AF使ってダンジョンに潜るのは間違っているような…   作:aF

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おまたせ、主人公と書き手によって対応が180度違ういつもの宴の始まりだ!!

ストーリーが進むにつれスピネのキャラ像が固まってきたのでそれに沿うように文を改稿しました。


第四話 兎と技師と道化の宴

「まぁまぁベルくん、そう落ち込むことはないですよ! 気を取り直して、ね?」

「で、でも……僕は……」

「過ぎたことは過ぎたことなんです、これからを考えましょ?」

「っ……はい!」

「いい返事です、『豊穣の女主人亭』に誘われているんでしたよね? お代は今日は私が持ってあげますからたくさん食べましょうか!」

 

 ベル・クラネル。彼は絶賛落ち込み中である。一目惚れしたのがかの【剣姫】で、自分とは見合わないとアドバイザーの彼女に言われたこと。ファーストインプレッションが逃走する白兎、つまり男として見られないであろうこと。ミノタウロスになにもできなかったこと。

 

 3つともに本人にはどうしようもないのに律儀に悩むのがなんとも見ていてもどかしいような気がする。

 

「さて、ベルくん! 好きなのを食べてくださいね! 今日は二人きりとはいえ、君の無事を祝うんですから!」

 

 ヘスティアは所用があるとかでここにはいない、若干いなくてよかったとは思っているが。

 

「じゃ……じゃあこのパスタを……」「私も彼と同じものでー」

「かしこまりました、しばらくお待ちください!」

 

 奥に見えている。なにが? と問われれば答えはひとつ、【ロキ・ファミリア】の一軍、【九魔姫】に【勇者】、それだけ見えれば十分極まる。

 

 そして聞こえるのだ。レベルによりステータスと肉体に補正がある俺には。そしてパスタを食いきったころにそれは、最悪のタイミングでベルの耳へ。

 

「そうだ、酒のツマミに聞かせてやれよあの5階層のミノタウロスの話をよぉ!!」

 

「5階層の……ミノタウロス……?」

 

 ベルの顔が、引き攣るように硬直する。

 いくらかの嘲笑の後、とどめのごとく放たれた一語。

 

「あの震え上がる雑魚は面白かったぞ! あぁそうだ、あんな雑魚に、アイズ・ヴァレンシュタインは釣り合わねぇよ!!」

 

 音を上げず、少年が立ち上がり、走り出して店を飛び出していく。その目には悔しさ、怒り、ありとあらゆる感情が感じられたように思えて。

 

「アナライズ、ミスティック……彼に追随しなさい、任せます」

 

 青年はそれを見送った。その感情は、忘れてはならぬ思い、成長には不可欠だろう。いくら自分の腹の虫の居所が悪かろうと口を出していいわけではな……

 

「あんな雑魚が迷宮潜りなんざ! 笑い者だぜ全くよぉ……!」

「やめろベート! あれはこちらの不始末で……!」

 

「……ちょっと違うような……?」

 

 流れがちょっと違う? まあでもひとまず思うのはずいぶんと苛立たせてくれるなあということ。

 

「女主人さーん! ありったけ苦く、ありったけ不味い酒をくださいな!」

「いいよ……しかしなにするつもりだい? ほれ」

「えぇまあ……そりゃもう。あ、ありがとうございます、彼の分は必ず払いますので安心してください……むしろ先に会計してしまいましょうか、これで頼みます、釣り銭は不要です……迷惑料でお願いします」

「確かに受け取ったよ、あの子は……」

「うちのファミリアですよ、あの噂にされて、嘲弄されているのはね」

 

 ミアは心苦しく思っていた。恐らくは心を癒す酒によるものだろうが、その結果として傷つけられる者がいるならばこの店の価値が損なわれる、そんな思いだった。

 

 だから、それゆえか。

 

「うん、あんた、納得なんかしてないんだろ? 一発だ、一発なら許してやる」

「……ありがたく好意を受け取らせてもらいます、うわにっがえっぐこのお酒ぇ……」

 

