Tiny Dungeon エボルトの力であっても俺は救うために使う 作:(^∪^)感動的だな、だが無意味だ
扉を開き、広場を確認する。迷宮に繋がっている扉は丁度10個あり、円場の広場は上の闘技場より少し狭い程度、扉以外の壁には魔力により光る松明がありここでは光量不足で見えない事はないが天井は明かりが届かない程に高く何か巨大な物が落ちてきそうに思える
そして、ゴールへ続く門は光の差があるためか暗く先は見えない
「誰も居ない?」
警戒しながら進み、紅が小さくそうつぶやく
「俺達が先にはゴールしたと勘違いしてくれてれば楽なんだが」
音を極力音を出さずにゴールの門へ向かう中、やはり現れる
「ようやく来たか下郎A、待ちくたびれたぞ?」
暗く先の見えない門から4人が出てくる、ラーロンも含めて二階級において上位の実力を持った魔族達だ。そしてそれぞれの武器を手にしていた
俺達も武器を構える
「紅、秘密裏にこんな状況を打開出来る何かを持ってないか?」
まともな戦闘で彼らに勝てるのなら対して問題ないのだが
「そう言う姫こそ、実は隠していた本当の力をここで開放、とかないか?」
「それには美少女の口づけが必要って言ったら?」
不意にそんな言葉が出てしまう、まあ誰かの命が掛かっているのなら躊躇なく使うつもりだが。
「私のか?お前になら構わないが代わりに一生背負って貰うからな」
「紅程の美人に言われれば嬉しいが、生憎そんな時間は無かった、なっ!」
俺は前に出てラーロンのパーティーメンバーの一人が迫り振るわれた剣を受け止める。静かな広場に金属同士の音が響く
ギチギチと互いに武器が擦れ合う、相手は男の取り巻きだ。パーティーに入れる相手でもクラス内でラーロンに従う魔族である
「はぁっ!」
受け止め止まっている相手に紅が斬りかかるも、今度は二人の女性魔族がそれを止め、俺から離させる様に立ち回る。それを理解した俺は前の男を鍔迫り合いの状態から押し返す、だが余りに簡単に出来たのはラーロンが変わりに俺を相手する為だ
ガキィン!とラーロンの剣を受け止める、そして入れ替わった取り巻きは俺の後ろへ、いや正確には紅の元へ行かせない様に立ち回っている
「なに、安心しろ。そう簡単には終わらせんさ。もっとも貴様が土下座して許しを乞うなら考えなくもないがな」
「そんな事、する訳ないだろう。これは試験だからなぁ!」
鍔迫り合いの状況から後方に距離を下った、直後に筋肉に体重とスピードを含めた剣を振るう
「ふんっ!魔法も使えない人族にしては、貴様は相変わらず筋肉バカの様だな」
その剣を、自分の剣で防いだラーロンが発言した。魔族も魔力を流す事で通常よりもパワーを発揮出来るのだ、神族の強化魔法に比べれば低いが
そして何故筋肉バカと言われる様になったのは、原作では軽く触れた程度だったのが個人トーナメントで、3回戦まで進みその前の2戦目までは魔法を主体にして戦う神族で防御魔法とか身体能力を上げる魔法を純粋に筋肉や技量でどうにか勝てただけなのだが、パワーで解決した為か、竜族と似た感じと連想され、筋肉バカと呼ばれる様になった
プロテインの貴公子でないのに何故だ
「下郎Bが二人を倒すまで粘るつもりか?万が一にも下郎Bが有利になるのならそちらへ行くように伝えてある。貴様らの勝ち目などない」
「それでも諦める理由にはならないな」
やはり、時間を掛けて痛ぶるつもりだろうか。仮に俺がラーロンを倒せば良いのだか、俺も実力あるから慢心して負けてくれる訳ないし
「そうでなくてはな、せめて私を楽しませるのだな!」
今度はラーロンの連続攻撃だ
それなりの重さを持ちながらも、ゲームの弱攻撃と思わせる連撃。ウルル程の重さは無いがスピードはあり、それでもラーロンの体の動きを見て予測し、どうにか捌く。
威力を受け止めるのではなく受け流す、何かしら作品で流れに逆らうのでなく受け入れる。それを元にした感じだ。まあ技量の問題で限度はあるわけで
ギギィッ!と受け流せず自分の剣から聞こえた。
