数百年生きる妖怪がVtuberになった件   作:鬼怒藍落

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 今回の話は過去最長です。


【ホラーゲーム】ほらーげーむはいしん……【ビビリ鴉】その5

「…………急遽募集じゃ、アランに対する怒りは何処へ向ければいい?」

 

 三つ目の回想。

 内容を簡単にまとめると、まだ母親が狂ってなくて「ともだち達」と話す事が出来た頃の物と……そして、父親であるアランが事に及んだ時の話。

 この回想を見るのに必要なトロイメライは夢という意味を持つ曲で、収録されているのは子供の情景。

 このゲームでは【子供の情景】を大人が昔を振り返る曲と表していた――つまりその事から考えると、クロエは大人という事になる。明らかに見た目が子供で、精神も幼い彼女が大人だなんてありえないが、あの父親に大人にされたという解釈が今までの回想と【子供の情景】から出来てしまうのだ。

 今回の回想はまさしく夢。

 楽しかった「ともだち達」と話せた頃の幸せな夢と、子供から大人にされた悪夢――そんな事を儂はこの回想と曲を聴いて思ってしまった。

 

[戻ったね]

[ふざけるシーンじゃないもんね]

[あの父親に対するヘイトが既にヤバイ]

[でも仕方ないだろ]

[トロイメライ選んだ作者凄いな]

[選曲が完璧]

[怒る義理の親]

[いまミシェルと笑っているクロエが幸せそうで嬉しい]

[疑ってたけど「ともだち」いい奴だったんだな]

 

 

「クロエは何も悪くないのにな……何が子供なのだから自分の物だ? ふざけるのも大概にしろ。逆らえない? そんな簡単に言葉で呪いをかけるな儂が祟るぞ」

 

 回想の後半の父親の身勝手すぎる言葉。

 思い出すだけでムカついてしまうそれに溢れる文句が止まらない。

 本当に他人の感情を動かすのが上手い綺麗なストーリー。それは、儂をこの世界に縛り付けて、疲れた・飽きたという感情を持たせてくれなかった。

 

「二階も明るくなったようじゃな、この分だとあと一曲で終わりか?」

 

 この館で残ってる場所なんて三階だけだし、プレイ時間的にもあと一曲見つけて演奏すればアランと直接対決するような感じになるのか?

 そんな事を考えている時にもイベントは進んでいき、またいつものように赤い文字が流れ始める。

 その文はもう疑う余地もなくミシェルの独白で、最後にとても気になる事を一つ残していった――それは「クロエは僕が殺した」という言葉で、さらなる謎を儂らに与えてきた。

 

[ここまでの赤文字演出見てると思うけどミシェル君ヤンデレ?]

[ヤンデレ金髪ショタ]

[というか、ミシェル君はやっぱり別のクロエとなんかあったの確定?]

[あそこまで我が儘言われても受け入れるのは、重ねてるからかな?]

[そのクロエがよっぽど大切だった感じか]

[クロエは気付いているのか分からないけど、ミシェルにならいいかみたいに思ってるって感じ?]

[愛してたけど殺してしまったのヤンデレ感すごいね]

 

 

 進むコメント欄の考察。

 それを見ながら儂はメモアプリに記録していき、この世界を心の底から楽しんでいく。ストーリーの考察、キャラの関係性を考え、実際にプレイして謎を解いていく。

 アドベンチャー系のゲームにホラー要素を加えるとこんなにハマるものなのだなと、そんな事を思いながら儂は気になっていた事を口にした。

 

 

「そういえば主ら、今アイテムにはどこで使うのか分からない物が三つあるのじゃが……これ、使う場所あるのか? このクロエの絵と、人形達なんじゃが……」

 

 今持っているアイテムでどこで使えばいいのか分からないのは三つ……一つはミシェルに切り抜かせたクロエの絵、そして残り二つは汚れた人形達。

 クロエの絵はまだどこかで使えそうな気配があるが、汚れた人形達はどこで使えばいいのか分からない。だからこういう時は皆で考えようと、そうやって聞いて見ることにした。

 

 

[そういえばそんなアイテム拾ってた]

[多分クロエの物だし、部屋でなんかするじゃない?]

