AF使ってダンジョンに潜るのは間違っているような…   作:aF

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本作品はベルくんの成長を見守る保護者の作品である。それゆえにベルの戦闘シーンは…少なめだ!!(許されざる決意)(シリアルな日常を書く練習として書き始めたゆえお許しを)

攻略の√確定しました。頑張ります。

これは明後日分のストックだったんですがどうも明日明後日とテレワークで済みそうなので執筆ができるかもと判断、今ストックを吐いておくことにしました。


第十六話 心の灯火

「ふぁぁ……よく寝たなぁ……」

 

 今日は裏でいろいろと策が蠢いているのを知らない白兎が、過去のトラウマたるミノタウロスと遭遇する日だなーとか考えながら身を起こす。

 

 控えめにいって今のベルの強さはバグっているのでミノタウロス強化種が大剣を持ったごときで止められるものではないとわかっているからの余裕ではある。

 

「まあ……攻撃型に対して先読み決めるようになりましたし? 筋肉の動きとかから動きが推測しやすいミノタウロスごときでは根本負ける道理がなさそうなんだよなあ……」

 

 ひとまず、スピネはアナライズをベルの元まで飛ばしておく。もし、万が一にも負けたら生きたまま回収する、というわけである。そうしてスピネはゆったりとヘスティアのために料理を作りだした。

 

 少なくとも、これが弟子を死地に送り出す教官の模範というわけでは決してないだろうな、と思いながら。

 

 

 

 日が暮れる少し前、落陽がなんとも美しい時間帯に白兎は帰ってきた。

 

「スピネさぁぁぁん!! 神様ぁぁっ!!」

「お帰りベルくん!」

「ご飯は出来てますから早いうちに、私はちょっと用件があるのでお外で食べます。ヘスティア様、彼を頼みますね!」

「え? あ、わかったよ……」

 

 ベルとヘスティアをふたりきりにしておくとかそういうつもりではないのを先に言うべきだったかと後悔する。事が上手く運んだなら、オッタルの案内のもとにフレイヤに会うことになっていたのでそれを果たすのである。

 

 

 

 しばらく立って、オッタルを訪ねる過去に飯で信頼を買収しているスピネはあっさりと【戦いの野】の応接室に入ることができていた。ドアが開くと、そこには猪人。

 

「待たせたか? スピネ」

「思ったよりは早くつきましたね? ベルに気付かれないようダンジョンから上がってくるのは面倒でしょうに」

「その辺りは上手いこと行ったとしか言えんな。まあ……ついてきてもらおうか、フレイヤ様も待ちかねていることだろう」

 

 なうろーでぃんぐ! とでも言いたくなるほどに無言で、心地よい歩みの時間であったが、もちろんそんなに長く歩くわけでもない。

 

「フレイヤ様! 彼をお連れしました!」

「入りなさい」

「行くぞ、スピネ」

 

 そこにいたのはあのときと変わらず妖艶な焔の意匠が感じられるドレスを纏う美の女神。

 

「お久しぶりですね、フレイヤ様」

「えぇ、そうね。私に会いたい、と聞いていたけれど……納得したわ、魂を私に見せに来たのね」

「その通りです、話が早くて助かります」

「それじゃ、魂を内面から見るわ……」

 

 フレイヤが目を閉じる。しばらくの静寂の後、フレイヤは目を開けて一言。

 

「零が一になったのなら一が十にならない道理はない、ということかしらね……私と初めて相対したあの日よりは、ずっと良くなったわ」

「ありがとうございます、貴女の眷族たるオッタルさんのおかげですけれどね」

「オッタルの輝きも増しているしこちらから礼を言いたいくらいよ?」

 

 大分マシにはなったという言葉にひとまず胸を撫で下ろす。人間性を取り返してきたほうなのだろうなあと頷いて、続く言葉を待つ。

 

「それで……別の魂が見えたのだけれど、なんなのかしら? 1つは英雄、1つは支配者、1つは神に類する者……最後の1つは、いてはならない者」

「みなそれを捨て魂となって私に協力してくれる友ですよ」

「そう、それで灯火が増えたのね」

 

「『6つの』灯火と1つの太陽が照らす明るい平原……それが今の貴方の心よ」

「6……なんだかんだ、ヘスティア様も私の光になっていたようですね、ありがとうございましたフレイヤ様」

「いいえ、面白いものが観れたしこれからも顔を出しなさいな」

 

 スピネが部屋を出た後、内心を覗き込むことになったフレイヤはぼやく。

 

