ウルトラマンタイガ 〜NEW BUDDY, NEW RAINBOW!〜 作:門矢零
まさかの在庫切れで買えず……
どお゛してだよお゛お゛お゛お゛お゛
時刻はすっかり夕方。
そんな中で、せつ菜とかすみを除いた同好会メンバーは校内にあるベンチに座って何気ない世間話をしていた。
彼方、エマ、歩夢の順に口を開く。
彼方「今週は土曜も集まるんだっけ〜?」
エマ「うん。お台場でランニングだよ?」
歩夢「ランニングかぁ……」
少しばかり不安なのか、憂鬱気味な声を出した歩夢に、宏高と愛が言う。
宏高「俺も一緒に走るから」
愛「走るのって気持ち良いよ?」
エマがしずくに訊ね、彼方がなんとなしに言う。
エマ「しずくちゃんは、この後演劇部?」
しずく「はい」
彼方「大変だね〜、掛け持ち〜」
しずく「好きでやっている事ですから」
そう言ったしずくの声音から嫌々や憂鬱な感情は全く感じ取れず、本気で苦もなくやっている事が見て取れる。
歩夢が愛に訊ねる。
歩夢「愛ちゃんは今も運動部の助っ人してるの?」
愛「勿論!だから、明日は来るのが遅くなるかも」
後輩2人の頑張りに感心を寄せた彼方が、エマの肩に頭を預けながら言う。
彼方「2人共頑張ってるね〜。ふわぁぁ……」
あくびをする彼方を横目にエマが璃奈に訊ねる。
エマ「同好会はどう?」
璃奈「…………楽しい」
数秒の沈黙の後に紡がれた一言。
しかし相変わらず表情と感情の起伏が少ない為、本当に楽しいと思ってくれてるのかと思い、エマは思わず「ん?」と首を傾げてしまう。
そんな璃奈に、愛が抱きついて頬をプニプニ突つきながらフォローする。
愛「こんなにウキウキなりなりー初めて見たよ!愛さんも楽しい!」
璃奈「……ごめんなさい。私、上手く気持ち出せなくて」
エマ「ううん。楽しんでくれてるなら良かった」
母性味溢れるように言うエマ。
愛は頭の後ろに手を回して言う。
愛「でも本当、他ではやってない事ばかりですっごく新鮮!」
宏高が不思議そうに訊ねた。
宏高「そんなに違うかな?」
愛「違うよ〜!かすみんが、アイドルはどれも正解って言ってたけど、実際その通りって言うか、皆やっぱりタイプ違うけど、すっごく優しくて面白くて、そこが最高って感じだし!このメンバーで、どんなライブする事になるんだろうって、考えただけでめっちゃワクワクするよ!」
それに彼方がポソッと、意味深な言葉を発した。
彼方「愛ちゃんは鋭いね〜」
彼方の言葉に全員が「え?」と振り向き、その真意に一番早く気付いたしずくが暗い面持ちで言った。
しずく「分かってはいるんです。私達が先に考えなきゃいけない事って……」
その頃、せつ菜とかすみは部室で今後の活動について話し合っていた。
かすみ「ソロアイドルですか……」
せつ菜「私達だから出来る新しい一歩です。部員一人一人が、ソロアイドルとしてステージに立つ。その選択肢は、皆さんの頭の中にもある筈です」
それにかすみは考え込むような表情を浮かべて言う。
かすみ「はい……でもそれって、簡単には決められないですよね……」
さらにせつ菜は続ける。
せつ菜「それともう一つ、提案があるんですが……」
かすみ「何ですか?」
一方、他のメンバー達も同じく、ソロ活動の件で話していた。
璃奈と彼方が言う。
璃奈「一人で…ステージに……」
彼方「ちょっと考えちゃうよね〜。グループは皆協力し合えるけど、ソロアイドルは誰にも助けては貰えないだろうし〜」
愛「あっ……!」
その言葉に、愛の顔色が変わった。
おそらくこの瞬間まで、グループで活動すると思っていたのだろう。
その前提が崩れ落ち、愛の中で動揺が渦巻く。
ここでしずくが不安を吐露する。
しずく「正直、不安です……皆さんに喜んで貰えるだけのものが、私一人に、あるのでしょうか……?」
それはこの場の誰もが思ってる事。
故に全員の不安を解消するような事を、無責任に誰も言えなかった。
────────────────────
(正解が一つなら、分かり易いよね……)
あれからずっと、愛は考えていた。
(スポーツにはルールがある……でも、愛さん達が目指すスクールアイドルには、そういうのがなくて、自分一人……)
これまで多くの運動部で助っ人をし、あらゆるスポーツを経験してきたが、その全てにおいて、初めから決められたルールがあった。
しかしスクールアイドル、ひいてはソロアイドル活動には、明確なルール、決まり事は無い。
(愛さんだけで、どんなスクールアイドルがやれるのかな?愛さんの正解って、何なのかな?こんな事、今まで考えた事なかったよ……)