[クロエに見せるとか?]

[色々試してみようよ気になるし]

[ハンカチとか取って、綺麗にしてから渡すとかかな?]

[絵もクロエに見せてみない? ミシェルが持ってきてくれたって感じで喜ぶと思う]

[怒る義理の親]

[いまミシェルと笑っているクロエが幸せそうで嬉しい]

[疑ってたけど「ともだち」いい奴だったんだな]

 

 

「感謝じゃ、とりあえず近い所からやっておくか……おっ、クロエに絵を見せたら画用紙が欲しいと言われたぞ? つまり正解って事じゃよな……ふはは、儂らの勝ちじゃ」

 

 クロエに絵を装備しながら話かければ、会話イベントが発生し何かを思いついたクロエが画用紙が欲しいと伝えてきた。つまりこの先どこかで画用紙が手に入れば、クロエに渡せばいいという事か。

 じゃあ次の謎である人形でも何か出来そうじゃな……コメント欄の言葉に従えば、やっぱりクロエの部屋でなにかする感じでいいはずだ。

 ということで明るくなった二階ではもう燭台も必要ないから、儂はミシェルの両手に汚れた人形を装備させて全速力でクロエの部屋に向かわせた。

 

「……汚れた人形を両手に装備して、本気で走る金髪の少年ってかなりシュールじゃな」

 

 

[草]

[操作してるのママだぞ]

[確かにシュール]

[想像したら吹いたわ]

[鴉様もやって?]

[本当にやったら、まじで子供扱いするけどやって]

[あと今更だけどさ、さっきビビってたよね?]

[確かにママ化した衝撃で忘れてたけど、あの時取り乱しまくってたじゃん]

[ママモードの時はビビってないぞ?]

[そうだよ、あれはキレてただけビビってはない]

[見直してみたけど、キレてたし「キャ」って驚いてた]

[あぁ、あの可愛い悲鳴……あ、ビビってんじゃん]

 

 

「あんまり思い出したくはないが、あの時はビビって……たわ――あれ儂負けた?」

 

 

[やっぱり弱い]

[即堕ちしてないけど、堕ちたね]

[……ママが堕ちる?]

[閃いた!]

[い つ も の]

[最早閃かないのが失礼までもある]

[でさ鴉様……負けたんだから分かってるよね?]

[ロリ? ママ? メイド?]

[固定? 配信?]

[全部のせもありだよ?]

[初見なんだけど、ここの視聴者の団結力化物じゃん]

[源鶫:ママ! ここは今度コラボしてその時ロリママメイド固定配信しましょう! 僕の母さんがロリママメイド状態の盟友を描いてくれたらしいですから!]

[キメラ大好き:yes、椿ちゃん監修だぜ!]

[超楽しみ!]

[ここまで言われてるんだからやるよね?]

 

 

 ……あれれー? 

 おかしいな、儂の知らぬうちにいつの間にか罰ゲームがある事になって、その罰も勝手に決まってたぞ? しかもその罰の為に既に絵が用意されてすっごい期待されていると……怖いなぁ、逃げ場がない。

 そしてそんな時一件の通知が、ディスコへと送れてきた。

 相手はしかもマネージャーの社さん。

 

 

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浮世鴉 お せ

#XXXX

   ─────20XX年7月31日─────  

21:40 日祀社 社長からロリママメイドコラボ期待してるという伝言を預かってきました

21:40 浮世鴉 え?

21:42 日祀社 来週ある一・二期生合同の料理企画に参加する感じなのですが、行けますよね

21:42 浮世鴉 社さん待って? 儂ついてけない

      いやほんと

      え?

