三人称サイド〜
竜八「さぁ、第2ラウンドを始めようか。」
その両目は星型に光っている。
死柄木「はっ、今度こそ殺してやるよ。やれ、脳無。」
死柄木が脳無に命令する。脳無が竜八に向かい地面を駆け出す。速い。
脳無「グォァァァ!」
脳無の拳が竜八の顔面目掛けて迫る。
直後、不思議な事が起こった。
脳無の拳が当たる直前、竜八は八重桜を雨の状態で構える。
そして『太陽の動きを完全に模倣して』脳無の両手両足を斬り飛ばした。
死柄木「……はぁ?」
竜八「よしよし、久しぶりに使ったけど問題ないかな。」
死柄木「何だよ今の動きは…。だが脳無には超再生があるから効かない!」
脳無は両手両足を超再生で治し、再び竜八に殴り掛かる。
竜八は八重桜をしまう。
死柄木「ははは!ついに死を受け入れるかぁ?」
死柄木は勝ちを確信した。
…この後起こる事を知らずに。
何かが脳無の拳と当たり、風が荒れる。
死柄木「……何でだよ。」
死柄木が見たもの。それは、
『脳無の拳に竜八の拳がぶつかり相殺された瞬間』だ。
死柄木「何でっ!何で何で何で!どうして脳無の拳とぶつかって無事なんだよ!」
竜八「おやおや、随分と焦ってるじゃん。はぁっ!」
竜八は脳無の腕を掴み、両手で投げ飛ばす。
竜八「じゃあそろそろ教えてあげるよ。僕の本当の力を。」
〜
麗日「あれ?あの動きって…」チラッ
太陽「そうだ。俺がさっき脳無の両手足を斬り飛ばした時の動きだ。」
障子「あんなに綺麗に真似が出来るのか。」
太陽「まぁまぁ、驚くのはここからだよ。」
口田「…!」
砂藤「嘘だろ…」
皆の目に映ったのは竜八が脳無の拳を全く同じ動きで相殺しているところだった。
瀬呂「なんであの怪力も真似出来るんだよ…」
麗日「あの、夜桜さん?」
太陽「太陽だよ。名乗りが遅れたね。」
麗日「太陽さん。竜八君はなんであんなに動きを真似出来るんですか?」
太陽「うん、じゃあアイツの力を教えてあげよう。竜八もそろそろ話す頃だと思うからね。」
〜
竜八「じゃあそろそろ教えてあげるよ。僕の本当の力を。」
死柄木「…」
竜八「僕の力は『模倣』。相手がやった行動を動き、角度、力加減、全てを完璧に模倣、つまりコピー出来る訳。」
死柄木「はぁ!?じゃあ脳無の力も超再生も…」
竜八「いや、個性を真似出来る訳ではないがな。力だけなら許容上限があるけどそれまでなら十分にコピー出来る。」
死柄木「嘘だろ…、こんなのチートじゃねぇか!」
竜八「お宅の脳無の方も十分にチートなんですけどね。」
〜
皆「「「も、模倣?」」」
太陽「そう、アイツは相手がした動作を全てにおいて完璧に真似出来る。まぁ個性とか特殊なものは無理だけどな。」
障子「そうか、だからあの敵の力も真似が出来たのか。」
太陽「そう、それがアイツの力。」
麗日「太陽さん、そういえば太陽さんもあの敵の攻撃を難なく受け止めてましたよね?あれは太陽さんの個性なんですか?」
太陽「いや?俺は無個性だよ?」
皆「「「えっ?」」」
太陽「まぁ夜桜家全員無個性なんだよ。」
皆「「「えっ!?」」」
瀬呂「じゃあ、敵の攻撃受け止めたのはどんなカラクリなんすか?」
太陽「あれは俺の力だよ、『硬化』って言ってね。」
砂藤「硬化…、つまり守りに特化した力か…」
太陽「そういうこと。」
麗日「ん?てことは、夜桜君の家族全員そんな特殊能力を持ってるって事、ですか?」
太陽「半分正解、一部もってない人もいるんだ。にしてもそこまでたどり着くなんてすごいね。」
麗日「あ、ありがとうございます。」
太陽「アイツは俺達兄弟に比べたら確かにまだまだ未熟だし弱いところもある。でも、俺はアイツの力も合わせて兄弟の中でも1番危険だし強いと思ってる。
さて、そろそろ決着がついてもいいんだが…」
〜
死柄木「クソが、脳無!あのチート野郎を殺せぇ!」
脳無「ゴォアァァァァ!」
脳無が突っ込んでくる。おそらく拳が飛んでくることだろう。
竜八「さぁ、実験を始めようか。」
竜八は模倣を発動させて脳無の動きをコピーして拳を全て相殺していく。
その動きはまさに神技。
竜八と脳無が織り成す死の取引はひとつの芸術になっている。
死柄木「ほ、ホントに動きを真似してやがる…」
竜八「う〜ん、このまま動き真似しててもな〜…。よし、終わらせるか。」
死柄木「えっ」
竜八「おらギア上げてくぞぉぉ!」
ズドドドド!
竜八は次第に力と速さを上げていく。始めは脳無はなんとか追いつこうと合わせていたが、段々追いつけなくなり、ついに受けに回り、防戦一方となっていた。
竜八「はぁっ!」ズドン!
竜八は脳無の腹にアッパーを叩き込み、空中に上げる。
八重桜を雨の状態で取り出す。
そして逆手で持ち、構える。目を閉じる。
脳無が地面の重力に逆らえずに激突しようとする。地面との距離はおよそ1mほど。
目を開け、技を叫ぶ。
竜八「夜桜流古刀術、奥義『天照』!」
脳無に向かって駆け出し、交差する直前に一閃。
動きが止まる。
脳無は何事も無かったかのように立ち上がり、後ろを向いたままの竜八に拳を振り上げる。
死柄木「くくく、見掛け倒しか。やれ脳無。」
脳無「ごぁぁぁ…?」
脳無が竜八に向かって殴ろうとした瞬間、脳無の身体に異変が起きる。
まず脳無の身体が腰から横半分真っ二つに斬れる。
死柄木「…は?」
つぎに脳無の両手両足が飛ぶ。
最後に脳無の首がずるりとズレていき、地面にドチャリと落ちる。
そして脳無の身体全体が地面に倒れる。
竜八の後ろ姿はまるで、全てを明るく、優しく包み込む太陽のようにまぶしかった。
え?物間君と被ってるんじゃないかって?
黙れ小僧。