魔法少女リリカルなのは 〜悪魔になった転生者〜   作:リーグルー

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第十三話

「………えっと、あの〜、シュテルさん?一つ聞いてもいいですか?」

 

 

 

はい、皆さんこんにちは〜、雨音里緒です。………何ておかしなテンションは何処かに投げ捨てておいて。

 

 

 

「はい、何ですか?リオ」

 

 

 

シュテルはこちらを見ながら俺の言葉に答える。………いや、そんな不思議そうな顔されてもなぁ〜。

 

 

 

「………何で俺、バインドされてんの?」

 

 

 

そう言って俺は自分の両手両足を確認する。その全てに、動けないようにバインドが掛けられている。シュテルの怪我を魔法で治して少ししてから、突然掛けられたのだ。………こっちの世界の魔法じゃほとんどありえないくらいに複雑なバインドだな、これ。

 

 

 

「あぁ、その事ですか。簡単です。リオが説明もせずに寝る、とか馬鹿な事を言うものですから、逃げられないようにしたんですよ?」

 

 

 

「………いや、もう午前3時だし、正直眠くて仕方ないんだけど?」

 

 

 

さも当然かのように言ったシュテルに、俺はめんどくさそうにそう返した。次の瞬間、ジュッ、という音と共に何かが俺の頬をかすっていく。

 

 

 

「………今の、非殺傷ついて無かったよな?」

 

 

 

「あぁ、すみません、リオ。あまりにもリオが馬鹿な事を言うものですから、つい非殺傷設定を忘れてしまいました。………どうしましょうか?これ以上寝ると言うのなら、魔力弾が砲撃に、砲撃が収束砲にクラスアップする気がしますが。………まだ、眠りたいですか?」

 

 

 

「全力で説明させていただきます!」

 

 

 

自由に動けるなら土下座をするクラスの勢いでシュテルの言葉にそう答える。………あの目は知ってる。冗談ではなく、本当に自分の言ったことをやる時のそれだ。

 

 

 

「ありがとうございます。では、質問です。………先程の『あれ』は、一体何だったのでしょうか?」

 

 

 

シュテルはそう問いかけてくる。………まぁ、確かに、あんな見た目からして化物を全開にアピールしてるようなやつを見たら、聞きたくもなるよなぁ。

 

 

 

「あれは、そうだな………『女神』って俺は呼んでるけど、一言で言えば化物で十分だと思うぞ?」

 

 

 

「化物、ですか………」

 

 

 

俺の答えにシュテルは何かを考えているような顔になった後、少しだけ緊張したように俺の方を向く。

 

 

 

「それでは、もう一つ質問です。リオ、あなたは………何者ですか?先程あなたは自分を化物、と言いました。『あれ』が『女神』と呼ばれている化物だと言うなら、リオはどう呼ばれていて、どんな力を持っているのですか?」

 

 

 

シュテルの質問に、俺は考えるような動作をする。………どう呼ばれていて、どんな力を持っているか、ねぇ。

 

 

 

「………とりあえず、呼ばれ方は『悪魔』だな。んで、どんな力を持ってるか、っていうのだと………こんな力かな?」

 

 

 

俺はそう言って、かちん、という音と共にリミッターを外す。それと同時に、一瞬で辺りから音が消え去り、同時に俺に掛けられていたバインドも解けるように消えて無くなる。………そこはすでに元の場所ではなく、恐怖を覚えるほどに『無』が全てを支配する空間へと成り果てる。

 

 

 

「少しリミッターを外してみただけでこれ。これだけでも十分化物っぽいかな。ま、本当に『悪魔』って呼ばれてる力はこれじゃないんだけど」

 

 

 

俺はそう言って一度目を閉じ、そして開く。すると、両方瞳の中央に一つずつ、七色に明滅する涙型と、鋭く欠けた月の紋様が現れる。

 

 

 

「………それは?」

 

 

 

「シュテルは体験したことがあるだろ?この力の一部も持ってる筈だしな」

 

 

 

それにシュテルは少しだけ考えるような動作をしてから、納得したように顔を上げる。

 

 

 

「………私を人間に変えた力に、『複写眼』、ですか」

 

 

 

「正解」

 

 

 

シュテルの言葉に簡単にそう返すと、俺は悪魔のような笑みを浮かべて両手を広げる。

 

 

 

「この世界は全て「式」で出来ている。魔法も、建物も、地面も、人間だってな。俺の眼は、全てのものを式として見ることが出来て、それを解くことも、編むことも出来る。………まぁ、簡単に言えば、今まで見たもので、俺に作れないものはないし、消せないものはないってこと。ちなみに、『複写眼』はそのほんの一部。魔法の式が見えるだけ。………ほら、化物だろ?」

 

 

 

「………確かに、化物、と呼ばれてもおかしく無いほどの力ですね。確かに、あなたは客観的に見れば化物なのでしょう」

 

 

 

俺の言葉に納得したように呟いたシュテルの言葉に、俺はへらへらと笑ってみせる。………自分から、こうなるように仕向けたのだ。自分の事を化物、と呼ぶように。シュテルが自分から離れるように。こんな化物に関わって、命を落とさないように。

 

 

 

「………ですが、それがどうしましたか?」

 

 

 

「………へ?」

 

 

 

シュテルから返ってきた答えがあまりにも予想外で、俺は自分でも分かるほど間抜けな声を返す。それを聞いたシュテルは、少しだけ得意そうな顔をして俺の方を向く。

 

 

 

「大体リオの言いたい事は分かっています。というより、あなたの性格はこの数ヶ月で大雑把には理解してるつもりです。大方、自分は化物だから、自分から離れた方がいい。といった様なことを言うつもりだったのでしょう?」

 

 

 

「………まぁ、大体は」

 

 

 

俺の答えに、シュテルは頷く。………俺って、そんな分かりやすい性格してるか?

 

 

 

「残念でしたね。私にそれを言うのはもう少し早く、私がリオの性格を掴む前にするべきでした。私はあなたを怖いとは思いませんし、個人的にはあなたを友達だと思ってますから。ですから、いくら脅されても、私はリオを化物扱いする気はありませんよ。………それでも迷惑だから出ていけ、と言われてしまえばそれまでですが。それに、化物であることを強調したいのなら、もっとそれらしくしてください。口調が軽すぎて、化物に見えません」

 

 

 

あ〜、確かに口調を変えてなかったな。なんて事を思いながら、俺は呆れたような目でシュテルを見る。………リミッターを外しているにも関わらず、確かにシュテルの目には恐怖が無い。本当に俺を、化物だと少しも思っていないのだろう。

 

 

 

「………はぁ、本当に変な奴。俺が化物だと知って、それでも友達、とか言えるって、シュテルさ、お前、本当に人間?」

 

 

 

「失礼ですね。元魔導プログラムとはいえ、今は人間です。一応、『理のマテリアル』でしたから、感情的になるのは苦手ですが。………それで、私はここに居ると迷惑ですか?」

 

 

 

「まさか。『友達』が迷惑だと思うわけ無いだろ?それに、たまに仕事を手伝ってくれるしな。助かる事はあっても、迷惑な事はないよ」

 

 

 

少しだけ不安そうな表情で聞いてきたシュテルにそう答えると、シュテルの表情が嬉しそうなものへと変わる。………まぁ、不満が無いならそれで良いんだけどさ。

 

 

 

「んじゃ、質問も終わりみたいだし、俺は眠いから寝てくる。………うぇ、後二、三時間しか寝る時間無いの?はぁ………」

 

 

 

そんな事を言いながら、俺はふらふらと自分の部屋へと歩いて行った。

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