AF使ってダンジョンに潜るのは間違っているような… 作:aF
【絶望の番人・スピネ】登場記念都市の破壊者スピネ・モデストルートです。
なので鬱というやつですね!!
街が、燃えていた。赤く赤く、炎が街を包んでいた。暗雲に満ちたオラリオの空に、遺物の影。赤黒く発光し、禍々しさを感じるソレは見た目と逆に白い光を放ち、街を攻撃している。
「もうやめろ! なぜこんなことをしたんだ!! スピネ・モデスト!!」
「あなたにはわかりはしない、フィン」
「決めつけるな! 君の想いは、ヘスティア様の意思に……!?」
「っ……! その名を私の前で出すなぁ!!」
「ぐぁっ!!?」
槍と機構が交わり、放たれた大量の光に槍が吹き飛ぶ。
「わかるんですか? この私の気持ちが!? 僕の、俺の! なにもかもを失った思いが!!」
「っ……! でも! それでも! ここはオラリオ、壊すなどと……【闇派閥】の軍門に下ったのか!?」
「あんなゴミ、存在に値しない……滅ぼしたとも、あんなもの!!」
「じゃあなぜ!!」
オラリオに火を放った男は、自らを【闇派閥】でないと言いきった。故に、オラリオを滅ぼさんとする理由を【勇者】は知ろうとする。
「ベル・クラネルは君たちの煽動した【異端児】との共存反対派の過激な人物の手で殺された。リリルカも、ヴェルフも」
「っ!」
「私の神は狂った、みんなを殺したものを許さないという言葉が口癖になってしまった。しかも街中に出ればオラリオの民に酷い扱いを受けるものだから病みきってしまったんだ」
「それは……!」
「これが! 【異端児】に、モンスターに肩入れした代償だとでも言うつもりか!? みんながみんな拷問を受けたような悲惨な状態で見つかったんだぞ! あんな悲惨なことをした者が! それを許容して英雄と奉ったこの街が!! モンスターでなくてなんだというつもりだ! お前たちが焚き付けたクズどもがこれを為したんだ! どうなんだ! 答えろ!! フィン・ディムナ!!」
その問いのままに、激情のままに。スピネは大量のブリッツを突っ込ませる。その時、高らかな声ひとつ
「フィン、退け! 【ウィン・フィンブルヴェトル】!!」
「無駄だってわかんないかなぁ!!」
「防ぐだろうな、お前なら」
【九魔姫】。そして後を追ってきたのは【ロキ・ファミリア】の幹部たち、奇しくもあのダンジョンでの一戦のようだ。違うといいきれるのは【剣姫】の有無だろう。
だが、それで相手になるかと言えばまた別の話だ。
「はぁぁぁぁぁっ!!」
「行くぞォォオォォオッ!!」
「寄越せ!!」
「【吹き荒れろ】!!」
「恋慕も! 決意も! 不器用な優しさも!! あるいは、この街を守るだとか! これからを生きるだとか! そんな想いも! 無駄だってわかれ!! モデストォ!!」
ただ後に控える機神が光の膜を放つ、それだけで彼らは弾き飛ばされ、吹き飛んでいく。
「「がぁっ!!?」」
「「きゃぁぁぁっ!!?」」
フィンとリヴェリアは、己の獲物を機構と交えながら彼に言葉を届け続ける。
「こんなこと、こんなことは神ヘスティアだって望んでいないだろう!?」
「望もうと、望まなかろうと。もう私は私の意思で事を為す、愚かな人々を滅ぼすために」
「スピネ、頼む! 止まってくれ……! もう、お前に傷つけさせたくない! 傷を負うお前も、見ていたくないんだ!」
「リヴェリア・リヨス・アールヴ、みっともなく、情けなく! その耳をふさいで下を向けば! それで貴女の思い通りだろうに!」
「「……っ!」」
激情、憤怒。まさしくそう呼ぶに相応しい感情。あの日、ベルはウィーネと呼ばれるヴィーヴルとともに斬られた。それでも、【剣姫】の慈悲で致命傷の手前で止められていたのだが、生き残った彼に与えられたのは裏切り者の名と生き地獄のような日々であった。
それはスピネとて変わらぬ。ダンジョンへと潜ることしかできず、己の傲りと無力を嘆くことしかできなかった。
そうして時は来た。ダンジョンから、ホームにたどり着いたある時。ホームが燃えていたのだ。
【ロキ・ファミリア】が【異端児】反対過激派をそれとなく煽動し、【ヘスティア・ファミリア】に突撃させる策。これによって、ベル・クラネルの確保を狙ったのだが、一度立ち上がった暴徒たちは止まらなかったのだ。
【ヘスティア・ファミリア】の仲間たちはみな、別々の形ですでに冷たくなっていた。
ヤマト・命は己の魔法を使っただけではないほどにその身をひしゃげさせて、血溜まりと化していた。
リリルカは壁に槍で胸を縫い止められ、剣で四肢を切断されていた。
ヴェルフは柱に縄で縛られて、四方八方から魔剣の攻撃を受け炭と化していた。
ベル・クラネルは、女神のいる部屋の前で。その身に夥しい量の傷を刻まれて、うつ伏せで首を断たれ、首を潰されていた。
