何故か4日かかったけどね。
カプセルで亡くなったと思われた黒宵は意識を取り戻した。
真「...ッ。ゲホッゲホッ...。あれ..ここは?」
咳き込んだ後周りを見回す。
後ろにあったカプセルは光を失っていて扉も開いており、液体も倉庫の床に飛び散っている。
再使用は難しいだろう。
立ち上がってみると視点が低い事に気づく。
自分の姿を姿見で確認しようとするが、外が夕方になっているせいで暗くてよく見えない。
黒宵は非常用電源のスイッチを入れた。
姿見には、一人の少女が写っている。
尾骶骨にまで伸びている長い焦茶の髪が、倉庫の照明を受けて艶を出している。傷や荒れが一つもない白めの柔肌に、訓練で付けた筋肉は何処に行ったと言わんばかりの華奢な体つきで、首を傾げたその様相は黒宵の理想を体現していた。
黄色に輝く瞳は全てを照らし出すような明るさで、桜色の唇は瑞々しく化粧をしていないのか疑わしく感じる。
セーラー服は吹雪型のものとデザインが同じで違う点はさっき上げた通り、色が黒を基調にしていて黄色いアクセントが入っているぐらいだ。
黄色いスカートから伸びている長くて扇情的な脚は黒のニーソックスを着用しており、スカートとニーソックスの間にみえる聖域が表現し難い魅力を放っている。
靴は黒のミリタリーブーツ。
真「えっ...。ナニコレ?」
正直混乱しかけた。
まさか自分の先程聞いた事が現実だったとは思いもしないだろう。
異世界転生並みに謎の原理である。
状況整理だ。
1、新築の基地に着任
2、兵器の無さに愕然
3、敵襲来
4、ガトリングと猟銃で抵抗
5、効かないし、反撃で左腕吹っ飛ぶ
6、大本営に連絡を取ろうと倉庫に走る
7、カプセル発見、吸い込まれる
8、司令艦とかいう造語を聞いた後に気絶
9、起きて姿見を確認したら少女になってる
↑イマココ
なんか吹雪型の色違い制服着ているかと思ったらまさかの艦娘(?)転生ですか。
しかもこの個体は見たこと無いから新個体という事になりますな。
しかし改めて見て思ったんだけど、やっぱり背が縮んでいるよな。
声も可愛いなぁ、オイ。
素敵なバリトンボイスは旅に出ましたってか?
はぁ、冗談は辞めてくれ...。
でもって今の基地はどんな状態だ?
机に置いた猟銃を拾って..?
あれ、ない。
さっきしっかり置いたのに無いだと!?
目線を横にずらすとお伽話で鬼が持つような金棒の長いverが鎮座している。
持ち手に妖精さん印がある。
これは...確信犯ですね。
この金棒長さ的にこの体より長いはず、まず持ち上がるのか?
これが鉄製だったら絶対に持ち上がらないぞ。ほぼ鉄骨みたいなものだからな。
とはいえ妖精さん印。
これで戦えって事だろうし行けるのか?
よし!やってやろうじゃん!
しっかり両手で握って持ち上げる。
おっとぉ?
思ったより軽いな。
耐久性テストも兼ねて地面に叩きつけてみる。
黒宵「えいっ」
ドッガァァァァン!!!
うっわ、破壊力凄いなぁ。
金棒が地面にめり込んでるよ。
全力でも無いのにここまで簡単にめり込むとか凄いなぁ。
真「うりうり」
メキメキッ..バリッ..ゴリッ...
金棒をそのまま地面にグリグリしてみると削れる音と共にどんどん沈む。
さては今の俺って超怪力だなぁ?
素手で地面を殴る
真「おらぁ...? ...ッ!?!?!?」
痛い。
地面に拳が沈むことはなく、ただ拳が痛い。
自分の手は赤く腫れていて一部擦りむいたのか赤い液体がにじみ出ている。
手から脳に発せられる電流は声にならない叫びを上げさせる。
目から涙が滴り落ちて、電流が収まるまでひたすらじっとしていた。
破壊力については金棒に特殊効果でもあるのだろう。
俺は自分の軽率な行動を悔いた。
少し時間が経つと左手は元通りの綺麗な手に戻っていた。
自然回復力が伸びているのだろう。
「よしっ!」
ひとまず気を入れなおして金棒を片手で持つ。
やはり問題なく持ち上がる。
とても軽くて頑丈で破壊力があるというこの金棒は物理法則を無視しているのだろう。しかし妖精さん印だから気にしていられない。
しかもこの金棒、伸縮自在で銃としても使えるのだ。
何故知っているのかって?
