ウルトラマンタイガ 〜NEW BUDDY, NEW RAINBOW!〜 作:門矢零
1stライブのDay1観ましたが、もう最高ですね!
2ndはどうしようか迷ってますが、3rdのBlu-rayは絶対買います!
西棟。
屋上に繋がる階段を昇って屋上に向かう途中、菜々は考えていた。
(わざわざ、せつ菜と一緒に呼び出すなんて……‼︎まさか、エマさん?あっいえ、朝香さんと考えた方が……)
中川菜々と優木せつ菜の組み合わせ。
事情を知らない者からすれば何て事のない情報だが、菜々本人としては気が気でない。
そうしてる内に屋上へと着いた菜々は、扉を開けて待ち人を確認する。
そこに居たのは、ガラス張りの転落防止ガードに両腕を乗せて黄昏る……宏高だった。
菜々が来た事に気付いた宏高は、ゆっくりと振り返り、真っ直ぐな目で菜々と向き合った。
少々……いやかなり意外な人物に、菜々は拍子抜けした顔で呟いた。
菜々「虹野宏高さん?」
宏高「やっと会えたね、せつ菜さん」
菜々「っ⁉︎」
菜々に向かって『せつ菜』と呼ぶ。
それは、優木せつ菜の正体が菜々である事を知っていなければ出来ない事。
そしてその事実を知る者は、ごく僅かしかいない。
菜々は努めて冷静に訊ねる。
菜々「エマさん達に聞いたんですね?」
宏高「そうなんだけど……音楽室で話してた時に、そうじゃないかなって」
実際告げ口の犯人はその通りだったが、その後に提示されたのは宏高の勘。
本当はタイガの勘だが。
物陰から歩夢、かすみ、しずく、彼方、エマが見守る中、対峙する虹野宏高と中川菜々。
最初に口を開いたのは菜々。
菜々「それで、どういうつもりですか?」
探りを入れるかのように菜々は問う。
自分が優木せつ菜だと知り、勧誘しに来たと思っているのだ。
その為の誘い文句がどう来るのか、それにより断りをどう言うか。
菜々はそれを考えていたが、直後に宏高から放たれたのは予想外の言葉だった。
宏高「ごめんなさい‼︎」
謝罪だった。しかも頭を下げるという行動込みの。
菜々「なっ⁉︎何ですかいきなり⁉︎」
当然慌てる菜々は宏高にその真意を確認する。
宏高「昨日、何でスクールアイドル辞めちゃったのかな、とか言っちゃって……何も知らなかったとはいえ、無神経過ぎたかなと……」
菜々「はぁ……気にしてませんよ?正体を隠していた私が悪いんですから。……話が終わったのなら」
突き放すように言って踵を返す菜々だが、宏高は手を伸ばして引き留める。
宏高「あ、まだあるんだ‼︎」
菜々「……何ですか?」
ここだ、と宏高は思った。
ここで言わなければ彼女は二度と立ち止まってくれない。
だからありったけの気持ちを込めて伝える。
宏高「俺は、幻滅なんてしてない」
菜々「……は?」
音楽室で菜々が、せつ菜の感情と共に問いかけた『幻滅しましたか?』という質問。
あの時は何も言えなかったが、事情を知った今なら言える。
宏高「スクールアイドルとして、せつ菜さんに同好会に戻ってきて欲しいんだ!」
菜々「へっ……⁉︎」
今度こそ、菜々に分かりやすく動揺の色が浮かぶ。
彼は何を言っている?
全てを聞いて、自分の過ちを知って、それでも尚勧誘してくる。
どうして?と菜々は心を乱し、そして半ば八つ当たり気味に感情を爆発させた。
菜々「何を……もう全部分かっているんでしょ⁉︎私が同好会に居たら、皆の為にならないんです‼︎私が居たら‼︎ラブライブに出られないんですよ⁉︎」
自分にそんな資格はない。
ただでさえ一人一人が異なるイメージを抱いている中で、どれだけ結束しようとしても、必ずまたどこかでバラバラになる。
それを考えると、どうしても最悪の未来が頭の中に流れてしまう。
だがそんな不安や思い込みを打ち砕くように、宏高も菜々に叫び返した。
宏高「だったら‼︎だったら
菜々「っ……⁉︎」
タイガ『宏高……お前……』
あまりの言葉に、菜々は思わず口をつぐんだ。
タイガも驚きを隠せない。
ラブライブはスクールアイドルをする全ての者にとって、目指すべきステージにして頂。
それを容易く、目の前の少年は一人の迷える少女の為に切り捨てた。
宏高「あっ、いや……!ラブライブがどうだからとかじゃなくて……!」
両手をワタワタ振って否定する宏高は、一度落ち着いてから言いたい事を頭の中で整理する。
宏高「俺はただ、せつ菜さんが幸せになれないのが……笑顔でいられないのが嫌なだけ。ラブライブみたいな最高のステージにこだわる必要は無いんだよ。せつ菜さんの歌が聴ければ、十分なんだ!」
宏高は未だ塞ぎ込むように俯く菜々に近づき、
宏高「スクールアイドルが居て、ファンが居る!それで良いんじゃないかな?」
屈託ない笑顔を向けた。
菜々「……どうして、こんな私に?」
少女は分からない。
取り返しのつかない過ちを犯した自分を、何故彼はここまで受け入れようとするのか。
何故そんな笑顔を向けられるのか。