「全く……特に恋愛もしてない癖に人の恋愛には気を揉んで、自分の持ってる思いの1つにも気付かないなんておかしな子ね、ヘスティアへの思いは太陽の中…ベルへの思いと同一に近いのよね」

 

 覗き込んだスピネの内心の奥底には【九魔姫】の笑顔や、諭すような表情、言葉が刻み込まれるようにしてあったのだ。

 

「オッタルが与えたのが生きる価値だとするならあの子が与えたのは生きる意味、似ているようでどうしても異なるわね……」

 

「いいか? 師として弟子を見るときはだな……」

「わかるぞスピネ、だが厳しく当たらねばならんときもある」

「スピネ、お前がベルを育てきったとき、お前はどうしたい?」

「見つけるといい、お前だけが見つけられるんだ。生きる意味も、価値も」

 

「全く、見せつけてくれるわね……嫌になってしまうわ? 面白いからいいけれど……くっついた時が気になって仕方ないわね……まあいいわ、オッタル! おいでなさいな、ステータスを更新してあげる」

「はっ! 失礼いたします!」

 

 

 

 スピネはフレイヤとの面会を終わらせた後、個人的な食事会という名目で【ロキ・ファミリア】の古参幹部と主神ロキ、合わせて4人と食事を取っていた。

 

「フレイヤがそういったんならしばらくは平気やな」

「ロキもそういうなら心という面については心配いらなくなった、ということなんでしょうね」

「じゃあ良かったよ、リヴェリアにあの宴の時のことを少し聞いたけれど大分参っていたみたいだったからね」

 

「ほら呑めスピネ、お主の好きなドワーフの火酒じゃ」

「無理に勧めるなよガレス、もう三杯目だ」

「祝いには浴びるような酒と相場は決まっとるわ、ほれ」

「まぁ……スピネがいいというなら止めはしないさ」

 

 なぜこうなったかというと……少し前のことだ。

 

 スピネは日本人が飯を食うには少し早い時間帯であることから夕暮れの町を散策していたのだが、そこで1つの店を見つけたのだ。

 

「あぁこんなところに書店が……古本屋ですかね? 前々から少し漁ろうとは思ってましたし……入りましょ」

 

 そうして入って、魔法の原理などが研究された論文をまとめた書物を会計に通そうとしたところ……

 

「これとこれもだ。包んでくれ、代金はこれで足りるな?」

「【九魔姫】さんも人使いが荒いなぁおい!」

「お前はそういうガラじゃないだろう?」

「言われちまったぜ、ちげぇねぇよっと……お客さん、会計かい?」

「お前は……!」

 

 そんな感じでリヴェリアと遭遇したのだ。そこからは話が早い。とんとんと話が進み、スピネが本を袋に入れて貰ったころには一緒に飯でもという話になっていたのだ。そこで【黄昏の館】に向かい、リヴェリアが話をすると……

 

「あやつがおるか、わしも行ってはならんかの」

「スピネさんと会食、か。取り残されてはたまらないからガレスが行くなら僕も行っていいかな? というかここに招いてしまおう」

「リヴェリアが男とふたりっきりとか変な噂立つしうちも参加するでー!」

「「あの見た目で男って思われてはないだろう(じゃろう)」」

 

 というやり取りがあったらしく、四人連れだってホームに迎え入れられたのである。

 

 回想終わり、そして酒をキメすぎたのでいったん夜風に当たりたい。

 

「少しの間、離席しますね」

 

 

 

「あいつが雉撃ちに行ったから言うけども……しっかしリヴェリア、ほんまにスピネに対しては余所の男に対する態度とは違うなー」

「なっ!? あ、あぁ、男とは思えない外見をしているのもあってな……」

「フィン」

「わかってるよガレス」

「なにがだなにが……!」

 

 リヴェリアは二日に一度やってきて、図書館の本を読んでは何事か書き込む彼に対し、「よければ自分の教導を受けるか?」と誘ったり、師であるもの同士語ったりなど高貴なハイエルフがヒューマンの男に見せる態度とは思えないほどに気を揉んでいた。

 

 周りから見ても、あれはおかしい、と思われていることをリヴェリアは今この瞬間やっと気付いたのだが、割と遅めのタイミングだろう。

 

「実際、スピネのことはどう思っとるんや」

「なんというかな……よく話が進む、同じ学びの徒としても、弟子を持つ師としても。男らしさも特段見られない……もちろん女らしさもないが、安心して話すことができる。不安だった心の問題についても、あとは時が解決することだろうし憂いもなさそうだ」

「つまり?」

「良き友……良き友だ」

 