21:43 日祀社 配信で告知も頼みます

21:44 浮世鴉 社さん……やるからには全部食う覚悟で行きますからね

21:45 日祀社 私が貴方に持ってくる企画は全部実力を買ってるからこそ

      その程度理解していますよ 

 

 

日祀社へメッセージを送信  GIF  へ  

 

 期待されたらやるしかない。

 演技を望まれてしまえば、何があっても答えなければ浮世鴉の名が廃る。ならばやるしかないけれど、こんなポンポンと決まるのは予想外……しかも憧れている先輩方とのコラボだ。手なんか抜けないし、今の配信も全力でやらなければならない。

 

 

[ディスコ?]

[配信中に見るって事はマネさんかな?]

[つぐみんとかに悪乗りが過ぎたって謝られたんじゃない?]

[でもそんな表情じゃないぞ鴉様]

[一回溜息を吐いてのマジ顔か……なんか覚悟決めたな]

 

 

「いま儂のマネージャーから言われたんじゃがな、今度の料理企画があるじゃろ? それで儂はロリママメイド状態で参加する事になったのじゃ……自分でもやばいと思う文字の羅列じゃが、全力でやるのでどうか見てくれると助かるぞ、マヨイビト達よ」

 

 

[妖ぷろやっぱりやばい]

[見るしかネェ]

[その為にも今日の配信全部見るぞ!]

[頑張れ鴉様!]

[格好いいけど、やるのロリママメイドなんだよね]

[草]

 

 

 そんな事もあってちょっとゲームが止まってしまったが、ここから先は先程までよりサクサクと、何より皆を更に楽しませるように頑張ろう。

 とにかく人形を持って色々調べるために二階に来てみれば、新しく「三階楽屋の鍵」を手に入れることが出来たしクロエの部屋を探しまくったらなんと椅子に人形を置くことが出来て、その人形から鈴を手渡されたのだ。

 

「よし新アイテムも更にゲット、どこかで使うじゃろうし、幸先がよいぞ! ……次はあれじゃな、早速楽屋に向かうとするか」

 

 ちゃんとセーブをしてから三階に戻って、施錠されている部屋を調べれば右側の部屋が空いてくれた。部屋に入った直後、血の滴る音が鳴ったかと思えばすぐに時計の音が鳴り響いた。

 気になって時計を調べてみれば、今は午前の三時のようで、ミシェル君がこの館に来て三時間が丁度経過したようなのだ。

 

「……気になるのは、机の上の手紙か……また謎解きじゃな」

 

 手紙にはチャロが殺されたという事と、犯人に制裁を加えて欲しいという内容が記されていて、一緒に見取り図が同封されていた。制裁を加えるには机の上に置いてある金槌を使うのだろうが、この見取り図だけでは犯人が分からない。

 

「色々探索じゃな…………………………十分はかかったぞ、ムズかったのじゃ」

 

 配信が始まって丁度一時間半が経過した頃に儂はこの謎を解き終わった。

 色々な情報を教えてくれたホールの観客には感謝しているが、ああいう系の謎解きは苦手だった所為で何回も話を聞く必要があり、ちょっと聞き飽きたのは内緒。

 まあそんな事は置いておいて、儂はこの事件の犯人に金槌で制裁を加え謎を解いてみた。すると、その残骸から遂に元凶だろうと予想してる父親の部屋の鍵を手に入れることが出来たのだ。

 

「ッ――お前の部屋を待っていたぞアラン、そこに何があろうとぶっ壊してやるからな……ふふふ、待っておれ、儂らの怒りを思い知らせてやる――いなくてもよいぞ? 貴様の物を壊して発散するかのう!」

 

 

[対面するか?]

[流石にいないじゃない?]

[でも八つ当たりは出来そう]

[よし、やろう]

[私達の怒りを思い知れ]

[過去一やばいもの置いてありそう]

[ビビり鴉期待]

[じゃあ男鴉希望]

[そういえば男鴉見てないね]

[このショタがそのまま成長した姿みたい]

[ギルガメッシュみたいになるのにかけるわ]

[それもあり!]