ヘスティアも、処女神たる所以を失っていた。神格としても最底辺の竈を司ることさえできない小さな神格へ堕ちた。ヘスティアの目にもうあの頃の光はなかった。
スピネは絶叫した。泣いた。哭いた。その声を聞き、最後の一人が来たぞと叫び沸き立つ愚か者たちに対してスピネは激昂。全てを葬った後……復讐の想い冷めやらぬままにヘスティアを連れダンジョンへと逃げたのだ。あの人よりも人の心を持つ【異端児】の村へと。
それも長くは続かない。やはりスピネがいない間に【ロキ・ファミリア】が【異端児】の村を襲撃、異端児の大半が虐殺された。生き残ったのはベルが身を呈して守り抜いたヴィーヴルと、アーテルバス。そしてヘスティアを逃がすことの対価に左腕を失ったアステリオスのみだった。
またか、とスピネは笑わざるを得なかった。彼は、狂わざるを得なかった。【異端児】との共存勢力、【ヘスティア・ファミリア】。その2つの最後の生き残りとして、7年前の悲劇を経てなお英雄とはなにかも知らず英雄を失った愚かな人に、スピネは【戦争】を仕掛けたのだ。
「がっ……クソ……が」
「うぁ……ぁ……やぁ……」
「団長……ごめんなさいっ……」
「アルゴノゥトくんの遺志……止めて、あげられなかった……」
【凶狼】【剣姫】【怒蛇】【大切断】。
名だたる者たちさえ、倒れ伏す。
「もう、言葉は無用。フィン、リヴェリア。愚かな道化の愚かな眷族よ、この私、【覇導】スピネ・モデストが……ここで討つ」
「そこまでだ、スピネ。フレイヤ様から、お前を止めるようにとご指示を賜った」
「……我が友オッタル。立ちはだかるというのなら貴方も斬る……そのつもりで、私はここに立っている」
「ふむ……あの日のように、1つ勝負と行こう。俺も混ぜてもらう、いいな、フィン」
「助かるよ……あと、切り札を使う」
「来い……巨頭の先端」
【都市最強】の名を取り戻すというわけではないが、奇しくもそれに良く似た状態。2人は地を蹴り、エルフは高らかに氷を解き放ち機構を閉じ込める。
「【魔槍よ、血を捧げし我が額を穿て】」
「【銀月の慈悲、黄金の原野、この身は戦の猛猪を拝命せし。駆け抜けよ、女神の真意を乗せて】」
「【愚かな者よ、人よ、巡る運命よ。滅べと謳うは機構神。永久に許されぬ罪はここに至り、汝らに生きる価値を問う。あぁ世に光齎す原罪の主よ、消え失せよ。再び愚かな世界に相応しき罰を】」
3人の詠唱が響く。これが最後の攻防になると、そんな予感がしていた。
「【ヘル・フィネガス】!」
「【ヒルヴィスヴィーニ】ィッ!!」
2人の切り札。オッタルから放たれた絶技、フィンから放たれた至高の刺突は、
「なにっ!?」
「アーティファクトが……それに機神さえもその身を!?」
スピネの十八番、生け贄ガード。彼らは目を背けていた。彼は躊躇いなく己の分身と呼んではばからなかった機神さえ生け贄に、盾にする。そして、詠唱が完成した。
「もうこれで決着です。【終世記】!!」
一斉に弾け、砕け散るアーティファクトたち。スピネのまわりのそれらも砕け散る。黒い波動が、広がって。アーティファクト以外も砕きはじめた。原子分解の檻、放たれてしまったそれはまさしく世界の終わり。
自らも無論その波動に呑まれ消えようとしている。目を閉じようとしたその時、枷をつけられたかのように体が重くなった。光の柱が、すぐ近くの裏路地で起こったのと同時の出来事だった。
「あぁ、ヘスティア様……ついてこなくても、良かったのに」
ボクの眷族さ、置いていけるわけないだろ? と、そんな声が聞こえたような気がした。あぁ、足が、腕が、砕け散る。最後の瞬間がこんなにゆっくりだとは思いもしなかった。
この両頬に流れる雫を、スピネはもう拭えない。体が徐々に崩れて、消える、その刹那。
「あぁ……なんだ。みんな、ずっと私の傍にいたんですか。酷いですよ……声くらい、掛けてくれてもいいじゃないですか」
確かに、彼の目には【ヘスティア・ファミリア】が全員で笑うその様が映っていた。
ある日のルチル・クロフォードの工房にて、
「このssどう?」
と問われ、
「どうか勘弁してください」
と頭を下げるスピネの姿があったとかなかったとか。
【終世記】は戦闘時間と感情によって発動が解禁され、発動するとアーティファクトたちを起点に触れたものを原子分解する波動を放ちます。街中にアーティファクトたちを飛ばしていたのはそれゆえだったんです。
エイプリルフール回でした。
感想、誤字修正などよろしくお願いします。
オリキャラ二人目、【文明の先駆者】ルチル・クロフォード。白衣茶髪赤目眼鏡系研究になると饒舌な無口おねーさんを…
-
これからも出してええんやで(寛容)
-
オリキャラ2人はいかんやろがい!