ウルトラマンタイガ 〜NEW BUDDY, NEW RAINBOW!〜   作:門矢零

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第5話ラストです。

今回も文章長めですが、よろしくお願いします。


逸楽の疾風(はやて)#7

バルタン星人(過激派)との闘いの最中、タイガと宏高の元に合流したウルトラマンフーマ。

 

(BGM:覇道を往く風の如し)

 

フーマ『さあ、どっちの速さが上か勝負しようじゃねぇか、ハサミ野郎!』

 

「フォッフォッフォッフォッ……」

 

フーマ『俺のスピードについて来れるかよ!』

 

フーマは疾風の如きスピードでバルタン星人に肉薄し、水平チョップを打ち込むがバルタン星人は両手のハサミでこれを受け止める。

そこから両者は互いに後方へ飛び退いた直後、残像が見える程の素早い身のこなしで移動しながら、空中で何度も激しくぶつかり合う。

 

せつ菜「速い!速すぎです!」

彼方「彼方ちゃん、目回っちゃうよ〜」

 

それは同好会メンバーも目で追い切れないほどすさまじい光景だった。

 

やがてフーマとバルタン星人は地上に着地し、間髪入れずにフーマが格闘戦を仕掛ける。

バルタン星人はフーマの繰り出す手刀やキックを最小限の動きで躱し、受け流していくが、徐々にその勢いに圧されていく。

 

フーマ『お前の短所は分かってんだぜ!』

 

バルタン星人は『宇宙忍者』の異名の通り、分身などの様々な特殊能力を有しているがその反面、接近戦を苦手としている。

フーマは過去に自身の故郷『惑星O-50(オーフィフティ)』でバルタン星人と交戦した経験がある為、その欠点を把握していた。

追い込まれたバルタン星人は両手のハサミから『赤色冷凍光線』をフーマに打ち込もうとする。

 

フーマ『ハッ!』

 

フーマはその場で少し浮き、竜巻を纏いながら高速回転する『嵐風竜巻(らんぷうたつまき)』で光線を跳ね返した。

回転を止めると、そのまま宙に浮いた体勢からバルタン星人の胸部に飛び蹴りを入れ、そこから両足で何度も踏みつけるように連続蹴りを叩き込む。

 

フーマ『セイヤアアアアアアッ‼︎セヤッ!』

 

「フォッ」

 

フーマの百烈脚からのストレートキックで、バルタン星人は勢いよく後方に吹っ飛ばされ、背中から倒れ込む。

バルタン星人を蹴り飛ばしたフーマは地上にカッコ良く着地。だがその時、胸のカラータイマーが青から赤に点滅を始めた。

 

フーマ『おっと、遊びが過ぎたみてぇだな…そろそろ決めにかかるぜ。まだいけるよな、宏高!』

宏高「ああ!」

 

インナースペース内の宏高は高速移動に振り回された為か少し息が上がっていたが、フーマの問いかけに力強く答える。

 

フーマ『さぁて、ここいらで幕引きにするか、ハサミ野郎』

 

そう言ってフーマはバルタン星人に向かって右手をパーにして突き出す。

それに対し、バルタン星人は左手のハサミを突き出して笑う。

 

フーマ『何笑ってんだよ?』

 

「フォッ⁉︎」

 

フーマ『これはジャンケンのパーじゃねぇぞ。お前はあと5手で終わりってことだ!』

 

フーマは目にも止まらぬ速さでバルタン星人の背後に回ると、回し蹴りでバルタン星人の足を掬い、そこから力強く蹴り飛ばし、上空に高く打ち上げる。

フーマも高く飛び上がると、タイガスパークから形成した光の手裏剣を投げつけ、バルタン星人を縦真っ二つに両断。

 

フーマ『デェヤッ!セヤッ!』

 

さらに空中で側転しながら、小さな手裏剣状の光弾『光波手裏剣』を、続けて後方転回しながら光波手裏剣を鋭利な刃状にした『斬波の型』を扇状に5本、寸断されたバルタン星人の半身にそれぞれ放つ。

そしてフーマが忍者の様に左腕を背中に回して地上に着地すると、バルタン星人は空中で大爆発。

 

フーマは宣言通り、5手で星人を撃破したのだった。

 

これに歩夢やせつ菜達は歓声を上げ、愛も安堵の表情を浮かべていた。

 

愛「終わったよ……アモルン」

アモル「はい……」

 

 

 

しかし、これで終わりではなかった。

フーマとバルタン星人の戦いを、面白がりながら見ていた者がいた。

 

霧崎 幽である。

 

