シキミちゃんの兄として   作:喪家の狗

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日頃からこの作品を見に来てる方々! 聞いてくれよ。

作者ってば初めてメッセージを頂いたのだ!

しかも長文のやつ!

やはー、嬉しいですね!
感想にしろ評価にしろ見てくれてる人からの言葉というのは胸に来るものです。

...良い意味でも、悪い意味でも、ね?


改めて皆様ありがとーー!


そんな皆様のご期待に添えるような作品に仕上げることが出来るかはわかんないけどとりあえず見て行ってくれたら作者は喜びます!




第30話 マジコスサフラ

 

 

 

 

「さてと、シキミちゃんも挑戦者の相手しに行ってしまったし......暇ですな」

 

「ラプー...」

 

 

シキミちゃんが戻ってくるまで何しようか、と未だに輝石の似合いそうな姿をしている相棒と共にリビングのソファーでだらけていた時にその人はやってきた。

 

 

ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴る。

 

起き上がるのが億劫でチラリとテラーを見る。

 

 

「...ラップ、ラプラプ」

 

「ま、まさかテラーちゃんに頼もうとしてたわけないでしょ?」

 

 

見透かされたように言われてしまった。

 

 

仕方ない、と重い腰を上げ玄関へと向かい扉を開ける。

 

 

「やあ。サフラ君、と言ったかな? 今、少しいいかい?」

 

 

相手が誰なのか確認することも無く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「改めて挨拶を、とも思ったんだが……シキミ嬢はまだ戻ってきてないみたいだね」

 

 

真面目な人だな、なんて思っていた矢先、所で...とギーマさんは言葉を続けた。

 

 

「......歓迎会の時から気になってたんだが、随分と野暮ったい格好をしているね」

 

「え? あー、はい」

 

 

つい、当たり障りの無い返事をしてしまう。

 

 

僕としてはこの格好を気に入っているし、野暮ったいとも思っていない。動きやすくて寛ぎやすいこの格好の何がいけないというのか。

 

......確かに見栄えは悪し、もう何ヶ月も着てるからボロボロになってきたし、首と裾のところはヨレヨレで肘のところ穴空いてるかもしれないけど。

 

だ、大丈夫だよ。毎日ちゃんと洗ってるし。

 

 

「そうだ、折角ならわたしのお古を着てみないか?」

 

「え...」

 

 

興味の欠片もないように振舞っていたつもりなのだが......どうやら僕は演技の才能が絶望的にないらしい。

 

 

「ああ、大丈夫だ。お前の背丈にあったサイズだってちゃんとあるし」

 

「はぁ...」

 

 

確かに僕よりも10数センチほど大きいギーマさんであるが、僕は別にサイズを気にしていた訳では無い。

 

それに何で小さいヤツがまだあるんだよ。

 

 

お気遣いは有難いが、僕は今大変忙しいのだ。

 

うん、忙しいよ。めちゃくちゃ忙しいの。

 

 

なので断るための言い訳を必死に考え

 

 

「おや、ギーマさんにサフラさん。どうされたのですか?」

 

 

そんな時にちょうど悪くカトレアお嬢様の補佐にして執事のコクランさんも部屋の前を通り掛かるもんだから相変わらずの間の悪さには嫌気がさす。

 

いや、この人達が嫌いな訳では無いからね?

 

 

......あくタイプ使いってのはゴースト的に少し苦手感あるけどね?

 

 

 

 

ウダウダ脳内で言い訳をしている内に仕事の出来るギーマさんはこれまでの経緯を簡単に説明をする。無駄のないストイックな感じは見習うべきだ。

 

 

「そうですね、やはり女性のお傍に控える執事としてはそれ相応の身だしなみを整えるのが望ましいですね」

 

 

ほら見ろ、どうするんだ。全く反論の余地が無いじゃないかー。

 

相変わらずこの人は僕のことを執事だと勘違いしてるけど。

 

 

「では行きましょうか」

 

 

こう見えて根っからの小心者である僕は、じゃあ、お願いします。と頷くことしか出来ず、ギーマさんの部屋へとコクランさんと共に連行されてしまった。

 

何の説明もなく部屋に1人残してしまったテラーちゃんが心残りだが、まあ彼女なら大丈夫だろう。

 

 

心の中のテラーちゃんが大丈夫だよ、と呟いた気がした。

 

 

 

 

「サフラさんは身長こそ高くありませんが、全体的に線が細いので中々に様になっていますね」

 

 

何だこの服、服内で動けるスペースも無く、パーカーほど柔らかくない。紳士服になれない僕にとって動きづらいことこの上ないのだが。

 

 

「色違いもあるんだよ、ほら。こっちの色なんてシキミ嬢の洋服とあっていていいんじゃないかい?」

 

 

あ、それは普通に良いですね。僕そっちが良いです。

 

 

......いや、色違いって言葉に惹かれた訳じゃないよ?