 

 

「それならいつか見せてやろう! 儂が男だということを教えてやるぞ?」

 

 なんかちょっと危ない台詞になった気がしたが、それは無視してクソ親父の部屋に急行する。

 そして入った瞬間に、この部屋に関するテキストが表示された。

 

床にはべっとりと、赤黒い染みがついている 

 

 部屋は紫色に染まっていて、床やベッドには大量の血……気持ち悪くなりながらも探索すれば、机の上には――「愛しい娘の成長記録」と描かれたアルバム。

 

「……どこまで腐っているのじゃ、あの父……男は」

 

 もうあいつを父親と呼ぶことは出来ない。

 もうあの男は化物だ。こんな事人間が出来る訳がない、怒りと憎悪……無垢な子供を欲の為に汚し続ける外道に、慈悲はいらない。

 会ったら潰す。そんな事を決意して、ボタンを押してみればこれを読むかの選択肢が出てきた。

 

「ゲーム的には、これ読まなければ進まぬよな……一度セーブしてくるか」

 

 

[本物の呪物出てきた]

[あの父親呪霊だよ……人間じゃない]

[許さねぇ、僕達の兄妹を……]

[ママの子供を!]

[もう父とか呼んではいけない]

[過去一やばいもの置いてありそう]

[読むしかないだろうけど、嫌な予感しかしない]

 

 

 準備を終えて忘れていた部屋の探索を進めることにしたら、下の方にある本棚から画用紙を手に入れることが出来た。とりあえず、これは後で使うとして今は、あの本を読むことにするか…………。

 

 

 

クロエによく似た少女が悲痛な表情を浮かべている。
 

 

 調べたら出てきたのはそんな表示。

 

 

「………………続き読むぞ」

 

 気持ち悪い。

 そんな感情と大量の怒りが湧いてくる。

 

 

クロエによく似た少女の写真が大量に乗っている。
 

 

 

「はぁ…………予想通りか……それに、これかなりやばい物じゃな。これ以上進めるとやばいのが分かるぞ――待て、何か変じゃ……ミシェル? どうした?」

 

 

 ………………汚らわしい。

 

 突如赤くなっていく画面に、そんな赤黒い文字。

 儂の特性のせいか、強すぎるミシェルの感情を直に受けてしまい、儂も同じような感情を持ってしまい、クロエに対する悪感情が湧いてくるが、それを理性で止める。

 このままではいけない、何かがまずいと思った儂は今のミシェルの感情を、能力を使い演じることで理解する事にした。そうすれば、この状態を抜け出せる術が見つかるかもしれないから。

 そして、分かった事は現在ミシェルはクロエの事を理性がなくなるレベルで汚らわしいモノと思っていて殺したくて仕方ないようだ。

 理解し自分でも感じる事で、状況の解決を図るというのは裏技に近いが……少しでも速く抜け出したいので仕方ない。

 

 殺したくて仕方ないという感情はクロエに関するモノ全てに今向けられている。

 ならばそれを逆手に取って――――。

 

「主ら、それもこのゲームをプレイ済みの者達よ……これクロエに話しかけると駄目じゃよな」

 

 

[正解]

[予想できちゃうか]

[ママが殺すシーン見たくないから言うけど、そう]

[それ以上は言わぬぞ]

[鴉様のモデルが凄いつらそうな表情浮かべてる……]

 

 

 答えは聞いた。

 ならば今やることは一つ、クロエに関係するモノを壊す。

 

 クロエの部屋に向かって何かを調べてみれば、調べたモノをミシェルが金槌で壊し始めた。

 …………ビンゴ、これじゃな。

 そしてそのまま調べて壊すを繰り返せば、正解を引いたようでミシェルが正気に戻ったような演出が始まった。きっかけは、最後に壊した物から出てきたクロエの日記。それを読ませたとき、ミシェルは正気に戻ってくれたのか、冷静にその日記を読むことにしたようだ。

 

 