持った時に使い方が頭に流れ込んだのだよ。
非常に漫画チックな現象だがこれも妖精さん印だから仕方ないのだ。
気にするとSAN値減少ね。
倉庫から出るととても煙かった。
基地のいたるところから火が上がっている。
陽が落ちているのに火は上がっている。ハハハ、笑えねぇ。
金棒はそのままだと邪魔なので縮小してバールの長さにしている。
この長さでも破壊力は変わらないらしい。
艦娘なら煙を吸っても問題ないよな。
ということで、煙の中を突っ切って基地から出る。
そこには道路があるのだが、何かを引きずったような跡が五本あり、街に向かっている。上陸許してるなぁ。
幸い深海棲艦は陸での進行速度はめちゃくちゃ遅い。1時間で500m進むぐらいには鈍足である。
時間がどれだけ経ったかよくわからないが、ここから街まで2kmだ。
流石に四時間は経っていないはずなのでまだ間に合うはずだ。
お目当ての深海棲艦は1.5km言ったところで見つかった。
ちなみに深海棲艦は地上に上がると不思議なことに空母以外遠距離攻撃ができなくなる。
イ級の場合、注意すべき攻撃は噛みつきオンリーで飛びかかることもない。
油断していなければ十分対処できるはずだ。
肉部分に硫酸や火炎放射器を使うことで人間でも対処は可能だ。
近づいた時点で精神汚染が始まるから立ち向かったが最後、倒した後よくて植物人間状態だ。
だから深海棲艦は上陸してこんなマヌケな状態になっても人々の恐怖たり得る存在なのだ。
俺も先程は恐怖を感じていたがこの体になってからそういうことは感じなくなった。
だから一部のことに納得がいった。
彼女達が兵器と言われる所以を。
生物は生存本能が存在する。死を恐れるのだが、艦娘にはその死への恐怖がないのだ。
彼女達が恐れるのは国の役に立てないことや、それで国が滅びることだ。
俺もこの艦娘(?)の体になってから、死への恐怖が和らいでいた。
国を守りたい想いは正直言って無いが、職務を遂行しないと給料が貰えないし昇進できない。
これはチャンスでもあるのだ。
司令官が力に目覚めて、艦娘の手を借りずに深海棲艦を撃滅できればそれは初の快挙となる。
え?艦娘になっているんだから艦娘の手を借りているのと同意味じゃんって?
細かいことはどうだっていいんだ。
重要なのは司令官が単独で深海棲艦を撃滅する事なのだ。
まぁ、とにかく深海ハントだ!
金棒を伸ばしてから走ってイ級A(中破)に近づいて思いっきり叩き潰す!
と、潰すつもりだったのだが勢いが強すぎて一刀両断してしまった。
青黒い液体が金棒に付着する。
やっぱ凄いなコレ。
そのまま近くのイ級Bに横薙ぎで振り抜く。
イ級Bの上と下が泣き別れする。
一旦交代してCDEの様子を見る。
こちらに方向転換するのにも一苦労なようで必死にヨチヨチと頭をこちらに向けようともがいている。
様子見する必要は無いな。
急接近して三体をモグラ叩きの要領で叩き潰す。
一体の目玉が飛び出して、血液が服に思い切り掛かった。
きったねぇw
[lv up!]
脳内に軽快なseが流れた。
どうやらレベルが上がったみたいだ。
練度じゃ無いのかって?
SAN値は減らしたく無いじゃろ?
