魔法少女リリカルなのは 〜悪魔になった転生者〜 作:リーグルー
この話、どう終わらせるかを考えてなかったのでかなり遅れました。………口調が違う、とか言うのは見逃してください。ちょっと曖昧なので。
「というわけで、行こう。雨音くん」
「………何で?ってか何処に?」
変な奴等に絡まれた翌日の、放課後。その日一日を平和な昼寝ライフで過ごした俺は、俺が起きたのを確認するや否や訳の分からない事を口走った高町に俺はそう返した。………その言葉だけで理解できる訳が無いだろ。
「何処って………『翠屋』って喫茶店なんだけど、知らない?」
「知らない。喫茶店なんて行ったことも無いからな。んで?何が「というわけで」なんだ?理由なんか無いだろ?」
そう返した俺に、高町は不思議そうな顔をしながら首を横に振る。どうやら、何かしらの理由はあったらしい。
「昨日のお礼をしようかな、って思ったんだけど………」
「昨日、要らないって言ったぞ?俺はそんなの気にしないしな。要らないよ。別に」
「私が気にするの!」
俺の言葉に、高町は怒ったようにそう反論する。………何でそんなことを気にするんだか。
「んじゃ、めんどくさいからパス」
「そんな言葉を聞く気は無いの。雨音くんに拒否権は無いから」
「あ〜、ハイハイ。行けば良いんだろ?分かったからその辞書しまえ!」
俺の言葉に簡単に答えた高町は、何処からともなくそれなりに厚い辞書を取り出す。慌てて俺が答えると、にっこりと笑って頷き、そのまま振り向いて歩き始めた。このままその『翠屋』とやらに向かうのだろう。
「はぁ………めんどくせぇ。つか暴力的すぎんだろ、あいつ」
俺はそんなことをぶつぶつと呟きながら、大人しく高町に付いていく。………というか、拒否権が無いならどうしていつもいつも確認をとるんだ?必要無いだろ。
◆
数十分後。俺は高町にほとんど強制的に連れてこられて『翠屋』とかいう喫茶店に来ていた。高町が店に入ると、店の奥から一人の男性が顔を出す。
「いらっしゃいませ、ってなのはか。………君は?」
「雨音里緒。そこの高町とはクラスメイトです」
そう答えると、店員はふむ、と頷く。………つーか、俺の言った「そこの高町とは」のところ、一瞬だけ殺気が出てたぞ?
「そうか。僕は高町士郎。なのはの父親だよ。まぁ、ゆっくりしていってくれ」
店員――――高町士郎はそう言うと店の奥へと姿を消した。俺は高町に後を付いてふらふらと歩いていき、適当な席につく。そのまま崩れ落ちるように突っ伏して………
――――ガンッ!!
「………危ねぇな、高町。下手したら怪我すんぞ?お前には常識がないのか?」
「雨音くんにだけは、言われたく、無いの!」
再び何処からともなく辞書を取り出し、俺の頭の上に降り下ろしてきた高町に文句を言うと、高町がそう返してきた。………少なくとも、すぐに手を出してくる奴よりは常識はあると思うんだが?
「あはは………本当に寝るのが好きなんだね?雨音くん」
突然、高町とは逆の方向から声が聞こえる。面倒そうにそちらを向くと、俺の座っている席の向かいに長い金髪の少女が座っていた。………そういや、昨日居たな。何か一言も喋ってなかったけど。確か、名前は………
「アルエイシャン・トライト・クオ、だったっけ?」
「違うよ!?掠りもしないどころか、文字数も合ってないよ!?フェイト!フェイト・テスタロッサ・ハラオウンだよ!」
金髪少女は焦ったように訂正を求めてくる。………いや、でも最初の自己紹介の時にそんな感じの名前名乗ってたじゃん。
「………嘘だぁ」
「どうして嘘をつく必要があるの!?無いよね!?」
「………それもそうか。んじゃ、ハラオウンね。覚えた。」
俺がそう言うと、金髪少女――――ハラオウンは安心したような顔をする。………苦労が多いんだなぁ。
「お待たせしました。」
そんなことを思っていると、先程の店員、高町士郎がそう言ってテーブルの上に品物を置いていく。………シュークリーム?頼んだ覚えが無いんだけど?
「私が頼んでおいたの。」
俺の心を読んだかのように高町がそう言ってくる。
「ふ〜ん。………あ、確かにこれ、美味いな。………家の居候にも買ってってやるか。」
俺はシュークリームを食べながらそんなことを一人でぶつぶつと呟く。最後の方は誰にも聞こえないように声を小さくしているが。………何か面倒事が近づいて来てる気が………
「んじゃ、そろそろ………」
「おい!お前、俺のなのは達から離れろ!」
………うぇ、一番面倒な奴が来やがった。何で来ちゃうかな、銀髪くんは。
「ハイハイ、言われなくても………」
「来い!てめぇみたいなモブには一度、俺が最強で、なのは達が俺に惚れていることを、その体に叩き込んでやる!」
銀髪くんはそう言うと、俺の制服を掴んでずるずると引き摺っていく。………昨日と言い今と言い、何で俺の周りには話を聞こうともしない馬鹿ばっかりしか居ないんだ?
