ウルトラマンタイガ 〜NEW BUDDY, NEW RAINBOW!〜 作:門矢零
前の『#2』で区切る所を間違えた事による大きな編集ミスがあったため、慌てて書き足して編集し直しました。
本当に申し訳ございません。
今後こういった間違いの無いよう、再発防止に努めて参ります。
それでは、どうぞ!
こうして始まったのは、自己紹介の動画撮影。
まず一人目は手本として、かすみが名乗り出た。
宏高がかすみのスマホでカメラを回す中、かすみは自分なりのアピールを開始した。
かすみ「ヤッホー!皆のアイドル、かすみんだよ〜!かすみんー、虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の部長になったんだけどぉ……そんな大役が務まるか、とっても不安〜!でもぉ、応援してくれる皆の為に〜、日本一可愛いスクールアイドル目指して頑張るよっ♡」
そして撮影は終了。
しばらくの気まずい静寂で空気が満たされる中、最初に放たれたのは歩夢の間抜けな声だった。
歩夢「は?」
その一方で、宏高はかすみの自己紹介を高く評価していた。
宏高「おお〜!これがスクールアイドルの自己紹介か!はっきりと個性が表れてて、すごくいいね!」
歩夢「えっ?」
そしてもう一人、意外にも宏高以上にホットな対応をする者が。
タイガだ。
しばらく呆然としていたタイガだが、やがてじわじわと感動の波が押し寄せてきたのか、歓喜の声を上げた。
タイガ『すっげぇぇぇぇ‼︎マジで可愛くて、思わず見惚れちまった‼︎かすみん最高だぜ!』
宏高はタイガの反応に思わず「へっ⁉︎」と驚愕気味の引きつった表情を浮かべながら、背後にいるタイガの方を振り向く。
そんな中、かすみは照れ笑いしていた。
かすみ「えへへ〜♪宏高先輩〜、流石ぁ、分かってますね〜。これを動画サイトに投稿して、部員募集をします!次は歩夢先輩ですよ。今みたいな感じでお願いしますね。」
歩夢「えっ?えええぇっ⁉︎無理無理無理だよ‼︎恥ずかしいよ‼︎」
顔を真っ赤にして首を激しく左右に振る歩夢だが、かすみは折れない。
かすみ「何が恥ずかしいんですか⁉︎自己紹介はスクールアイドルの第一歩ですよ!」
歩夢「目が怖いよかすみちゃん……」
かすみ「大丈夫です!かすみん程じゃないですけど、歩夢先輩も十分可愛いですから。張り切って行きましょー!」
結局、流されるままに歩夢も自己紹介の動画撮影に駆り出された。
かすみが回すスマホのカメラを前に、歩夢は羞恥と緊張が混ざった表情を浮かべ、モジモジした動きを挟みながら話し出す。
歩夢「……あ!えっと……虹ヶ咲学園普通科二年の上原歩夢ですぅ……あ!あの私……ス、スク…」
かすみ「声が小さいですよ」
かすみのダメ出しが入りカットになってしまう。
歩夢「ご、ごめん……私‼︎スクールアイドルやりたくて‼︎」
かすみ「大き過ぎです。ちゃんとファンの皆を思い浮かべて」
歩夢「ファン……?」
と言われてもピンと来ないのか、歩夢は疲れたような溜め息を吐いた。
歩夢「はぁ……」
かすみ「不合格ですね」
その様子にかすみは容赦なく低評価を下し、宏高は苦い表情で「あちゃ〜…」と呟いた。
歩夢「い、いきなりは難しいよぉ!」
未だ羞恥が残ってる歩夢は、真っ赤な顔でかすみに抗議する。
それに思う所があるのか、かすみが歩夢にある提案をする。
かすみ「仕方ありませんねぇ。それでは両手を頭の上に」
歩夢「?……こう?」
かすみの動きを真似する歩夢。かすみは続けて指示を出し、
かすみ「語尾にピョンを付けてみましょう」
歩夢「ピョン⁉︎」
宏高「まさか?」
かすみ「ピョン!」
宏高「うさピョンか⁉︎」
宏高がそう言った瞬間、
歩夢「ええぇへえええええっ⁉︎」
歩夢はこれ以上ない程に耳まで顔を真っ赤に染め上げ、引きつった表情を浮かべて動揺した。
恥ずかしすぎてもう逃げたい。
そんな気持ちが歩夢の心に沸き上がってくるも、かすみはそれに構わず催促する。
かすみ「さぁ!」
歩夢「っ〜〜〜⁉︎」
かすみ「さぁぁぁっ‼︎」
歩夢「っ……‼︎」
開いた口は塞がらず、嫌な汗がダバダバと歩夢の顔を流れていく。
歩夢は助けを求めるように宏高の方を見るも、彼も期待の眼差しでこっちを見てるので、助け船を出してもらえないのは明白。
歩夢は体をプルプル震わせながら、やがてかなりの小声で紡いだ。
歩夢「あ……歩夢だピョン……」
かすみ「声が小さい!もう1回!」
歩夢「歩夢だピョン‼︎」
かすみ「もっとうさピョンになりきって‼︎」
