魔法少女リリカルなのは 〜悪魔になった転生者〜   作:リーグルー

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第十一話

「………んで?話って何だ?」

 

 

 

月村姉の話を聞いてから数日後の放課後。俺は黒髪の………確か神月?だったかに呼び出されて屋上に来ていた。………正確に言えば、無理やり引っ張ってこられたのだが、高町風に言えば呼び出された、で見違いは無いのだろう。

 

 

 

「お前に一つ、聞きたいことがあるんだ、雨音。………すずかとアリサに何をした?」

 

 

 

神月なんとか………もう黒髪くんで良いや。黒髪くんは、此方を射殺さんばかりの視線で睨みながらそんな事を言う。………何をした?

 

 

 

「何もしてないけど、何でこんなに睨まれてんの?俺」

 

 

 

黒髪くんの問いかけにそう答えると、黒髪くんは更に視線を厳しくして睨んでくる。………訳が分からん。

 

 

 

「嘘を吐くな!なのはがお前の話をする度に、すずかもアリサも一瞬だけだが怯えた顔をするし、ここ一週間近く、昼休みにお前は此処に来ないだろう!お前があの二人に何もしてない訳が無い!!」

 

 

 

黒髪くんの言葉に、俺は納得したようにぽん、と手を打つ。………確かに、その反応なら俺が月村達に何かした、と思っても何もおかしくはない。

 

 

 

「やっぱりお前、すずか達に何かしたんだな?答えろ!何をした!俺は俺の友達を傷付ける奴も、手を出すやつも許さない!」

 

 

 

俺の反応を見た黒髪くんはそんな、昔何処かで聞いたような感じの言葉を言ってくる。………俺は俺の友達を傷付ける奴、手を出すやつは許さない、ねぇ?

 

 

 

「残念。本当に俺はあの二人には何にもしてないよ。あいつらが勝手に俺を怖がってるだけ」

 

 

 

「嘘だな。あの二人は根拠もないのにお前を怖がったりはしない」

 

 

 

俺の言葉に黒髪くんはそう返す。………それはあの二人に限らず、誰でもそうなんじゃ無いだろうか?

 

 

 

「それもそう。別に根拠がないなんて一言も言ってないからな。………ってかさ、そんなに心配なら、しっかり守ってやれよ、ナイト様」

 

 

 

「………どういう事だ?」

 

 

 

聞き返して来た黒髪くんの言葉に、俺はへらへらと笑って見せる。………さっきの話の中で気付いてたけど、知らなかったか。

 

 

 

「お前の言う一週間近く前の前日の話だよ。ある日の放課後、月村とバニングスの二人は帰り道を歩いていました。そこで事件発生、何と、二人は誘拐されてしまったのです。………まぁ、その時たまたま二人と話してた俺もついでに、って感じで連れ去られたんだけど」

 

 

 

「なっ!」

 

 

 

物語を語るように、それでいて実は適当な口調でそう言った俺に黒髪くんは驚いたように声を上げる。………やっぱり知らなかったんだな、こいつ。

 

 

 

「もちろん、今の反応を見る通り、頼もしい頼もしいナイト様は助けに来てくれません。当然です。彼は何も知らないのですから。………んで、ナイト様が助けに来ないから、代わりに化物が気紛れで二人を助けてしまいました。めでたしめでたしっと」

 

 

 

俺は最後までふざけたような口調で、起こった事実全てを話しきる。………こんな適当に話してたら、黒髪くんは真面目そうだから怒るんだろうな〜。

 

 

 

「………馬鹿にしてるのか?」

 

 

 

ありゃ、やっぱ怒った。………だろうね。俺も馬鹿にしてる感全開だったから。

 

 

 

「………まぁ、そんなんどうでも良いだろ?んで、ちょっと遠回りしたけど最初の質問の答え。月村にもバニングスにも俺は何にもしてないよ。ただ、あの二人は化物――――俺を見たから怖がってるだけだからな」

 

 

 

「………嘘だな。あの二人、特にすずかは人の事を化物だ、何て思わない。何故ならあいつは………」

 

 

 

黒髪くんはそこまで言ってからしまった、というような顔をして黙る。恐らく、月村が「夜の一族」云々の事や、月村本人がそれに劣等感を抱いている、ということを言いそうになったんだろう。

 

 

 

「「夜の一族」とか言う化物擬きで、本人がそれを気にしているから、ってか?まぁ、「擬き」だからな。「本物」を見たら怖がんだろ」

 

 

 

俺の言葉に、黒髪くんは一瞬だけ驚いたように俺を見た後、強く睨んでくる。どうやら、俺が月村の事を「擬き」とはいえ化物と呼んだことが気に食わないらしい。

 

 

 

「雨音、お前は………!」

 

 

 

「はいはい、どうせ月村を「化物」とか言ったのが気に食わないんだろ?んな事分かってるっての、お前の顔に書いてあるから。でも、お前がどう思ってるかなんか問題じゃない、月村本人がどう思ってるかが問題なんだよ。んで、月村は自分の事を化物だと思ってるし、俺的には化物になるには何もかも足りないから「化物擬き」。分かったか?分かったな?んじゃ、話も終わったし、俺は帰るから」

 

 

 

俺はそう言って黒髪くんにくるりと背を向けて歩き出す。………もう眠い。さっさと帰って寝よ。

 

 

 

「待て!!まだ話は終わってない!お前はすずかを傷付けるつもりがあるのか?」

 

 

 

歩き出した俺に黒髪くんはそんな事を聞いてくる。………だんだん面倒になってきたな、本当に。

 

 

 

「………だったらどうするんだい?」

 

 

 

「さっきも言った筈だ。俺は俺の友達に手を出すやつは許さない。力づくでもお前をすずかには近づけさせない」

 

 

 

俺の質問に対する黒髪くんの答えに、俺はあははと笑って見せる。そこで黒髪くんは表情を怪訝そうなそれへと変える。どうやら俺の口調が違う事に気付いたらしい。

 

 

 

「どうやって?さっきから見ていたけど、君の実力はどう足掻いても僕に届かない。それに、僕に手も足も出ないのは、四年前に君自身が一番良く体感しただろう?」

 

 

 

「………まさか、お前は………!」

 

 

 

俺の言葉に黒髪くんは何かを思い出したようにそんな事を言う。俺はそれにくるりと黒髪くんの方を向いてへらへらと笑い、空中に式を書いて一つの仮面を編み出す。半面が泣いて、半面が笑っている仮面――――悪魔の仮面を。

 

 

 

「君が思ってる通りだよ。僕は悪魔だ。君達に分かりやすく言えば化物、になるかな?」

 

 

 

「………何が目的だ?」

 

 

 

「何も。言っておくけど、僕の事は誰にも言わない方がいいよ。あの管制人格――――リインフォースさんにも、高町さんにも、他の皆にもね。………君達が、君の大切な人達が、化物に関わる必要なんて無いんだから。僕は僕に干渉してこない限り、僕の方から何かをするつもりは無いしね」

 

 

 

俺はそう言うと再びくるりと黒髪くんに背を向けて歩き出す。黒髪くんは何も言わない。多分、何も言えないのだろう。

 

 

 

「んじゃ、そういう事。俺は俺に干渉してこなきゃ、俺からは何もする気はないよ。………よし、質問は終わりだな?んじゃ、今度こそ帰るから」

 

 

 

最後にそうとだけ口にして、俺はその場から居なくなった。




第十一話投稿。



………いろいろあって遅くなりました。すみません。
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