ウルトラマンタイガ 〜NEW BUDDY, NEW RAINBOW!〜   作:門矢零

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お待たせしました。第3話、せつ菜回です。

スクスタのストーリーの方で、また大きな動きがあったようですね。
合同合宿、果たしてどうなるのか……。


優木せつ菜#1

夕陽が差し込む虹ヶ咲学園の生徒会室。

そこには生徒会長の中川菜々、そして対面には朝香果林、エマ・ヴェルデ、近江彼方、桜坂しずくがいる。

その中で中心となって話しているのは、果林だ。

 

果林「教えてくれる?優木せつ菜さん?」

 

菜々は果林に背中を向けて、無言を貫く。

まるで追及から逃れようとするかのように。

 

果林「否定しないのね?」

菜々「元々隠しきれるものとは思っていませんでしたから」

 

菜々は自分がせつ菜である事を認めたかのように言った。

そしてチラリと肩越しに果林を見ながら言葉を続ける。

 

菜々「ですが、同好会以外の方に指摘されたのは、予想外でした」

 

あくまでも中川菜々として振る舞う彼女に、果林はエマに視線を寄越しながら言う。

 

果林「たまたま同好会に親友がいてね。何で生徒会長が正体を隠してスクールアイドルをやっていたのか、興味があるんだけど……彼女達が今聞きたいのは、そこじゃないみたい」

 

エマが悲痛に呼び掛ける。

 

エマ「せつ菜ちゃん……」

 

一瞬、菜々の肩がピクリと動いた。

続けて彼方としずくが言う。

 

彼方「ちょっとお休みするだけって言ってたじゃん」

しずく「グループを解散した時に、決めてたんですか?私達とはもう……」

 

言ったきり、顔を俯かせるしずく。

彼女達は決して菜々を責めている訳ではない。

ただ単純に疑問なだけだ。

だがそれが菜々の心をチクチクと刺して責め立てたのか、エマがもう一度「せつ菜ちゃん!」と菜々を呼んだその時、

 

菜々「優木せつ菜はもういません‼︎」

 

彼女は初めて感情を露にした。

皆が思わず言葉を失う中、菜々の独白は続く。

 

菜々「私は!スクールアイドルをやめたんです‼︎もし皆さんがまだスクールアイドルを続けるなら、ラブライブを目指すつもりなら……皆さんだけで続けてください……!」

 

 

────────────────────

 

 

その日の夜。

 

菜々は自室で自身の持ち歌である『CHASE!』の衣裳を見つめていた。

 

(“大好き”を叫びたかった私が、他の人の“大好き”を傷つけた……私がなりたい自分は、こんなのじゃなかった。だから……)

 

そして菜々は衣裳を赤いアタッシュケースにしまうと、悲しげな表情を浮かべながらケースを閉じ、封印した。

しかしそこには、まだどこか未練があるようにも思える。

すると突然、扉をノックする音が聞こえた。

 

菜々母「菜々ー、入るわよー?」

菜々「あ、はい!」

 

菜々は慌ててアタッシュケースをクローゼットにしまうと、返事をしながら机に戻る。

そしてドアが開き、菜々の母親が飲み物を持って部屋に入ってきた。

 

菜々母「勉強、捗ってる?」

菜々「もちろん」

 

菜々は自信満々に答えると、母からホットココアの入ったマグカップを受け取る。

 

菜々母「来週模試でしょ?頑張ってね」

菜々「うん」

 

 

────────────────────

 

 

翌日の生徒会室。

 

現在、生徒会長の菜々と6人の女子生徒役員が会議をしていた。

 

菜々「分かりました。放課後の体育館使用の件については、私が話しておきます」

役員「お願いします」

 

菜々が役員メンバーを見渡しながら訊ねる。

 

菜々「他に議題はありませんか?」

 

すると三つ編みのおさげに眼鏡をかけた書記の少女が挙手した。

 

書記「はい。最近、困った子が校内に住み着いているみたいなんですが……」

菜々「どなたです?」

 

 

 

「ニャー!」

 

菜々「待ちなさぁぁぁぁぁぁい‼︎」

 

校内の叢を掻き分けて走り回る白猫を、学校指定のジャージに身を包み、捕獲用の網を持った菜々が追いかけていた。

生徒会書記の少女が言っていた困った子というのは、この白猫の事だった。

 

菜々「待てぇぇぇぇぇぇ‼︎コラ‼︎待ちなさい‼︎止まってください‼︎」

 

「ニャーーー!」

 

必死に追いかけ回す菜々だが、猫も必死なのでなかなか捕まえられない。

だが菜々は白猫のすばしっこさに振り回されながらも、ちゃっかり壁際に追い詰めていた。

 

菜々「ハァっ、ハァっ、ハァっ……もう逃げられませんよ……!」

 

観念しなさいと言わんばかりに網を振り翳す菜々。

しかしそこへピンク髪の女子生徒が駆け付け、白猫を捕まえた。

捕まえたというよりも、白猫が自ら彼女の胸に飛び込んだ様に見えた。

菜々が女子生徒に言う。

 

菜々「情報処理学科一年、天王寺璃奈さん?その猫を渡して下さい」

璃奈「……ダメ」

 

無表情ながらも確固たる意思を感じる。

菜々もどうしたものかと言った感じの表情をしている。

そこに金髪の少女、宮下愛が駆けつけた。

 

愛「その子、学校の近くで捨てられてたんだよね。どっちの家でも飼えなくてさ……」

 

愛が事情を説明するも、菜々は冷静に言う。

 

菜々「動物の放し飼いは、校則で禁じられています」

 

しかしこの言葉に璃奈は動じるどころか変わらずの無表情で菜々の瞳を真っ直ぐ見つめ、しかし両手は猫を庇うように抱えて撫でる事をやめない。

白猫は気持ち良さそうにニャーニャーと鳴いている。

すると菜々は何を思ったのか、璃奈に近づいて膝を折り、網を置いて、情愛のある優しい笑顔で璃奈に言った。

 

菜々「その子は天王寺さんの事が、大好きみたいですね。名前、何て言うんですか?」

璃奈「……はんぺん」

 

 

 

その後、はんぺんは菜々の計らいで『生徒会お散歩役員』なるものに就任する事となった。

飼うことは出来ないが、学校の一員に迎え入れる事は可能という理由で、校内への住み着きを許したのだ。

現在はんぺんは、愛と璃奈に見守られながら虹ヶ咲の校章が描かれた器に盛られたキャットフードを夢中で貪っている。

 

愛「生徒会お散歩役員就任、おめでとう。はんぺん」

璃奈「……おめでとう」

愛「よかったね、りなりー」

璃奈「……うん」

愛「飼うのはダメだけど、学校の一員に迎え入れる事は校則違反にはならないって、屁理屈だけど、良い屁理屈だよね!」

璃奈「うん。生徒会長、良い人だった」

 

「ニャー!」

 

そんな璃奈に同調するように、はんぺんも嬉しそうに鳴いた。

 

 

続く。




第3話のBパートで描かれた、あいりながはんぺんのニジガクへの仲間入りを祝うシーンを、早い段階で書かせてもらいました。
宏高は#2から登場します。
はんぺん、結構可愛いですよね〜。自分も猫は好きなんですけど、猫アレルギーというね……(;_;)


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