あっ、やべっ無理させて嫌な音が、取り敢えず下がろう
「下郎A、お前は知ってるか?」
てっきり、そのまま攻めてくるかと思いきや何やら話がある様だ。無論すぐに行動出来る様にして維持したままだが
「試験に事故は付き物だ、腕や足の切断と言うのも過去に何度もある。まあ実際の武器を使うから当然だな、そう言う事故も起きる」
どう聞いても、意図的にやると言ってる様にしか自分には思えないけど。チラッ、と紅の方を見る。やはり足止め優先で二体一だが、悪くなればもう一人あちらへ行くから攻めようにも攻められない
紅が打開出来る手段としては、三人目が入らない状態で二人を同時に倒すしかない
それらを考えて、やはり外部的要因がない限りラーロンを倒すしかない。そして剣の様子も再確認する、元は一般の鍛冶屋から買った普通のロングソードの剣だ。最初はフルボトルを使える様に改造しようかと思ったが非常時以外に使う予定ないし
耐久面の強化出来るか?とか改造に掛かる時間など考え行き着いた結果、改造する必要ナシ!な為に買った剣をそのまま使ってる
これでラスボス戦耐えたってマ?技量おかしい、おかしくない?後の世に作った鍛冶屋有名になってそう
さて現実に戻って、結果ラーロンを倒すしかない訳で。殺るか殺られるかを始めるか、俺は剣を握り締める
ちょっとくらいエボルトの力使ってもバレへんか、もしここでラーロンをボコボコにしたらどうなるのかちょっと気になる
「兄様!」
しかしそんな事は起きず、可愛らしい声が響く
後ろの数ある門の一つからその声が聞こえた。それは竜族のパーティー、ウルルは俺の元へ、他のメンバーは紅の援護へ向かった
「大丈夫ですか兄様!?」
「見ての通りな、あり得ない訳ではないが重なるのは幸運だな」
ウルルそう返す、バタフライエフェクトも考えていたが原作と似た様になったか。それらを見たラーロンは先程の上機嫌は何処かへ行き、苦虫を噛んだ様な表情
「所詮人族か、金竜の力を頼らなければ勝てんか」
「この人を守りたい、そう思わせるのも大切な力です!少なくともウルルは、この拳で貴方を守りたいとは思いません!」
「っ!いいだろう、魔法防御力では人族より低い竜族では相性不利な関係で魔族に狩られる存在だと言う事を教えてやろう!」
「確かに、竜族は魔法に対する耐性は低いですけど、竜族の身体能力から繰り出されるの一撃に貴方は耐えられますか?」
魔族は神族に弱く、神族は竜族に、竜族は魔族に弱い。これがジャンケンと同じ原理の相性だ、そしてこれは実力が同じである程に顕著に現れるとよく言われている
「俺も居るのを忘れるなよ、ラーロン」
生憎人族はその中に含まれないが、ウルルと共に戦えば勝てる。まさしく王道的な展開
「そこまでよ」
だがその声が広場に響いた、そしてその場に居る全員が感じた、圧倒的に魔力を破壊や魔法に変化せず垂れ流しでありながらその量に驚愕するだろう
そしてその源へ視線が向かうのは当然だった。ゴール地点の門へ、そこは赤い瞳に漆黒の髪。黒の服に自身の身長を超える大鎌、5年前と余り変わらない、その無表情の時の顔も見た目も
いや身長と胸は大き(ゲフンッゲフンッ)
「ハデラ、もういいわ。下がりなさい」
「し、しかし、セイン様!セイン様がこんな下郎如きに態々この様な事をするなど······」
「聞こえなかったかしら?」
無表情でありながらも、その威圧はしっかりと感じ取れる
「か、かしこまりました······」
そう言って、ラーロンを含むパーティーメンバーが下がって行く。そして俺達の前に立つ
「はっ、ははっ、凄いなこれは······」
体と声を震わせながら紅はどうにか言葉を発する
「ただ純粋な魔力で、こんなに体が震えるなんてな······」
「······兄様、紅さん、あの人はウルルが全力で止めます。その間にパーティーの皆とゴールへ行って下さい。ウルルの今の全力でどれくらい持つかは分かりませんが······」