学園の帰り道でも、愛は自問を繰り返す。
その時だった。
愛「……?」
広場を通り過ぎようとした時、一人立ち尽くしている女性の姿を見つけたのは。
愛「何してるの?」
気がつけば、愛は話しかけていた。
ずっとその場に佇んでいた全身黒ずくめの衣装を纏った女性は、不意に投げられた呼びかけに反応し、横に振り向く。
「街を……眺めていました……」
女性は淡々と答えると、愛に尋ねる。
「どうして……こんな私に?」
声をかけようと思ったのか、と視線が問いかけている。
愛「なんか寂しそうな顔してたから。それに、なんとなくりなりーに雰囲気似てたし」
「そうですか……」
納得したようなしていないような、そんな感じに女性は言った。
愛はそんな彼女の事がますます気になった。
愛「アタシは宮下愛。あなたは?」
「私は……アモル……」
愛「アモルかぁ……ねぇ、愛さんと友達になろうよ!」
アモル「私が……?」
愛「うん!ダメかな?」
アモルは一瞬戸惑いの表情を見せたが、愛の曇りなき笑顔を前に辿々しくも答える。
アモル「こんな私で…良ければ……」
愛「やった♪また新しい愛トモが出来たよ〜」
アモル「あい…とも?」
愛「愛さんの友達、略して『愛トモ』だよ、アモルン!」
いきなりあだ名で呼ぶ愛に、アモルは苦笑しながらも返す。
アモル「フフッ……おかしな人ですね」
すると、愛のスマホがピコン、と鳴った。
愛「おっ……ちょっとゴメンね」
確認すると、それはSNSのトークアプリに送られてきた、かすみからのメッセージだった。
【明日のランニング、朝の9時にレインボー公園に集合ですよー!】
さらに……
【ラジャーv(・・)】
璃奈からも了解のメッセージと共に、猫達が「YEAAAA!!」と興奮しているスタンプ、そして「OK」と猫がサムズアップしているスタンプが送られてきた。
【おっけー】
彼方からも返事が来る。
アモル「どうかしましたか?」
アモルが尋ねると、愛は申し訳なさそうに言った。
愛「ゴメン、愛さんそろそろ帰らないと。やる事いっぱいあるし、明日も朝早いから」
アモル「そうですか。お気をつけて」
愛「ありがと。じゃあまたね、アモルン!」
そう言って、愛はアモルと別れて再び帰路についた。
(暖かい……まるで太陽のよう……)
愛の後ろ姿を見送りながら、アモルは思っていた。
そんな彼女の正体が、新たな住処を求めて宇宙を旅している『バルタン星人』である事を、愛は知る由も無かった……
────────────────────
その夜、宏高は宿題を終わらせ、机の上で一息ついていた。
宏高「………」
何やら物思いにふけっている様子の宏高に、タイガが声をかける。
タイガ『どうした?考え事か?』
宏高「ああ、同好会の事でね」
タイガ『ソロ活動ってやつの事、だろ?』
当てるように訊ねるタイガ。
宏高「その通りだよ。スクールアイドル同好会は一度、グループでやろうとして失敗した。だからこそのソロアイドルだ。せつ菜は慣れてるかもしれないけど、他の皆は……」
それを聞いて、2人のウルトラマンは宏高に言った。
タイタス『確かに不安だろう、一人で歌うというのは。けれど、彼女達は仲間だ。側にいれば、不安や喜びを分かち合い、励まし合う事が出来る…私達のように』
タイガ『例えば、ステージに立つ歩夢の前には、お前がいる。それだけで気持ちは楽になるんじゃないか?』
その言葉に、宏高の表情が晴れた。
宏高「……確かにそうかも」
そしてタイガは、未だ行方の知れないもう1人の仲間に思いを馳せる。
(フーマ、お前は今どうしてる……)
続く。
キャラ紹介
バルタン星人アモル
故郷の星が崩壊した際に生き残ったバルタン星人の一人。
新たな住処を探して宇宙を旅する中で、宏高達の地球にやってきた。
侵略の意思は無く、ただ平穏に暮らせればそれでいいと考えている穏健派だが、実力行使で星を制圧しようとする過激派との対立に苦悩している。
人間態は川本美里とほぼ同年代の女性の姿をとっている(イメージはウルトラマンジャスティスの仮の姿であるジュリ)。
ちなみにアモルはラテン語で「愛」を意味する。
宇宙人とまで仲良くなっちゃうとは、愛さんのコミュ力ハンパないですね笑
せつ菜とかすみの話し合いの中で出てきた「提案」。その詳細はエマ回のラストで明らかになります。
そしてフーマは一体何処に⁉︎
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