 儂は日記には感謝したが、書かれている内容自体はあまりよくないモノで覚えていたくないモノだった。

 だけどその中身には覚えていないといけないような事も書かれていた。

 その日記の中にはクロエは時々記憶を無くしてしまい、戻ったときには何かを壊してしまうという事と、人を殺したいと思ってしまうという事――――そして、強すぎる憎悪は呪いへと変わり自我を持つという事が拙い言葉で残されていたのだ。

 最後の方に書かれていたのは、儂ら妖怪なら何よりも知っていることで……そのせいでこれまでのゲームの内容から、この屋敷を呪ったのはクロエだという事を理解してしまった。

 

「……そしてミシェルは、自分がクロエをどう見てたか知ったのか――ふぅ、かなりストーリーが進んできたな」

 

 ミシェルの「クロエは人間だ」という台詞から、彼が大事にしていたクロエは人間ではなく、動物とかだろう。それでずっとミシェルはそのクロエ(動物)とクロエを重ねていた……とかいう感じで、重ねてた相手が他人にどんな風に汚されたかを知ったことで、あんな状態になったと。

 

「もう一度あれを見るようじゃが……いまのミシェルなら狂わないじゃろうな」

 

 そんな事をミシェルに画面越しから伝えて、あの男の部屋に戻り再度あのアルバムを確認する。

 正気のミシェルは、それで狂うことがなくむしろクロエへの行為に怒りと悲しみを覚えているようだ――――その事実に人間の成長を感じた儂は、なんでか嬉しくなってしまう。

 

「……………………あの男も一応は父親としての時期があったんじゃな」

 

 アルバムの最後に入ってたという、一枚の家族写真……そこには、仲良さそうに並ぶ幼いクロエと若い両親が映っていたようだ。

 抜き取ることが出来たその写真の後ろには、「ピアノの後ろ」というヒントが記されていた。

 そのヒントを頼りに、この部屋にあるピアノの後ろを調べてみれば、そこには工具が落ちていたようだ。 

 

「工具が使えそうな場所は、あれじゃなホールの一番奥の扉」

 

 あそこの扉のドアノブは壊れているというテキストが一回調べたときに出てきたが、今手に入れた工具があればきっと開けられるはずだ。

 そう考えてホールに戻ってみれば、案の定工具を使うことが出来てドアノブを外すことが出来た。

 それで、この扉を開けるには何やら差し込める持ち手のあるような物が必要らしいのだ。

 

「そんなアイテムあったかのう? ……一応全部調べられそうな所は見たが、なかったぞ?」

 

[なんかあったっけ?]

[棒とか探すのかな?]

[でもそれじゃ壊れるくない?]

[じゃあ、なんだハサミでも入れてみる?]

[あの今まで活躍してくれたハサミをか]

[ハサミならやってくれる]

 

 

「燭台に続く最強アイテムの鋏を使うのか……それならいけそうじゃな」

 

 そういう事で鋏を装備して扉を調べてみれば、ドアノブの変わりになるようで、扉を開けることが出来たのだ。やっぱり最強な鋏に改めて感謝して、今度数十年は放置していた鋏の付喪神と久しぶりに話してみようとそんな事を儂は決めた。

 

「とりあえずセーブ。どんな部屋が待ってるか知らんが、今まで出てきたのはクロエと付喪神達だけじゃし、また似たような者達が待ってる気がするのう。西洋人形は止めて欲しいが、兵隊人形だったら優しいだろうし、大歓迎じゃ」

 

 色々と想像を膨らませながら、部屋に入ればそこには……なんか、すごく、たましいっぽいのがふたつあった。

 

「………………すぅぅぅー……帰るか」

 

 

[判断はっや]

[ざっこ]

[大歓迎じゃw]

[ほら話しかけろよ]

[はーりーあっぷ]

[色的にメイドの魂?]