そう言ってくれるウルルですら、体が震えている。そして彼女パーティーメンバーの同級生達もやはり震えていた
人族と竜族は、魔力を生産する器官が無くとも感じる事が出来る。
5年前の時にはエボルトの状態であった為か、俺の体は震えてない。覚悟があるのかそれとも俺自身の力がある為かは、分からないが
「ウルル、残念だがそれは却下だ。俺しか見てない」
彼女は俺を見続けてれる、その赤い瞳で。俺は前へ出た
「やめろ姫!いくらお前でも相手が悪過ぎる!」
「そうです兄様!無理です!」
二人が叫ぶ、だが既に遅く彼女は近づき大鎌振るった。始めから受け止める選択肢を捨て回避する。仮に俺が耐えられても剣が耐えられないだろう
ズドンッッ!!と爆発した、地面は抉れその破片が飛び散る。迷宮内全体に強化魔法を掛けてられており、容易には壊れず一般の生徒では、いやラーロンでも本気でやってもこの様な事を起こすのは困難だろう
「ハッーハハッ!どうだ、これが真の魔王の力だ!貴様がどの様な特訓をしようと無駄だと!虫ケラの様に潰されるのが関の山だと思い知るがいい!」
自分の力でないのに、自分がやったかの様に言うラーロン
「さあセイン様、やって下さい。魔族の象徴である力であの下郎Aを再起不能にしてやって下さい!」
彼女は、俺に近づく、その大鎌を携えて。俺は構えを解く、二人からは声が聞こえるがもうそんな必要はない。
魔力が纏った大鎌が振り上げた、それと共に俺は言う
「久しぶり、ヴェル」
再び響く爆発音、大鎌は俺の横の床に突き刺さり手を離した彼女は俺を見ていた
「姫、覚えていてくれた······」
無表情ではなく、嬉しそうに涙を浮かべて
「あんな出会いをして忘れる訳ないさ、ヴェル。」
「それでも嬉しいの、それとごめんなさい。こんな試す様な事して、すぐに終わらせるか待っていて」
満面の笑みでそう言ったヴェルは大鎌を引き抜き、ラーロン達の方へ向かう。俺とヴェルの二人以外に突然の変化でまともに動いていない
俺も初見だったら分からない自信しかない
「な、なんだ、何が起こっている?」
「見ての通りよ、姫の敵は私の敵、敵は排除するそれだけよ」
ラーロンの狼狽に、無表情だったヴェルは敵意を向けた
「バカな!同じ魔族に、パーティーメンバーに刃を向けると言うのですか!?」
「生憎、貴方達とは行動を共にするとは言ったけど同じパーティーに入ったとは言ってないわ」
「貴様、下郎A!セイン様に何をした!どうやってセイン様を狂わせた!」
強いて言うなら、愛じゃないかな?
「狂ってなんかいないわ。私はね、ずっとこの時を待ってたの。学園で、街で姫をバカにする貴方を倒す為に、でも理由が必要だった、学園生徒に手を出しても咎められない理由が」
「ひいっ!?」
そして再び溢れ出す魔力、ラーロンだけでない他のメンバーもそれに恐怖してるだろう。他のパーティーを容易に倒して来たのを見ている、それが自分達に向かうのであればどうなるか分かりきっていた
「でもお願いだから死なないでね、貴方みたいな人でも死んじゃったら姫は悲しんじゃうから」
「ま、待て!いや、待って下さいお願いします!」
「貴方の魔王としての生命力、期待してるわ♪」
うわぁぁぁぁぁっっ!とラーロンの悲鳴が響いく
「兄様、その、知り合いだったんですか?」
「まあ、そうだな」
「なあ、もしかして今回の迷宮試験で多くのパーティーを脱落させたのって姫が他のパーティーに倒されない様にだったのか?」
姫の為に、紅がその疑問を持つ。原作だとその通りだからな。
「姫っ!」
すると短い会話の合間に終わらせたのか、ヴェルが正面から抱きつく。ラーロン達を見ると全身倒れていた、相手が相手なのだから仕方ないが呆気なさ過ぎるな······
「姫だぁ、匂いも、感触も全部本物の姫だぁ♪」
スリスリと全身を密着させるヴェル、変わり過ぎと思うが原作を知っている違和感はない、だが5年前と比べるとかなり変わったと純粋に思ってしまう
「ねぇ姫、頭を撫でてくれない?」