 友、と呼んだ瞬間リヴェリアは胸にもやっとしたなにかが浮かぶのを感じたが、それはすぐさま己の精神の制御によって消えることとなった。

 

 

 

 ロキは見逃さなかった。良き友、と言いながらも片眉を困ったな、と言わんばかりにわずかに下げるリヴェリアの表情を。

 

「(ほんまかいな……恋ってなにかもうちのママが理解していないはずはないんやが……恋愛経験がないって大変なんやな、スピネたんが口説けばワンパンやろが……)」

 

 ロキ。知略の悪神として神話に名を連ね、オーディン、トールと並ぶ神格の彼女が、地上の眷族の幸せを願うだけでも驚きとは余所の神の言葉だが、その幸せを作り出すためにその策謀を使うなどと聞けば驚きすぎて送還されるのだろうか。

 

 

 

「いい風、いい気分……このテラスもいい場所ですよねぇ」

「全くだ、同意するよ」

「フィンさん……どうしたんです?」

「いや、君に聞きたいことがあるんだよ」

 

 フィンがスピネに問うのは奇遇か、あるいは必然か。

 

「リヴェリアのことについて聞かせて貰いたいんだ、僕は昔から彼女と肩を並べたけれど……どうにも僕と君じゃ違うみたいだし、僕の知らない彼女というのも興味があってね」

「フィンさん、そんなガラでしたっけ? まあいいですよ、話します話します」

「はいワイン」「わぁい……ってモノで釣らない!」

 

 気を取り直して。

 

「まず、彼女は私の恩人です」

「ほう?」

「私に生きる価値をくれたのは【猛者】ですけれど……私が私であろうと思わせてくれたんですよね、彼女は。いつだったか、彼女の初めての教導を受けてから何日かあと、彼女は私に『ベルを育てきったならどうするんだ』とそう言ったんです」

「君はその時どう答えたんだい?」

「まだ、答えを持ち合わせていません。今もまだ、答えられないですよ。でも、その時の私に彼女は言ったんです、『目標を見つければいい』と。『目標を己で見つけることを目標とすればいいだろう?』なんて言われてしまいましてね」

「……それで?」

「救われましたよ。確かに」

 

 フィンはここである言葉を口に出すかを迷った。そして、その言葉を口に出さず、仕舞い込んでおくことにして、かわりに問う。

 

「今はどんな話をするんだい?」

「魔力運用の研究とか、弟子を持つもの同士懊悩だったりとかですかね……話が合うからとても一緒にいて気楽です」

「そっか、じゃあ良かったよ。リヴェリアもいい友を得たわけだ」

「そうあれるよう、努力しますよ」

 

 

 

 スピネが帰ったあと、【黄昏の館】内部、ロキの部屋にて。

 

「スピネはどう思っとるとか聞けたかー?」

「あぁ、あっちはリヴェリアに対して深い感謝を持っているようだ。影でひっそりとメンタルヘルスというわけだね、リヴェリアは?」

「恋ってのがなんなのかわかっとらんから自覚できんくて友って呼んどる感じや」

「あぁ……それは、なんとも……」

「うちはリヴェリアには苦労かけとるし幸せになってほしいんやが……吹っ掛けるにも自覚させないけんし……時間が解決することを祈るわ」

「同感だよ、ロキ。スピネに対して働きかけようとしたんだけど……嫌な予感がした。あれは時間が解決しなきゃいけないモノだ」

「でもそうか……」

 

「「ついに、かぁ」」

 

 無自覚系恋愛クソザコエルフと(感謝によるとはいえ)盲目系戦闘狂、ラブコメのスタートにしてはあまりにも絶望的なふたりを、どうにかしてくっつけようと。団長と主神は動き出していた。

 

 

 




ここからは投票の逆転とかもなさそうなのでルート確定します。ストーリーの裏でちょくちょく通っていたリヴェリアのお部屋であったことがだんだんと明らかになっていく感じだしこれからはリヴェリアのお部屋通いもちゃんと書いていこうと思います。

ロキとフィンはリヴェリアにはガチで幸せになって貰いたいけどふさわしい男性なんか現れはしないだろと割りきっていましたがどうにもスピネとかいう最高株が出現したので作戦行動を開始…することはなくそれなりに計らいながら見守ってます



オリキャラ二人目、【文明の先駆者】ルチル・クロフォード。白衣茶髪赤目眼鏡系研究になると饒舌な無口おねーさんを…

  • これからも出してええんやで(寛容)
  • オリキャラ2人はいかんやろがい!
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