そういうことだよ。
『ステータス』
──────
黒宵 真 司令艦 lv2
HP50(health Point)
EP30(Energie Point)
攻撃力509(+500)
防御力36
アーツ
・水上歩行
・棒術lv1:棒装備時攻撃力+5
特殊能力
shop:お金を使って買い物ができる。
『shop閲覧』と念じれば使用可。
売却で換金も出来る。
アイテムBOX:謎の異次元にモノを貯蔵できる。時間が止まっていて、生物も入れることができる。
装備
・司令官専用令撃棒:攻撃力500
・改造吹雪型制服セット:防御力30
─────
やっぱりこの金棒強いじゃん。
とにかく疲れたからこのイ級だった物を仕舞って街で休もう。
服に付いたやつは匂いとか付いてないからペンキだって誤魔化せば大丈夫っていうか黒だからあんまり目立たないな。
あ、いや、黄色いスカート部分にも掛かってるな。
ま、いいや。
『shop閲覧』
─────
購入
売却
─────
とりま売却
─────
イ級×5 100000円
─────
うわ、高い。
いや、普通に考えると安いな。
4人の犠牲で一体倒せるから、一人当たりの命の価値が五千円ってわけだ。
命の価値が随分と安い時代になりましたなぁ。
さて、一旦homeに戻って購入に移ろう。
─────
制服予備:2000円
財布:1000円
パーカー:4000円
すき焼きの缶詰:200円
割り箸:10円
歯ブラシ:400円
歯磨き粉:500円
換金
今後のアップデートをお楽しみに
─────
なんだこの微妙な品は...。
パーカーを一着購入して着る。
淡い水色のパーカーはスカートを隠すぐらいの長さで微妙なエロスを感じる。
そこから財布を買って3万円を取り出す。
何故かそこに自分の身分証明書が入っていてビビったのは秘密だ。
ご丁寧に今の顔で登録されてたよ。
街にあるビジネスホテルで部屋を借りた。(−5000円)
店員に怪しまれた気がするが何も言われなかったのでセーフ。
まぁ一人だし。
なんか眠いしもう寝よう。
今の時刻は19:05か。
チェックアウトには間に合うだろう。
おやすみぃー。
〜翌日〜
時計が4:07となっているところで起きました。どうも、黒宵です。
まさか9時間も寝るとは思いもしませんでしたよ、ハハッ。
やっぱり深海棲艦と戦った際に気疲れでもしたんですかねぇ。
では目が覚めたところで丁度いいので今日の行動を決めていきましょうか。
本日の予定
まずは朝食ですね。
食べなくてもいいんですけど食べといたほうが戦闘が起きた際にいい動きができると思うんですよ。
という事ですき焼きの缶詰2個と割り箸1膳を購入しますよっと。(−210円)
ではではいただきマックス。
うん、OC。
缶詰自体結構大きかったのですが2個食べ切れましたね。
相当お腹空いてたんですね。
そういやこの身体って太りやすさとかってあるんでしょうかね?
あったとしても戦闘で消費されるから平気兵器(激寒ギャグ)
ゴミはゴミ箱に捨て...。
あっそうだ(唐突)
このゴミをアイテムボックスにしまってからshopで売却してみましょう。
───
・美少女の唾液付き割り箸2000円
・美少女の唾液付きゴミ200円×2
───
うわ...
やっぱり一部のマニアには需要あるんすね。
取り敢えず売却しておきました。
(+2400円)
食事すると逆にお金が貰えるってなんか危険な香りしますよね。
まぁその匂いはすき焼きの匂いなんですけどねw
はい、では次の行動をば。
よく考えたらもう軍属じゃなくてもいいんですよね、正直。
お金が足りなくなったら深海棲艦を狩って、売る。
コレで解決なんですからね。
辞職届でも書いておきますかね。
んじゃあちょっとコンビニ行ってきます。
行ってきました。
適当な紙を買ってきてそこにボールペンで書きまして...コレでヨシ!
『深海棲艦に殺されかけたので辞めます。 お疲れ様でした。 黒宵 真』
敵前逃亡は銃殺であるってよく聞くけどならやってみろって話ですよ。
艦娘って何故か人の武器が効かないんですよね。
深海棲艦には効くのにね。
だから巷でバケモノって言われてるんですかね?
あんなにシコリティ高いのに。
おっと、司令官職としてあり得ない発言をしてしまった。いや、もう司令官じゃなかったな。
辞職届を封筒に包んで切手を貼って、ポストに投函。
文字に起こすととってもつまらないんだけど、2時間経ってるのよね。
いや、俺がどんだけトロくさいのよって言うw
さて、いい時間になったからチェックアウトに行きますかね、まだ時間あるけどやる事ないし。
そう、ちょっとだけ増やしたんだよ。
ちょっとだけ、ね?