 苦杯を文字通り舐めながら堪える姿を見たミアから承諾が出た。とは言え酒飲みの場を壊すなどそうそうしたくはなかったスピネは特段気負うこともないと酒を舐めるように飲む。

 

 だが。

 

【凶狼】は止まらない。すぐそこにヤベーやつが現れかけていることなど気付けない。

 

【剣姫】は焦っていた。興味ある少年を傷付けてしまったのだろうと確信していたから。

 

【九魔姫】は怒っていた。不始末をつけたのに相手に嘲弄する彼に。しかし気付かなかったのだ、それよりもっとイカれた思いを抱える狂人がいることに。

 

【勇者】だけが、漠然としたナニかに気がついていた。親指がどうしようもなくうずく、これ以上は不味いと止めようとして。

 

 誰にとってもとどめとなる一言が、放たれた。

 

「あの雑魚をひとりで出した『主神の面をみてみてぇよ』!! 『同じように雑魚なんだろうがなぁ』!!」

 

 頭の中でリミッターが外れた、そんな音がするようだった。

 

 

 

「おっとストップ、そこまでにしてもらえますぅー?」

「あ゛ぁ゛!? んだテメェは!?」

「貴方の愚弄した神ヘスティアの眷族、【ヘスティア・ファミリア】所属、スピネ・モデストです。あぁ、覚えてもらわなくて結構ですよ? 口を開けば愚弄嘲弄、良く回る口で私の名を語られるのも若干癪ですし」

 

 丁寧な語調を忘れず、それでおいてきちんと激昂。アングリーではない、ラースだ。だがいくらか最初のぶちかましで落ち着いたらしく次は標的を選んだ一撃を。

 

「神ロキ、【勇者】フィン・ディムナ及び【九魔姫】リヴェリア・リヨス・アールヴに聞きたいことが」

「なんや、聞いたるわ」

「【ロキ・ファミリア】が掲げるは道化と聞いていますが……それは文字通りの道化と等しい意味だったのですか? 他神を愚弄するような、他の眷族の思いを踏みにじるような者が知恵と策謀を駆る神の眷族とは到底考えることができないのです、それこそ笑い者、とでもいいますか」

 

 それは限りないまでの丁重な煽り。そんなわけがない、とそう言いたいのだろうが、そこの【凶狼】の行動がそれを許さない。

 

「んだテメェ話しかけといて……無視かよオラァ!!」

「店内でおいたはほめられたことじゃあないですよ?」

「なっ!? ウォァ!? ガッッッッ!!」

 

 バネを使い飛びかかり蹴りを入れようとした彼の目前、黄金の障壁が蹴りを阻み、蒼の一条が狼自身の蹴りにより前に出た足をいきおいよく押し返し体勢を崩させる。紅の大鎌が柱に突きささり、狼を鎌と柱とで挟み込んだ。

 

「なっ……!?」「なんやて……!?」「いったいなにが……!!」

 

 一瞬で命を奪われかけたベートに対し、その場の全てが目を開く。ロキ・ファミリアの面々は目線を交わすと、それぞれに幹部、主神として頭を下げる。

 

「こちらの団員が酒乱で迷惑をかけた……本当にすまない、ロキ」

「すまんなうちのベートが……許したってや、この通りや」

「今度僕たちのホームで謝罪の機会をくれないか? ひとまず本当に申し訳が立たない」

「せやな、ウチにさっきの男の子連れて来てくれへんかな?」

 

 友よ、やりすぎだ。そんな思考ができる程度には冷静な思考が帰ってきた、穏便にこの場だけでも納めねばと思考が叫んでいるからさっさと終わらせようと動く。

 

「何事かありましたか? まさか賢く偉大な神の眷族が他者に己の牙を向くことなどないでしょうになにを弱小ファミリアに謝ることがあるのですか?」

 

 どう意訳しようがクソみたいな煽りついでにすっとぼけてやるからなかったことにしてもいいんだぞという譲歩でもある一言を投げ掛ける、後者の意図を掴んでくれたようだがロキ・ファミリアの代表たちは……

 

「それでもだ、数えきれぬ非礼を詫びねばならない」

「リヴェリアの言葉通りだ、どうか頼む」

「団長と副団長、そのお二方がなかったことでも謝意を示さねばならぬと思うほど誠実ならばそれに答えねばこちらも無礼でしょう」

 