 

 

「ほら、髪もだらしなく垂らしておくだけじゃなくビシッとキメれば……うん、いい感じだ」

 

 

ヒドイ......シキミちゃんにすらこんなことされたことないのに......。

 

 

「最後に作法の練習です。いいですか? 私めの後に続いてください」

 

「...はい」

 

 

コクラン先生、女性をダンスに誘うお作法は本当に必要なのでしょうか?

 

 

 

 

 

 

 

すっかり変わり果ててしまった僕は着替え方やワックスの後処理なんて知る由もなく、クタクタ疲れた様子で部屋に戻

 

 

「サフラさん、猫背に戻ってますよ」

 

「はいっ」

 

 

変な癖付いたかもしんね。

 

 

 

色々あったがようやく戻ってこれた我が部屋。

 

ただいまー、とリビングに向かって声を掛ければソファーでのんびり寛いでいたテラーちゃんが両手をパタパタさせながら近づいてくるのが分かる。

 

器用に扉を開け、玄関に顔をのぞかせると、

 

 

「ラップラー! ...ラプッ!?」

 

 

中々驚いた表情を見せてくれた。

 

 

「はは、随分と変えられたでしょー?」

 

「ら、ラプ...」

 

「そりゃどうもー」

 

「ラップ! ラプラーラプ!」

 

「いや、着替え方も知らないしもう着ないと思う」

 

「...ラプ、ラププー」

 

「はいはい、どうもね」

 

 

テラーは気に入ってくれたようで褒められたけど、どうにも僕にあっていない気がしてやまない。

 

 

改めてその様を見るべく姿見の前に立つ。

 

 

何時ものパーカーなど見る影もなく、薄紫と薄い黒に身を包んだ僕がそこにはいた。

 

 

体型を隠すつもりだった訳でもないのに着ていたダボダボさんとは打って変わったピシッとスーツ。本物の執事さんが着るような燕尾服はたまたまサイズが合ったギーマさんの私物をお借りしている。

 

ボタンを外せばいいんだろうけど、シキミちゃんにちゃんと見せるように言われているし、保管方法も知らない。

 

 

両目を軽く隠していた前髪は上に上げられ髪の下になってしたお目目が顕になってしまった。ポンパドゥール? って言うのを意識したらしい。

 

コチラはワックスで固めたらしいが、ワックスなんて中学生がノリノリで使って酷い目に合いそうな物、1度も触れたことはなかったので溶かし方? 洗い流し方も存じ上げない。

 

 

まあ、なんか様にはなってるけど中身が僕なだけにね。パチモン感が凄い。

 

 

衣装チェンジの仕上がりを見て貰うわけでも、どうにかしてもらう訳でもシキミちゃん待ちなのだ。

 

 

パーカーほど柔らかくは無い燕尾服に引っ張られながらソファーでくつろい......全然くつろげない。

 

腰掛けていると、四天王の部屋に繋がる通路から物音。

 

そしてただいまー、と聞きなれた声。

 

よっこいせ、と立ち上がりそこへと向かい、扉を開ける。

 

 

「あ、兄さん、ただいま。今日も勝てま」

 

 

靴を脱いでいたシキミちゃんは僕の姿を一瞥した途端変な顔のままその動きを留めたが、まあこの格好が気になるのは僕も同じだから。それだけやれば終わりだからさっさとやらせてよ。

 

より美しく見せる動作と教えこまれた事を思い出し、シキミちゃんを出迎える。

 

 

「お帰りなさいませ、シキミちゃん。本日もお仕事、お疲れ様でした」

 

 

左手を軽く胸に当て、右手は背中に。胸は張り、指も真っ直ぐ伸ばす。

上半身だけを30度程度曲げるお辞儀、背筋は伸ばしたまま。

 

 

うん、多分良いはずだ。

 

 

僕は顔を上げ、腕を下ろした。

 

 

 

 

 

 

 

 

あのさ、シキミちゃん。

 

 

「......」

 

「......」

 

 

僕がこんなことするのは驚きなんだろうけど、小一時間くらい無言で動かないまま無視するのはやめてくれない?

 

 

 

 

 

 

それより解せないのはこれが僕の正装となってしまったことだ。なぜだ。

 

 

 






ご作法云々はそれっぽいこと書いただけなんでガチ紳士さんいたとしても怒らないでね? 無法者の作者を許して?


てーかアルセウス楽しっ。

熱中して熱中していけませんな。

ハマりすぎてヒスイの作品をちらっと書くかもしれないんでもし更新されたらそっちもよろしくしてもらえると嬉しいっす。
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