 

 いたのは青い魂と、オレンジ色の魂。

 どう考えても人魂っぽいそれはなんかせっせと働いていて、とても邪魔できるような雰囲気ではなかった。それを極力邪魔しないようにしながら何より、魂から目を背けながら軽くこの部屋を探索してみれば、この部屋がキッチンっていう事が理解出来た。

 

「…………そうか、この館のメイドか……話を聞いてみるが、驚かせたら逃げるぞ儂」

 

[ビビりまくってるじゃーん!]

[人間の幽霊を見た瞬間にクソザコ化する大妖怪]

[口調は強いのに言ってる事が弱い]

[またロリ化するんだな]

[待ってるで]

 

「あれ……意外とこのメイド礼儀正しいのじゃ、しかも晩餐会に招待してくれると……もしや、此奴らは癒やしポイントか?」

 

 一人目の青い魂に話しかけてみれば、とても丁寧に主人公の名を呼んだり食事に誘ったりと礼儀正しく挨拶してくれたので、味方かもしれないという希望が持てた。

 だからもう一人のメイドも安全じゃないかという思いで話しかけてみたのだが、もう一人の方は正気を失っているのか、言ってることがやばかった。

 

 そうやって各メイドに別々の印象を持ちながら、この部屋の探索を終えたので部屋から出たのだがその瞬間操作できなくなってしまったのだ。

 

[晩餐会始まったね]

[二人の食事会ちゃんとみようね]

[あーあ]

[グッパイ……鴉様?]

[え、普通の晩餐会じゃないの?]

 

 始まったイベントは晩餐会。

 あの礼儀正しく常識モってそうなメイドがいるぐらいだし、きっと出てくる食べ物はまともな物だろう。なんかコメントがおかしい気がするが、きっと大丈夫。

 ……まあちょっと、ミシェルの表情が曇ってて、テンションおかしくなってるのもきっと見間違い――――。

 

 

 あまり音の立つことのない静かな晩餐会  

 服装からして礼儀作法は一通り学んでいたであろうミシェルは、テーブルマナーに従って綺麗に食事を進めていく。  

 

 

「あはは……この臓器のステーキ……最高だ!」  

 

 

 狂ったように……否、狂っているのかとても無邪気に笑いながら食べるのは……。  

 無理矢理切り取られて成形されたような、不気味に整った肉の塊。それを心底美味しそうに食べるミシェルは、冷や汗を流しながらも笑うことをやめない。  

 

 

「フフ、ウフフ……お粗末様ですわ……」  

 

 

 狂ったメイドは愛おしそうに、食事を進める子供を見て嗤い――壊れる子供に狙いを定めた。

 

 

 

 

 

 

GAME OV ER

 

 

 

 

▶ ▶❘                                 CC ⚙ ろ わ だ 

【ホラーゲーム】ほらーげーむはいしん……【ビビリ鴉】

6.2106 人が視聴中・95分前にライブ配信開始        い3298 う67 へ共有ほ保存 …


【妖ぷろ】浮世鴉 Ch

チャンネル登録者数 66284人

 

「ハッわっ、のじゃぁぁ!? あのメイド女ァ!?」

 

[はいガメオベラ]

[安定のロリ化]

[迷言「メイド女ァ!?」]

[のじゃロリもいいよね!]

[ミシェル君何食べてるんだよ……こっわ]

[メイドを信じるな]

[メイドに騙される鴉様の絵はまだかな?]

[ロリママメイドがメイドに騙されるのか……]

 

 




 そうだアンケートに投票してくれた349人の方ありがとうございました!
 結果発表をここでさせて貰います。
 異世界バーチャルズ(129)・世界書庫(129)・V高校(91)という結果になったのですが、票数が同じのが生まれてしまったため、票数が同じ箱を両方登場させることにしました。
 想定していたよりも票数が集まったため、全部出すのもありかなーって考えたのですが、今の自分の力量じゃ三箱分のキャラを扱うのは難しいと判断したので、今回はV高校参戦を見送らせて頂きます。
 ですが、書けると自分が思えるようになったら異世界バーチャルズと世界書庫の後にV高校のメンバーを登場させるつもりですのでこれからもよろしくお願いします。
 

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