魔法少女リリカルなのは 〜悪魔になった転生者〜 作:リーグルー
「はぁ………めんどくせぇ」
窓から射し込む朝日。何処からか聞こえてくる小鳥の声。その中で俺は気怠そうに溜め息をついた。………今日起きてから、通算五回目だ。
「大体俺、前世では大学まで行ってたんだぞ?成績もそこそこだったんだぞ?なのに何で、今更中学校なんかに行かなきゃなんねーんだ?」
そう呟いた俺は今、制服を着ている。私立聖祥大付属中学校とかいう中学校の制服だ。近年共学になったらしい。………どうでもいいことだが。
「………あの爺さんめ、面倒な事を…………」
それもこれも、全てあの神(笑)の爺さんのせいだ。少し前に夢に現れ、「お主は中学校に行かせる事に決めた」等と面倒な事を言ってそのまま消えた。………小学校には行かずに済んだのに。
『まあまあ、落ち着いて。もう決まっちゃったんだし、そこは割り切らないと』
「はいはい、分かってるよ。んなこと」
俺は宥めるように声を掛けてくるエリスにそう答えると、エリスを制服のポケットの中に入れる。そもそも、割り切って無かったら制服なんて着ていない。
「はぁ………仕方ねぇ、行く…………か?」
そう言いながら扉を開けた俺は、言葉を言い切る前に固まった。家の前に、茶髪の見覚えの無い少女が倒れていたからだ。
「………あんた、大丈夫か?」
とりあえずそう呼び掛けてみるが、反応はない。この少女には意識が無いらしい。
「どっか怪我してるって訳でも、病気って訳でも無さそうだな。空腹で倒れたってのは見た感じ無さそうだしな。………めんどくせぇ、視るか」
俺は目の前の少女の容態を確認してから、観念したように「眼」を使う。他から見れば、俺の目には七色の涙型と、鋭く欠けた月の紋様が浮かび上がっている筈だ。
「ふ〜ん、成る程。魔力不足ね」
俺は彼女を見てそう呟く。この「眼」には、全てのものの構成が「式」として見える。魔法も、壁も、地面も、人間でさえ。そしてその「眼」から読み取った少女の「式」は、ある一つの事を明確に伝えていた。
「魔導プログラム、か」
俺はそう呟いた後、はぁ、と溜め息を吐き、少女をひょい、と小脇に抱える。このまま此処に倒れていれば、間違いなく誰かに見つかってしまう。それで問題になるのは面倒だし、目の前で倒れている少女を無視出来るほど薄情ではない。
「ま、どうせまだ時間はあるしな。応急処置くらいはしとくか」
そう言ってベッドに寝かせた少女の周りに結界を張る。内側から外へは魔力を逃がさず、外からは内側へ魔力を取り込み、中にいる対象に魔力を供給する、という効果を持った結界だ。ちなみに、結界自体も周りの魔力を使っているため、使用者が解かない限りはずっと張り続けられる。
「………エリス。そいつが起きたらその結界の説明と、今の状況の説明をしてやってくれ。」
『りょ〜かい。任せて。』
エリスをベッドの脇に置いた俺はそう答えるエリスの声を聞いてから、面倒な学校に行くために家を出た。
◆
「………眠っ…………つか、めんどくせぇ」
俺はそんなことを呟きながら、教室の机の自分の席に座っている。これから自己紹介をしろ、との事だ。席は最初、適当に座った順で良いらしく、俺は丁度真ん中くらいの順番になっている。………っていうかもう無理だな。寝る。
「……………んぁ?」
誰かに肩を揺さぶられているような感覚と、誰かの声で目を覚ます。声のした方を向くと、茶髪の少女がこちらを覗き込んでいた。
「自己紹介、次だよ?」
「………あぁ、分かった」
俺はその少女にそう言うと気怠そうに立ち上がり、
「雨音里緒。趣味、特技、共に昼寝。………以上」
それだけ言ってから崩れ落ちるように席に座って机に突っ伏し、再び意識を手放した。
「………んぁ、よく寝たな」
「あ、やっと起きたんだ。えっと、雨音くん?」
数十分後。目を覚ました俺に声が掛けられる。さっき起こしてくれた茶髪少女の声だ。
「あぁ、あんたか。さっきは起こしてくれてサンキュー。………えっと、茶髪少女?」
「見た目をそのまま呼び名にしないでくれないかな!?高町なのはだよ!高町なのは!」
茶髪少女――――高町なのはは必死に自分の名前をアピールしてくる。当たり前だ。そんな呼ばれ方、誰もされたくないだろうし。
「………はいはい、んじゃ、よろしく。高町」
「名前で呼んでくれても良いんだけど………うん、よろしくね。雨音くん」
俺の言葉に、高町は少し不満そうにしながらもそう返した。………何か、何処かで見たような気がするな、こんな顔。
◆
「はぁ………眠い」
時は過ぎていき数時間後。そんなことを言いながら俺はふらふらと道を歩いていく。眠い、怠い、疲れた。さっさと帰って寝たい。………何か、忘れてるような気がする。
「………ま、気のせいだろ」
そんなことを呟いてるうちに、自分の家に到着する。気怠そうに緩慢な動きで扉を開け、荷物を適当な所に放り出して自分の部屋の中に入り、
「………ん?」
そこで、忘れていた何か、が何であるのかが、頭に浮かんできた。他でもない、忘れていた対象でもある、ベッドの上に座り、こちらを見ていた少女によって。
「初めまして。そのデバイスから話は聞いています。朝はありがとうございました。私はシュテルと言います。」
少女――――シュテルはそう言うと、結界に包まれたベッドの上からこちらに頭を下げた。
第二話投稿。
………かなりグダグダになりました。途中から。