 きっちりとした謝意を示すことを選択し、青年はそれに納得を得た。

 日時を示し、相手方の了承を得てから青年はクルリと向き直り悠然と扉へ向かい、姿を消した。

 

 

 

 

「なんつーアホなんやベート……酒入っとるにしたって相手くらいは選ぶべきやぞ……死んだと思って冷や汗かいたわ」

「おぞましいまでの理不尽な防御からの攻撃性能、独立した機動を見せたあの魔道具らしきなにか……見た目からは想像もつかない強さだったな……」

「あれと初見でやりあえ、なんて言われた日にはほぼ確実にさっきの二の舞、屍を晒すことになるだろうね……ベートには言っておかないとなぁ……あれ?」

「どうしたんや、フィン?」

「アイズがいない……?」

 

 

 

 

 

 そのころ、憂さ晴らしにダンジョンダイブをかけるだろうベルを追うスピネは、【剣姫】と会話を交わしていた。

 

「さっきは……ごめんなさい」

「謝礼を述べなければいけないのはこちらです、ああは言いましたが感謝はしていますから」

 

 実際のところアイズが駆けつけなければベルはアーティファクトで死ぬことこそなけれどもより深い、ダンジョンへの忌避を想起させるトラウマになりかねなかっただろう。どのみち偵察と情報に特化したアナライズは逃げの一手しか打てない。

 

 だからこそ、助けにきたアイズとベルに火をつけた狼にはある程度の感謝を持っていた。後者への感謝は主神への暴言で一瞬で無に帰ったことは説明する必要もないだろう。

 

「また今度、ベルのこと、教えてほしい」

「そのくらいならいくらでも、ですがじきに彼を黄昏の館へ連れていきますしその折に二人になれるように計らったほうがいいような気がしますがどうですか?」

「構わない、ありがとう……またね」

 

 アイズ語、アニメで見たよりは非常にわかりやすいので会話が楽。などと思いつつダンジョンへと足を進める。奥から上がってくるボロボロの肉体に安堵の声を漏らした。

 

「スピネさん……僕は……僕は!」

「えぇ、わかりますとも、わかります」

「僕は……強くなりたいです、英雄に……なりたいです」

「ベル、よく聞きなさい」

 

【英雄願望】。十分なことだ。だが。

 

「いいですか、ベル。英雄が英雄と呼ばれるために必要な最後の行程は、死なのです。語り継がれる英雄はみな、死ぬ。そうであってはいけない、貴方はそうではない、貴方は生きる英雄に、英傑になるべきなのですから」

「スピネさん……はい!」

「いい返事です、戻りましょうか。3日後に黄昏の館に行く約定も取り付けました。ダンジョンと鍛練くらいなら見ていてあげますから無理はしないでください」

 

 そして、今はただ眠れ未来の英傑よ。いつか、必ず。

 

「私が、俺が、この子を羽ばたかせてみせる。蒼い空に白い翼を打ち、神の意思さえも越えなお先に行ける大きな鳥へと、育てて見せる」

 

 ひとりの少年に憧憬を目指すという戦う理由が増えた時と全く時を同じくして。

 

 ひとりの青年に育て鍛えるという戦う理由が増えた時であった。




ここはどう決着させるか大変迷いましたがロキファミリアと和平ルートに派生させたほうが展開が楽だと判断いたしました。
実は大立ち回りしてロキファミリアにカチコミかけるレベル7AF軍IFがあるんですけど需要はさすがにないと思います!!

あと主人公、原作知っててなーんで悪口聞きに行ったんだろうって思われるかも知れませんが原作通りなら悪口はベル・クラネルのみになると思い込んでいたからですね、その後を知らないが故です。

感想、お待ちしております。

オリキャラ二人目、【文明の先駆者】ルチル・クロフォード。白衣茶髪赤目眼鏡系研究になると饒舌な無口おねーさんを…

  • これからも出してええんやで(寛容)
  • オリキャラ2人はいかんやろがい!
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