AF使ってダンジョンに潜るのは間違っているような…   作:aF

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賛成多数でしたので少しだけルチルをメインに使ってみようと思います。お待たせ致しました。
本話投稿後、また一週間から二週間仕事と戦うこととなります。ご了承くださると嬉しく思います!


第二十七話 『異端児抗争』・1 交戦開始

 スピネはなにごとかを思索しながら、旗が翻り人々が剣を輝かせる窓の外を【竈火の館】から眺めていた。そこへゆったりと姿を現した少女が1人。

 

「スピネくぅん、ワタシに用があると聞いたんだけど?」

「よくぞ来てくれました、ルチル。用件なんてひとつです。『譲渡』しますよ、【砲撃要塞】」

「例の、だろう? ありがたいありがたい。しっかし人前ではまともに話も出来ない、鉄のひとつも打てない、それなのに研究狂い。そんなワタシによく肩入れするよね、君も」

 

【文明の先駆者】ルチル・クロフォードの姿がそこにあった。白衣を身に纏い、【ヘファイストス・ファミリア】の工房で出会ったときの【剣姫】のような口足らずはどこへやら、饒舌に……どこかうざったらしいような語り口。

 

 単純な人見知りと、この口調で相手に不快な思いをさせないようにとの思いが混ざっているから普段はああなのだと以前言っていたな、とスピネは手渡したジェムのような色合いの空をもう一度眺めやる。

 

 ルチルに手渡されたのは白と青の交じったジェム、これは『工房』から特定の装備だけをいつでも瞬間的に引き出す効能を持ち、此度指定された特定の装備は【近代進化機械外装:砲撃要塞】である。従って、ルチルはいつでも『工房』の一端を用いることができる状況と相成った。

 

「ルチルの研究は結べば世界に革命を起こせます、そこは誇ってください……とまあそれはどうでもいいんですよ、それの試運転ついでに敵方の初手を挫きます。大丈夫ですよね?」

「もちろん。これを使って戦いになると思うかい? 私は思わないよ」

 

 ルチル・クロフォードに与えられていた【不戦】の二つ名はその戦術を以て戦闘ではなく狩りとすることが所以だ。彼女は己の死をなによりも恐れている。正確には研究ができなくなることを恐れているのかもしれないが。

 

 故に、毒を用いる。麻痺させる。眠らせる。風で押し出し、遠距離から魔法を放ち、弓で射止める。ありとあらゆる方法を以て命の危機から己を遠ざけ、相手を致命たらしめる。

 

 そして、【砲撃要塞】はその面においては彼女のニーズに完璧に答えるスペックである。狩りとは、相手になにもさせずその命を奪うことであるとするなら、その極致は初手に超遠距離から放たれ一撃で敵の身を滅ぼす砲撃に他ならない。

 

「ならいいんですけどね……さぁそろそろかな?」

「スピネさん! あちらからの最後通牒です!!」

「はい来たァ! ベルくん! 内容は!!」

「【異端児】を引き渡せ、速やかに降伏しろと!」

「おっけぃ決裂! 『館内指示、只今より戦闘開始する。各員奮戦する必要はない、おちょくった後プランBです』」

「ワタシのことをうざったらしいと表現する癖して君もずいぶんとまあ……」

「イイ性格してる、ですか? 知ってますよ」

 

 もにょっとした顔を隠さぬままに、ルチルは部屋を出たスピネの後姿を追うのであった。

 

 

 

 青空の元、天にそれぞれの旗が翻る。それは【反異端児連合】にファミリア単位で加わったものたちの旗だ。

 

「壮観だね……さて、これだけ用意してみたが……ご満足頂けるかな? スピネ」

「フィン!」

「アイズ、どうした」

「降伏勧告、ダメだって」

「よぉし! じゃあやるか、アイズ! 開幕は君だ!」

「任せて……!」

 

 固く硬く、わざわざ【金色の障壁】まで使って守られる正門の扉。その前にて【剣姫】が身を絞る。

 

「【吹き荒れろ】……リル・ラファーガ!!」

 

 初手は成功する……アイズ・ヴァレンシュタインの初手により門を抜き、館内に物量を押し込んで【異端児】を探しつつ【ヘスティア・ファミリア】団員を各個撃破する。そのようなプランをフィンは構築していた。

 

 それを止める手段、化け物じみた障壁など展開すればスピネのリソースは恐らくそれきり使いきりとなるはずだ。故に、初手は通してくる……はずだったのだが。

 

 ガコンッ!!! ギィィィィッッッ!! 

