ウルトラマンタイガ 〜NEW BUDDY, NEW RAINBOW!〜 作:門矢零
遂に新作の情報が解禁されました!
その名も『ウルトラマントリガー』‼︎
ウルトラ楽しみだぜ!
翌日の放課後。
ニジガクの中庭の、大きな日陰がある場所に、宮下愛と天王寺璃奈は居た。
2人はそこであるモノを眺めていた。
愛「フフフッ♪美味しいかい?」
愛は座り込んで、スマホで写真を撮りながら目の前にいる存在に話しかけていた。
その存在とは、一匹の白猫。以前の怪獣騒動の中で、タイガと宏高に救われた小さな命だ。
この猫は野良の迷い猫で、今は愛から与えられた餌を夢中で貪り食っている。
すると隣に座り込んでいた璃奈が愛に訊ねる。
璃奈「運動部の助っ人はいいの?」
愛「この後行くよ?」
璃奈「お家の人、どうだった?」
愛「やっぱダメだった〜飲食店だしねぇ」
璃奈「ウチのマンションもペット禁止」
2人が話し合っているのは、なんとかこの白猫の面倒を見られないか、についてだった。
いつまでもここに放置しておく訳にもいかないし、早い所ちゃんとした家で飼う方がこの白猫にとっても良い事なのだが、先程2人が言った様に、お互いの家庭の事情でそれは叶わない。
愛と璃奈は揃って「はぁ〜……」と溜め息を吐いた。
すると璃奈が何かに気付き、「ぁ……」と呟いて横を見る。
愛もそれにつられてそちらを見ると、石段ベンチに座る小柄な少女を視界に入れた。
璃奈「昨日、はんぺん連れてった人だ」
なんとこの白猫、既に名前が付けられていた。
(いつでも皆が戻って来られるように頑張ってたのに……)
かすみは「はぁぁぁぁぁ…‼︎」と盛大な溜め息を吐いて、自分の頭をポカポカ叩きながら嘆く。
かすみ「どうしたら良いんですか〜‼︎かすみん困っちゃいますぅぅぅぅうううぅぅぅぅ‼︎」
最後には両手で頭を抱え込み、左右に振り始めた。
すると突然、声が聞こえた。
宏高「悩み事?」
かすみの隣。そこにはいつの間にか宏高が座っていた。
宏高は両手を頭に当てて思考停止しているかすみを見ると、
宏高「へへぇっ♪」
何事もなかったかの様にはにかんだ。
それでようやく思考の時間が再開したのか、かすみは両腕をワタワタ振って驚いた。
かすみ「うわあぁぁぁぁああっ⁉︎いつの間にぃぃぃぃいいっ⁉︎」
宏高「そんなに驚かなくても……何か様子おかしかったから」
かすみは動きを止めて訊ねる。
かすみ「歩夢先輩は……?」
宏高「もう少し練習してから、公園行くってさ」
宏高が答えると、かすみは段々涙を滲ませ、
かすみ「……うぅぅ……うわあああああん‼︎」
突然泣いて宏高に抱きついた。驚きのあまりバランスを崩して後ろに倒れる宏高。
宏高「うわあああああっ⁉︎」
かすみ「宏高先ぱぁぁぁい〜〜‼︎」
宏高「ちょちょちょちょっとぉ⁉︎かすみちゃん⁉︎」
宏高はパニックになっていた。
この状況、道行く生徒に見られたら間違いなく誤解されてしまう。
しかし、そんな危ない空気を打ち砕いたのは、この学園の近くから聞こえてきた地響きの様な轟音だった。
数分前。
何処にでもあるような人気のない場所。
そこに一人の少年が立っていた。
少年は黒いカプセルを取り出し、それを起動させる。
???「ベムスター」
カプセルの先端が緑色に発光。それを二つの穴が空いてる取っ手付きの黒いアイテムに装填。
そして黒をベースに赤と紫の色が施され、中央に遺伝子の二重螺旋を模したようなシリンダー部分がある握力計のようなアイテムを取り出す。
それは『ウルトラマンジード』の変身アイテムである『ジードライザー』に酷似していた。
その名も『ダークネスライザー』。
少年はダークネスライザーを起動すると、装填ナックルを腰から外し、装填させたカプセルをライザーでスキャンする。それを空に向けて掲げ、トリガーを引くと、そこから緑の光が放たれた。
《ベムスター!》
やがてその光は、鳥のような顔をした怪獣となって街中に出現した。
頭に生えた角、両腕から生えた鋭い爪、そして腹部の五角形の口のような器官が特徴の『宇宙大怪獣・ベムスター』。
「ピギャーーーー‼︎クェーーーッ‼︎」
ベムスターは、建物を粉砕しながらゆっくり進行していく。
それを見た宏高の判断は早かった。
宏高「かすみちゃんは逃げて!」
かすみ「あっ……宏高先輩⁉︎」
突然の出来事に驚いたのも束の間、宏高はかすみに指示を出し、その場から駆け出すと、人気のない場所に移動。
タイガ『行くぜ、宏高!』