赤く染めて小声でそうお願いしてくるヴェル、お礼も含めて撫でる。
「ふぁ♪」
そんな蕩ける様な声を上げる
「いや姫、それは、その、せめて二人の時にしてくれないか?」
「わぁ、凄いです!まさしく大人の男女って感じです!」
紅は赤らめウルルはキラキラした瞳だった。それだけでなく、ウルルのパーティーメンバーの竜族の子達ですら顔を赤くしながらも見てくる。
「えっ、あっ······」
そして気付き、恥ずかしくなったのか隠れる様に俺により密着する。離れないのか(困惑)
「離れないのか······」
紅も同じらしい、そして何か音が聞こえた気がした。それは上か何かが落ちて来てる様な
ドゴォーン!!と音と共に足元が揺れた
「ゴーレムだとっ!?」
それを見た紅は叫んだ。赤茶色の岩をどうにか人の形に整え、顔の部分には穴が空いてる様に暗く何も見えないが、黄色の光る瞳だけは視認出来た
大きさは人よりも断然高く、ビルドやジオウに出てきた巨大ロボットに近く思える
『ウォォォォォッ!!』
雄叫びの様な咆哮を上げるゴーレム、だが
「うるさい!姫との時間を邪魔するな!」
そして次の瞬間には魔力を込めた大鎌が振るわれ、それを受けたゴーレムは轟音と共に粉々になった。
「一撃、だとっ······」
「さ、流石にゴーレムさんに同情をしちゃいます······」
紅にウルルの言葉に俺も同じだ、出落ちと
「な、なあ、ウルルだったら今のゴーレム相手に勝てたか?」
「今のウルルでも、勝てるにしても苦戦は必須だと思います。おそらくこの様な強敵に相手にどの様な行動をするか見極めたかったんだと思いますが······」
「それが一撃、か······」
パラパラと破片が地面に散らばったのを見届けたヴェルは振り返る
「全く、こんな時に出すなんて。あっそうだったわ、貴方、姫のパーティーよね」
「えっ、ああ、そうだが······?」
ヴェルは紅に訪ねて、紅がそう答えると。「これ、渡しとくわ」と袋を渡し、中身を見た紅は驚く
それはチェックポイントに置かれた指輪、それが大量にある。一つ一つのチェックポイントの指輪の独占は禁止されてるがパーティーを撃破して入手する分には問題ない
「半数以上です、こんなにあったら一位確定ですよ兄様」
「なんなら竜族の子達も欲しいなら上げるわ、姫を守ってくれたお礼ね」
それを聞いたウルルのパーティーメンバーはやったぁと喜んでいる。ヴェルはまた俺に近づく
「なんと言うか、まあ、ありがとうヴェル」
「いいのよ、貴方から貰った物に比べればまだまだ全然よ。それに私は、貴方に借りを返しに来たんだから」
そう言って笑みを向けてくれる彼女は、5年前見たあの時の様に綺麗だった
「これは······」
ゴール地点の先、教師陣達が待機する場所でバリヤリーフは困惑しながら呟いた
「いやー、ほんと5年ちょっと前までは表情も全く変えなかったのにあんなに笑顔になって。長生きはするもんだねぇ」
共にそれを見ていたトリアは嬉しいそうに笑っていた
「魔界の黒翼を味方にする、人望も立派な実力の内ですからとやかくは言いません、ですが宜しいのですか?魔王の血族と人族など理解されないと思いますが?」
「そこは当人達の問題さ、それに彼が居なかったら私はヴェルを失っていたからな······」
「学園長?」
後半は殆ど聞こえず、訪ねるバリヤリーフ
「いや、気にするな。にしてもああやって見ると昔を思い出すなあ、まーくんに甘えてた頃を思い出す。と言うかあの子本当にまーくんに似てるなぁ」
頬を赤らめ、男を惑わす様な妖艶のうっとりした笑みを浮かべるトリア
「学園長、そういうのはお一人時にして下さい。ともかく、宜しいですわね?」
「構わんよ」
「では、二階級、迷宮試験第一位白鷺パーティー!」
その言葉により今回の迷宮試験において、一位が決まった
てな訳では待たせすいません、それと後日多少修正するかも知れません
個人的には今月中にはあと一話書けたらいいな······