歩夢「うさピョンだピョン‼︎」
かすみ「ピョンに気持ちがこもってない‼︎」
歩夢「ピョーーーーーーン‼︎」
歩夢の自棄になった叫び声が臨海公園中に響き渡った。
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陽は沈み夕方。
『JOYPOLIS』という大型ビル前にある木製ベンチに3人は移動して、それぞれ座っていた。
あれからも何度か撮り直したが、歩夢自身がかすみの様な自己紹介を恥ずかしがった結果、進捗は停滞。
今日中に撮り終えることは出来なかった。
かすみが暗い様子で俯く隣の歩夢に言う。
かすみ「週末には動画をアップするので、ちゃんと自主練しておいて下さいね?」
歩夢「可愛い怖い可愛い怖い可愛い怖い……」
歩夢は『可愛さ』の概念に恐怖を覚え、軽いトラウマになっていた。
ブツブツと呪詛の如く『可愛い』と『怖い』の2つの単語を連呼する様に、かすみは若干引いていた。
足を組んで座る宏高が苦笑したまま、かすみと話す。
宏高「可愛いって大変なんだね」
かすみ「アイドルの基本ですから」
宏高「でも、せつ菜ちゃんは可愛いって言うより、格好良いって感じだったよ」
かすみ「っ?せつ菜先輩を知ってるんですか?」
宏高「うん。一度遠くで見ただけなんだけどね」
そう言ってから、宏高は頭の片隅にずっと引っ掛かっていた事を訊ねる。
宏高「気になってたんだけど、同好会って何で廃部になったの?」
その問いにかすみは言いにくそうに俯く。
宏高「あ……言いたくないなら、無理には聞かないよ」
宏高はかすみを気遣ってそう言うが、やがて不満を思い出したような顔で、彼女は答えた。
かすみ「元はと言えば、せつ菜先輩がいけないんです」
宏高「?」
かすみ「グループを結成した時は、結構良い感じだったのに……お披露目ライブに目標を決めた辺りから、何かピリピリして来て……『こんなパフォーマンスでは、ファンの皆に大好きな気持ちは届きませんよーー‼︎』って‼︎だから、かすみんもムッキーってなっちゃって‼︎そのまま……活動、休止に……」
不満たらたらで言ったと思えば、声音を変えてせつ菜の真似で言ったり、でも最後は尻すぼみになって説明を終えるかすみ。
おそらく最初は、皆が同じ目標に向かって頑張っていたのだろう。
しかしその途中で個人のやりたい事、なりたいイメージ像が浮き彫りになり始め、意見が食い違い、歯車が合わなくなったのだ。
宏高は考え込む様に夕空を見上げ、
宏高「ん〜……かすみちゃんもせつ菜ちゃんも、ファンに届けたいものがあるんだよね?」
かすみ「当たり前ですよ!スクールアイドルにとって、応援してくれる皆は一番大切なんですから!より一層可愛い「くっ…⁉︎」アイドルである為にぃ「うううぅ…‼︎」……う?」
隣から再び呻く声が聞こえたかすみは、そちらに振り向く。
見れば歩夢が頭を抱えて再び『可愛さ』の概念に怯えていた。
歩夢「可愛いって何…?可愛いって難しい……可愛いって……」
そんな歩夢に2人のまたかと言わんばかりの視線が突き刺さる。
そしてかすみが言う。
かすみ「そんなんじゃ、ファンの皆に、可愛いは届きませんよ〜。……あっ!」
そこでふと、彼女は思い出す。思い出してしまった。
あの時のせつ菜の行動、それに不満が募る自分、理想を押し付けた事で歯車が狂い出したあの日の事を。
かすみ「……」
俯いて無言になってしまったかすみに、宏高が呼び掛ける。
宏高「かすみちゃん?どうかした?」
かすみ「もしかして……かすみん、同じ事してる……?」
彼女から返って来たのは、己の行動に対する疑問だった。
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そしてその夜。
〜回想〜
かすみ「こんなの全然可愛くないですぅぅ‼︎熱いとかじゃなくって、かすみんは可愛い感じでやりたいんですぅ‼︎」
せつ菜「……っ‼︎」
〜現在〜
かすみは自室のベッドで横になり、枕に顔を埋めながら過去の自分を思い返し、後悔で唸っていた。
時を同じくして……
???「そろそろ次の実験に入ろうか……」
謎の少年が、黒いカプセルを手にそう呟いた……。
続く。
今回はここまでとなります!
タイガ、まさかかすみんにハートを鷲掴みにされるとは…笑
そして次回から遂に“アイツ”が動き出します!
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