宏高「ああ!ニジガクには近づけさせない!」
宏高はタイガスパークを装着した右腕を掲げ、下部のレバーをスライドさせて待機状態にした。
《カモン!》
左手で腰に付けているタイガホルダーから『ウルトラマンタイガキーホルダー』を取り外す。
宏高「光の勇者!タイガ!」
左手に持ったキーホルダーを右手で握り直す。
するとキーホルダーからタイガスパークへとエネルギーが送り込まれ、中心部のクリスタルが赤く発光した。
タイガ『はあああああっ!ふっ!』
宏高は大きく全身を捻り、天高く右腕を突き上げながら叫んだ。
宏高「バディー……ゴー!」
《ウルトラマンタイガ!》
タイガ『────シュア!』
巨大化したタイガは空中でアクロバティックに回転しながら地面に着地した。
そして戦闘の構えを取り、ベムスターに向かっていく。
タイガ『フッ‼︎』
「ピギャーーーー‼︎」
ベムスターも鳴き声を上げて向かってくるが、タイガはベムスターに体当たりをして、そこから前方へ押し返そうとする。
しかしベムスターも対抗して、タイガを押し返そうと突進を続ける。
タイガ『くっ……ぬうぅぅぅぅぅぅぅ……』
タイガはベムスターの右脚に蹴りを入れ、首に右肘打ちを喰らわせる。
タイガ『タアッ!』
タイガは更に右回し蹴りを喰らわせた。
ベムスターは四歩程後退りする。
「キィィィーーー‼︎」
ベムスターは頭部の角から破壊光線『ベムスタービーム』を発射し、タイガに直撃させる。
タイガ『ウワッ……グアアアアアッ⁉︎』
光線の直撃を受けて、よろめくタイガ。
宏高「タイガ!あいつには正面からの飛び道具は通用しない。後ろをとって、一気に粉砕するぞ‼︎」
タイガ『ああ!』
タイガは手先から『タイガスラッシュ』を放ち、ベムスターの光線を相殺する。
タイガはベムスターに向かって走り出し、そこからベムスターの背後に回り込んで押さえつけた後、その背中を勢いよく蹴り飛ばした。
タイガ『オリャッ!』
ベムスターはうつ伏せに倒れ、その身は地面に叩きつけられる。
「ピギャーーーー‼︎」
タイガ『もらったぜ!ストリウム……ブラスター!』
タイガはエネルギーを溜め、ストリウムブラスターを放つ。
が、これで決着とはならなかった。
ベムスターはうつ伏せに倒れたまま、バタバタと両腕を激しく動かす。
すると、その巨体はみるみる地面から浮上していき、やがてベムスターは空中へと逃れ、光線を回避した。
宏高「えぇぇぇえっ⁉︎」
タイガ『そんな芸当アリかよ⁉︎』
2人は完全に意表を突かれた。
そしてベムスターは低空飛行でタイガに急接近し、体当たりを喰らわす。
タイガ『グアァッ!』
勢いよく吹き飛ばされるタイガ。
ベムスターは空中で方向転換し、再びタイガに向かっていく。
タイガは立ち上がって体勢を立て直し、身構える。
宏高「来るぞ、タイガ!」
「クェーーーーッ‼︎」
タイガ『んなろぉ‼︎』
タイガはギリギリまでベムスターを引きつけると、横方向に飛び上がって回避しつつ、すれ違いざまにベムスターを殴りつけ、叩き落とした。
「キィィィーーー‼︎」
ベムスターは起き上がって、タイガを睨みつける。
タイガ『手こずらせてくれるぜ……』
宏高「流石はジャックを苦戦させただけはあるな」
タイガとベムスター、両者一歩も譲らぬ戦い。
そこに介入しようとする存在がいた。
それは、ベムスターを街に出現させた張本人である謎の少年。
???「ハハハッ、粘るねぇ。でもどこまで粘れるかな?」
少年は被っていた白いパーカーのフードを脱ぐと、首にかけていた円形のペンダントを取り出す。
それを右掌に乗せ、少年は静かに目を瞑り、精神を統一し始める。
するとペンダントが紫色に点滅し、そこからドス黒いオーラが溢れ出して、少年を包み込む。
それはみるみる大きくなっていき、やがてその中から黒い巨人が現れた。
タイガ『………!お前は……⁉︎』
その姿はタイガに似ていた。
短い2本の角、赤く鋭い目、胸のカラータイマー、両肘のヒレ状の突起物、そして額、両腕、両脚に付いたクリスタル状の発光体。
かすみ「何なんですか……あれ……」
この光景はかすみにも見えていた。
見るからにゾッとするような、おぞましい姿をした魔人。
その悪魔の名は────
ダークキラーヒディアス。
続く。
本作のメインヴィランがようやく登場です。
タイガ絶体絶命⁉︎
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