魔法少女リリカルなのは 〜悪魔になった転生者〜 作:リーグルー
「ん………あ?何処だ?此処」
目を覚ますと視界いっぱいに緑が入り込んでくる。どうやらここは何処かの森の中らしい。………森の中で寝た記憶どころか森まで行った記憶さえ無いんだが。
「………まぁ、良いか。さて、とりあえず、出口を探して此処から出る、か」
俺はそう呟いて立ち上がった。その瞬間、違和感に気付く。明らかに高すぎる木々、何時もより高い自分の声、視界に入ってきた小さい手足。つまりは、
「………子供になってる?」
そんな仮説を呟いてから首を振って否定する。どこぞの名探偵じゃあるまいし、薬を飲まされた記憶なんて無いし、何よりそんな事態が起こるような事態に遭遇したことさえ無い。きっと勘違いだろう。そこまで考えて、
「………あ……」
――――お主には転生してもらう。
夢の中の爺さんの言葉が頭を過った。………あれ、もしかしてひょっとすると、夢じゃ無かった?
「………ま、まぁとりあえずそういう事にしておこっと。別にデメリットは無いし。………問題は、此処が何処かが分からない、って事だけど」
そう、それが目下一番の問題だ。今のままじゃ完全に迷子。その上、見た感じ五歳程度のこの体は、そこまで遠くには歩けないだろう。というかあの爺さん、最低でも地図くらいは置いとけ。歳には神様とやらも勝てないのか?
「………何これ、紙?」
ふと何となくでズボンのポケットに入れた手に何かが当たる。取り出してみると、それは幾つかに折り畳まれた紙だった。開いてみると、表面には現在の位置から目的地までが書かれた地図のようなもの、裏面には文章が書かれている。
「随分しっかりした地図だな、これ。………すまん爺さん。歳には勝てない、とか思って」
そう言って裏面の文章を読み始める。内容は、
・転生した世界について。
・転生特典について。
・今の体の年齢と、最初に与えられる通帳の金額について。
の三つだった。
「「魔法少女リリカルなのは」?………あぁ、名前は聞いたことあるな、それ。それ以外は知らんけど。………特典は特典でおかしいレベルの戦闘特化。何かと戦うのか?この世界」
俺はそう呟いた後、とりあえず地図に従って森を歩き出した。………特典に何か文句は無いのかって?有るわけがない。今の所、特典を使う予定はないし、使わなきゃ目立ったデメリットも無いしな。
「この地図の目的地って一体何処なんだ?………あれか、あの爺さんが用意した家、とかそんな感じか?」
そんなことを言いながら、俺は地図の通りに目的地へと向かって行った。
◆
「………まさか本当に家だとは……」
そう呟いて目の前の目的地を見つめる。何処から見ても普通の一軒家だ。それを確認した俺は、とりあえず家の中に入ってみる。………あの爺さんが目的地として書いていた以上、此処に俺が入ることには問題ない筈だ。………多分。
「………誰も居ない、か。しっかし、これが他人の家だったら、かなり不味くね?」
そう言いながら廊下を歩いて扉を開ける。そこはリビングになっていた。一通りは揃っている家具に、テーブルの上に置かれた手紙と、なぜか有る黒いブレスレット。
「何だこれ?………ま、いいや。とりあえず手紙から読むか」
そこに書いてあったのは、先程の文章の補足の様なものだ。内容としては、この家の事と、テーブルに置いてある、ブレスレットの事。
「………この家、俺の家で良かったんだな。つか、これくらいは最初の紙に書いとけっての。………んで、これがデバイス、魔法を使えるようになる器具、ねぇ」
そう言ってからくるくると指を宙に踊らせる。そのまま、精霊――――この世界の魔力素を動かして、頭の中にある知識に従い、一つの魔方陣を書き上げる。
「求めるは光輝>>>・闇砕(からさぎ)」
そう唱えるのと同時に、魔方陣の中央から強い光が放たれる。
「………と、まぁこんな感じに無くても魔法使えるからな。棚の上で埃を被るのは確定か」
『ち、ちょっと待った!!ストップ、ストップ!』
俺がぼそりと呟いた言葉に、何処からかかなり焦ったような言葉が聞こえてくる。
「………お前、音声機能なんか有ったの?……確かに、高度なAIが搭載されてるとか言ってたな。要は便利なパソコンか」
『それだけじゃ無いから!私は………』
デバイスは自分に出来ることの説明を全力で始める。どうやら棚の上で埃を被るのは嫌らしい。………というか、当然嫌だろう。
「ふむ、成る程ね。それならなかなか便利だな。………うん、分かった。んじゃ、そのマスター登録、ってのはどうすんの?」
『ん〜、とりあえず、私の名前、付けてくれないかな?それで認証出来るから。』
デバイスはそう言ってくる。それにしても、名前、ねぇ。
「んじゃ、エリスで」
『はいはーい。あ、後、あなたの名前は?正直マスターって呼ぶのめんどくさいんだよね〜』
………それで良いのか?デバイスなのに。
「まぁ、良いか。雨音里緒だ。」
『オッケー。マスター認証、雨音里緒。デバイス名称、「エリス」登録。………宜しく!リオ。』
「あぁ、宜しく。………さてと、なんか買いに行かなきゃなぁ。………あ、道わかんねぇや」
『それなら私が案内できるよ?』
「お、早速か。役に立つな、音声地図。」
『違う!っていうかその呼び方止めて!』
そんなことを言いながら俺はエリスを手首に付け、道を覚えることも兼ねた買い出しに出掛けた。
プロローグ2投稿。
多分次から時間が飛びます。四年くらい。