そんなことを思いながら、俺は大人しく引き摺られて行った。
◆
「此処で良いだろう。」
翠屋から少し離れた公園。銀髪くんはそこで止まると、掴んでいた俺の制服を離したの。俺は付いた砂やら泥やらを手で落としながら気怠そうに立ち上がる。
「んで?俺の体に叩き込む、とか言ってたけど何やんの?っと」
俺が言葉を言い終わらないうちに、銀髪くんは殴りかかってくる。俺はそれを首をずらして避けると、
「てめぇ、避けるな!」
と、銀髪くんはかなり理不尽な事を言ってくる。
「嫌だ。当たったら痛いしな。俺、痛くて喜ぶ様な変態じゃねぇし。ってか、当てろよ、素人」
何度も何度も殴りかかってくる銀髪の拳を最小限の動きで避けながら俺はそう言って距離をとる。………てかこいつの動き、少し早いだけで昨日の奴等と大差無いじゃん。
「………もう良い。お前は殺す!」
突然、銀髪くんが物騒な発言をする。そのまま銀髪くんの後ろの空間に金色の波紋が現れ、そこから大量の武器が顔を覗かせて………って!
「お前馬鹿か!んなもん此処で出したら他の奴の迷惑だろうが!」
「知るか!俺はお前を殺す、と決定した。俺の決定は絶対だ!」
銀髪くんはそう言って武器達を射出する。それも、俺だけを狙うのではなく、ばらまく様にして。
「くそっ!!」
俺はこちらに飛んできた剣の一本を取ると、そのまま全力で走り、剣を振るい、射出された剣数十本を一瞬のうちに叩き落とす。
「な、なんがっ!?」
そのまま銀髪くんの前まで行き、足を掛けて仰向けに転ばせ、その上に馬乗りになり、首に剣を突き付ける。
「ば、化物め………」
「うっせぇな、んなこと知ってるっての。………つか、お前やりすぎだ。少し寝て反省してろ」
少しだけ恐怖した顔で言った銀髪くんにそう答えると、俺は銀髪くんの首に剣の柄をぶつける。ゴッ、という音が鳴り、銀髪くんは気絶した。
「………ったく、疲れた。んじゃ、帰るか」
俺はそう言うと持っていた剣を適当なところに放り投げ、翠屋の方へと向かっていく。その後、翠屋でシュークリームを買った後、家に帰っていった。
◆
「………凄い。」
私はさっき起こった光景に、ついそう呟いてしまう。きっかけは、雨音くんの言う銀髪くん――――神崎神くんが雨音くんを連れていった事だった。私とフェイトちゃんも、雨音くんなら大丈夫と思っていたけど、一応着いていったのだ。
「はぁ………何で神崎くん、あんなことやっちゃったんだろ。」
結果は私達が予想してた通り。雨音くんは簡単に神崎くんの攻撃を避け続けて、距離をとった。問題はここから。起こった神崎くんは、あろうことか自分のレアスキルの一つ、『王の財宝』を使いだしたのだ。
神崎くんのレアスキル、『王の財宝』は倉庫の様なものらしい。その中に入っている武器は大量の魔力が込められているロストロギアの様なもので、それを何本も射出してくるだけでも、相当な脅威になるのだ。
私達も止めようとしたけど、私達が動く前に神崎くんは武器を射出してしまっていた。こうなってしまったら私達には止められない。そう思ってこっちに向かってこようとした剣を避けようとしたとき、雨音くんの姿が一瞬で消えたのだ。一瞬で飛んでいた剣は叩き落とされて、雨音くんはいつの間にか神崎くんに馬乗りになって、剣を突き付けていた。
「………どうして雨音くん、あんな顔であんなこと言ったんだろ?」
私が思い出すのは、神崎くんに「化物」と言われた時の雨音くんの顔と言葉。雨音くんは、その言葉を諦めきったような、少しだけ悲しそうな目で受け止めて、
「うっせぇな、んなこと知ってるっての」
と、そう言ったのだ。………知ってるってどういう事なんだろう?どうして、あんな顔をするんだろう?私の頭にはそんな疑問がぐるぐると渦巻いて、消えていく。それでも答えは出ない。なら、
「………うん、もっと仲良くなって、あの目の理由を聞こう」
私はそうこれからの目標を口に出して確認し、雨音くんのいなくなった方を向いた。
………神崎くんの後始末、やっぱり私たちでやらなきゃいけないのかなぁ。