 

「えっ……!?」

「なっ!?」

 

 身を絞り、飛び出した瞬間。あまりにも突然に、扉が開かれた。

 

 その先には白い巨人、青い光、巨大な砲。溜め込まれた光が見える。

 

「正道に対して奇襲を以て当たる、それすなわち兵数に劣り兵力に於いて勝る際の戦術……なるほどね? さぁて頑張ってくれよ【砲撃要塞】……いや、マグナジャイアント!」

『マグナドライブ、フルスロットル許可を!』

「承認する……好きにやれ。魔力はワタシのモノで足りるか?」

『問題はないと思考。出力最大!!』

 

 吹き荒れた風、嵐の槍と青い巨大な光の砲撃が激突する。

 

「アイズっ!!」

「んな……バカな、【剣姫】の全力を……」

「なんだありゃあ……」

 

 そしてアイズは目を閉じ……開いて。

 

「負けない……!!」

 

 なお風を荒ぶらせる。己の信じるままに。

 

 

 

 蒼光と風の激突の後。悠然と白衣を翻す女1人。

 

『エネルギー砲、オーバーヒート』

「うん。上出来だろうね……さ、お迎えだ。これを使うのははじめてだから千切れたら怖いねぇ……」

 

 ジェムに白い巨人をしまいこみ、上に浮かんだ白い杖のの中央に特別に取り付けられたフックのような、持ち手のようなそれに手元のワイヤー銃から放ったワイヤーを絡ませる。

 

「おおぉぉっ……忘れていたけどワタシは高所恐怖症だった……! 景色を楽しむ余裕さえない……!!」

 

 そうぼやきながら、白衣の女……ルチル・クロフォードはダイダロス通りへと姿を眩ませるのであった。

 

 

 

 光の暴威に耐えきった嵐はその場に思わず膝をつく。駆け寄るのは【千の妖精】、脇を抜けてフィンの指示で連合のメンバーが【竈火の館】に突入していく。

 

「アイズさん!! 大丈夫ですか……!?」

「んっ……レフィーヤ……大丈夫。はぁ……はっ……とりあえず……これでいい? フィン」

「あぁ……よくやってくれた、仮にアレがアイズ諸共に気焦りしてすぐ後ろにいた彼らを吹き飛ばしていたらと思うと震えが止まらないな……まあとにかく」

「これで進めるね……!」

 

 結果オーライにしろあれだけの武装があるのならそれでこちらを焼き払えばいいのでは、とフィンはふと考えたものの、結局のところ彼の思惑通りに行かせるためにはこれしかないのだろうと己を納得させることにした。

 

 

 

 そのころ、首謀者……スピネは。

 

「おぉ……人に使わせてもわりととんでもない威力出るんですね……さすがに武器ではなく兵器というだけありますね」

「「うわぁ……」」

「あ、ベルくんにリリちゃん、ぼーっとしてると首取られますよ?」

「あっハイ、作戦通りに動きますのでご安心を……」

「リリ……あきらめたんだね……」

 

 まわりをドン引かせながらも顎に手を当てて独りごちる。

 

「さぁこっからだぞぉ……ここから先は演劇舞台、私が監督の理不尽三部作。第一部は……そうですね……『地獄のトラップハウス』とか?」

 

 

 

 内部に突入した連合のレベル1や2から悲痛な報告が続々と上がってくる。地面から槍が生えてきただの、壁が狭まって潰されただの、天井が落下してきただの、よりによってヘスティアがいると思われる部屋の前に落とし穴が設置してあっていちから探索し直すことになっただの。

 

 挙句の果てには適当な部屋に入ってから戻ろうとすると入り口まで戻される、という声が聞こえた。

 

 しかもどのような手品を使ってか、同じドアを同じ順路で通ったとしても全く別の道筋になっているらしく、報告が食い違う。微妙な怪我を負うものばかりが増えていくというなんとも言えない状況にフィンは苦い顔をした。

 

「意味がわからない……素面で言ってる状況にしてはあまりにも悪夢だ……リアルタイムで館の通路がシャッフルされてるわけではないだろうに……」

「ま……まぁ、数が多いぶんそろそろヘスティア様のお部屋までも着くでしょう……って!!」

「は?」

「ん……!?」

 

 竈火の館に火が放たれていた。フィンは頭を抱える、無論許可したわけではない。略奪と放火は厳禁と定めたのだが……

 

「大変だ! 【勇者】はどこに!?」

「ここだ! どうしてあの状況になった! 説明できるか!?」

「一般住民や連合に参加していない中小ファミリアの一部が暴徒になって火をつけた! 屋上から【覇導】の砲撃が2、3回飛んだが……なぜかどこからか来た【異端児】が民衆を守ってるから死亡者はまだ0だ!」

「へぇ……珍しい、自分達は人類の敵ではありませんとでも言い張るつもりかな?」

 

(始まった、か。スピネとしてはどこまでが想定内でどこからが想定外なのやら……ここからは恐らくスピネによるゲリラ戦かアーティファクトによる集団戦、気合いを入れ直して……あとはいつものメンバーでスピネ打倒を目指すか……)

 

 

 

 スピネの作戦は進む。表向きには【異端児】に居場所を与える作戦、そして誰にも話されない、味方さえも欺いて進められる英傑のための作戦が、着々と。だんだんと雲が消えていく空はなんの暗示か。【異端児】の未来か、英傑への称賛か、あるいは。

 

 

 




長編というか跨ぎ物を書く内にて長く人を待たせるのは大罪ですがお許しください。

今回もありがとうございました。感想評価のほうよろしくお願い致します。

オリキャラ二人目、【文明の先駆者】ルチル・クロフォード。白衣茶髪赤目眼鏡系研究になると饒舌な無口おねーさんを…

  • これからも出してええんやで(寛容)
  • オリキャラ2人はいかんやろがい!
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