そんな少女に、宏高は単純かつ素直な思いを口にする。
宏高「言ったじゃないか?大好きだって!こんなに好きにさせたのは、せつ菜さんなんだから」
菜々「っ……‼︎」
その言葉によって、中川菜々と優木せつ菜の心は救われた。
素直な気持ちだからこそ、どんな言葉よりも心に浸透してくる。
そう考えると、自然と頬が赤くなる。
菜々「……貴方みたいな人は、初めてです……期待されるのは嫌いじゃありません……ですが……本当に良いんですか?」
その問いに宏高は何も答えず、ただ笑顔で見守っている。
菜々「私の本当の我儘を……大好きを貫いても、良いんですか?」
一歩を踏み出せた。
心からの本心を素直に曝け出す事ができた。
それに宏高は迷わず答えると共に、改めて自身の望みを口にする。
宏高「勿論!俺はもう一度、君の歌を聴きたい!」
曇天を貫いて差し込む大量の日差しが、宏高の肯定の笑顔をより一層輝かせる。
菜々「っ……‼︎」
敵わない。もう自分の敗けだ。
根負けしたのに清々しい気持ちを抱えて、全てが吹っ切れた菜々は静かに目を閉じる。
そしてフッと笑うと、突然歩き出して宏高の隣を過ぎながら言う。
菜々「分かっているんですか?」
宏高「ん?」
菜々「貴方は今、自分が思ってる以上に、凄い事を言ったんですからね!」
やがて立ち止まると、彼女は眼鏡を外して胸ポケットに入れ、その三つ編みを解いた。
宏高「っ……‼︎」
その姿に宏高は開いた口が塞がらない。
菜々からせつ菜へと変わった少女は、振り向いて右拳を突き出す。
せつ菜「どうなっても知りませんよ⁉︎」
それに宏高も、笑顔で右拳を突き返して応える。
宏高「フッ……上等さ!」
再三忠告はした。何度も抵抗した。
それでも自分を迎え入れようとする少年に、少女は最高の手段で迎合する。
せつ菜「これは、始まりの歌です‼︎」
虹ヶ咲の屋上をステージに、復活した優木せつ菜のライブが始まった。
(♪:DIVE!)
そのライブを全校生徒が観ていた。
沸き上がる興奮を抑えずに、楽しそうな顔で。
せつ菜の強い歌声に誘われて、一人、また一人と生徒が集まってくる。
その中には、宮下愛と天王寺璃奈、朝香果林もいた。
愛はワクワクした表情で、璃奈は相変わらずの無表情で、そして果林は見守るようにライブを観ていた。
優木せつ菜の復活ライブを、宏高と歩夢とかすみ、しずくと彼方とエマは物陰で見守っていた。
各々が抱く気持ちはそれぞれだが、宏高の心は喜びと安堵に満ち溢れていた。
中川菜々の、優木せつ菜の笑顔。
彼が求めていたものが、確かにそこにはあった。
そして、優木せつ菜のプロローグは幕を閉じる。
右腕を掲げた決めポーズで息を荒げるせつ菜は、校内全体に響く声量で宣言した。
せつ菜「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会‼︎優木せつ菜でした‼︎」
直後にやって来たのは、空気を震わす程の歓声と拍手喝采の嵐。
愛も感動しながら手を叩き、果林はその場からゆっくりと立ち去る。
そして見守っていた同好会メンバーでは、先に宏高が動いた。
宏高「せつ菜さん‼︎」
せつ菜「うわあっ⁉︎」
感極まった宏高は、その感情の赴くままにせつ菜の両手を握ったが、せつ菜は突然の事に戸惑って驚きの声を上げる。
宏高「ありがとう‼︎」
せつ菜「ちょ、ちょっと⁉︎」
未だ状況を呑み込めないせつ菜の手を握りながら俯く宏高は、顔を上げて彼女の顔を見据えると「へへっ♪」と笑った。
その顔を数秒呆けた顔で見つめ返していたせつ菜も、
せつ菜「ぷっ……!あっはははははっ‼︎……私の方こそ、ありがとう」
やがて自然と笑い合う。そこにかすみがやって来て、ジト目で2人を見て言った。
かすみ「せぇんぱい、いつまで見つめ合ってるんですか?」
そこに歩夢が素直に感心した言葉を連ねる。
歩夢「やっぱり凄いねぇ‼︎」
宏高「ああ!」
せつ菜「皆さん、見ていたんですか?」
せつ菜の問いに、エマ、しずく、かすみの順に言う。
エマ「お帰りなさい!」
しずく「でも、少し盛り上がり過ぎかも」
かすみ「先生に見つかったら怒られちゃいますよ?」
彼方「どうする〜?生徒会長〜」
彼方が悪戯っ子めいた顔で訊ねると、せつ菜は不敵な笑顔で答えた。
せつ菜「今の私は、優木せつ菜ですよ‼︎見つかる前に、退散しましょう‼︎」
「「「「「「おーーー!」」」」」」
その時だった。
「クキュキュキュキュキュキュッ‼︎」
不気味な鳴き声と共に、街に巨大な怪物が現れた。
霧崎「歓声は一気に悲鳴へと変わる……」
続く。
優木せつ菜、ここに完全復活!
しかし、同時にそれは悲劇の始まりでもあった……
次回、タイガの戦いを描きます。今回の怪獣は?
第3話クライマックス!
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