出す』『2/4守護死亡時4回復相手はこのカードを選択できないを持つ【遮断の触手】を出す』『+3/+3して三枚ドローする(ドローは三回までしかできない)』からひとつをランダムに実行するという効果で、デカイ本体を除去しなければ倒されてしまうため早いところスペルなどで倒したいが触手を除去しなければ本体には触れないデザインとなっている。
蹂躙を攻撃しようとすると遮断が攻撃を受けるシステムになっており、こだわりが見える。
こちらも【ナテラ崩壊】の際のローテーションの【アーティファクトネメシス】に使い方はどうあれ(不要なカードを吸収するゴミ箱的な扱いであった)採用されていた。
【カオスルーラー・アイシィレンドリング】
Shadowverse最長の名前を持っていたが最近【魔物を愛する闇の聖職者・ウィル】に名前の長さを抜かれた。
カードとしては自分が出した5コスト以上のカードを吸収してアイシィ以外の盤面のカード全てを消滅させる最強の除去フォロワー【魔導列車】を出す効果とカードが破壊された数が20を越えている時ターンの始めに【魔導列車】と一緒にデッキから直接無料で出てくる効果、コストを支払って出した場合強力な専用スペル【デッドペナルティ】を手札に加える効果を持つ。
ストーリーが完結していないのでどうやって負けるのかが不明なおじさん。だけど負けたことにして出す。だって【奪われたものを奪い返す呪い】ってかっこ良すぎたんだもの。
現在のローテーションネメシスでは進化軸以外はほとんどがこのアイシィレンドリングを出すことで勝ち筋を作っていくことになる。アーティファクトもその例に漏れなかったのだ。
オリキャラ二人目、【文明の先駆者】ルチル・クロフォード。白衣茶髪赤目眼鏡系研究になると饒舌な無口おねーさんを…
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これからも出してええんやで(寛容)
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オリキャラ2人はいかんやろがい!