霧崎はバルタン星人が倒されたのを見届けると、パーカーのフードを脱ぎ、首にかけている円形のペンダント『ヒディア・プラズマー』を取り出して、精神を集中。

紫色に点滅するペンダントから溢れるドス黒いオーラに包まれ、ダークキラーヒディアスへと姿を変えた。

 

フーマは腕を高く振り上げて空を目指し飛び去ろうとした……その時だった。

 

フーマ『セイヤッチ!……うおっ⁉︎ウアアアッ‼︎』

 

何者かに真上から左胸辺りを蹴られ、地上に強く叩きつけられるフーマ。

 

フーマ『痛ってぇ……ッ⁉︎てめぇ、ヒディアス‼︎』

 

フーマを急襲したのは、ダークキラーヒディアスだった。

 

ヒディアス「やあO-50。大気圏に落ちた時は、真っ先に炭になっていたんじゃなかったか?」

フーマ『んだとぉ!』

 

ヒディアスの挑発にカッとなったフーマは、形振り構わずヒディアスに挑みかかる。

 

タイタス『落ち着けフーマ!奴のペースに乗せられているぞ!』

 

タイタスが諌めるもフーマは完全に頭に血が上っており、聞く耳を持たない。

スピーディーな格闘戦を繰り広げながら、さらにフーマを煽るヒディアス。

 

ヒディアス「フフ、忍者の真似事では僕は倒せない」

フーマ『やってやろうじゃねぇか、てっめぇ‼︎』

 

フーマの回し蹴りを回避し、距離を取るヒディアス。

 

フーマ『喰らえっ!極星光波手裏剣(きょくせいこうはしゅりけん)‼︎』

 

両手で円を描くようにタイガスパークにエネルギーをチャージし、黄金色の手裏剣型のエネルギー弾を飛ばす『極星光波手裏剣』をヒディアスに放つ。

先程バルタン星人を真っ二つにした、フーマの得意技だ。

光の手裏剣がヒディアス目掛けて飛んでいき、やがて命中、爆発する。

 

だがヒディアスは空中に逃れており、そのまま紫色のオーラと共に消えた。

 

ヒディアス「惜しい。フッフフフ……」

フーマ『待ちやがれ!』

タイガ『もう止せフーマ!これ以上は宏高が保たない!』

フーマ『クッ……!』

 

ようやく全てが終わり、変身解除した宏高だったが、彼の頭の中はだいぶカオスな事になっていた。

 

タイタス『まったくフーマ、『あん?』君は短気が過ぎる。もう少し落ち着いて行動してもらわんと』

フーマ『再会早々お説教はないぜ旦那。モタモタしてっと敵の方からトンズラされちまうだろ?』

タイタス『しかしだな……』

タイガ『お前らいっぺんに喋るな!宏高がパニックになってるだろ!』

宏高「分からん…こうなるともう何が何やら……」

 

さらにこの後、同好会の皆でランニングをしたのだが、宏高は先程の戦闘で体力を使ってしまったらしく、途中からヘトヘトだったという……

 

 

────────────────────

 

 

愛「どうしても行っちゃうの?」

 

夕暮れ時、愛は地球を去ろうとしていたアモルの元に居た。

 

アモル「はい。この星の人達には、大きな迷惑をかけてしまいましたから」

愛「アモルンの所為じゃないよ!悪いのは───」

アモル「分かっています。ですが私はバルタン星人。あんな事があった後では、こんな私でも受け入れてはもらえないでしょう」

 

アモルの言葉に悲しげな表情を浮かべる愛。

こんな時に慰めの言葉も思いつかない。

 

アモル「私達はこれからも旅を続けます。問題は山積みですが、あなたのおかげで希望が持てました。本当に感謝しています」

 

そう告げて、円盤に乗り込もうとするアモルだったが……

 

愛「待って‼︎」

アモル「……?」

愛「忘れないで……アモルンはこれからもずっと、愛トモだからっ‼︎」

アモル「───っ!……ありがとう……」

 

愛の方に振り向き、嬉し涙を浮かべながら微笑むアモル。

やがて円盤から光が照射され、アモルを包み込む。

 

アモル「さよなら……」

 

本来のバルタン星人としての姿に戻りながら、アモルは円盤へと吸い込まれ、お台場の街を飛び去って行った。

それを無言で見つめる愛の元に、宏高がやってきた。

 

宏高「あの人は行っちゃったのか」

愛「うん。……ねぇ、宏高?」

宏高「なに?」

愛「どうして人間も宇宙人も関係なく、皆仲良く出来ないんだろう?」

宏高「え…?」

愛「おばあちゃんもおねーちゃんも愛トモのみんなも、愛さんの周りは真っ直ぐな人ばかりだったから……今まで単に周りに恵まれてただけだったのかな……」

 

あの時、霧崎に言われた言葉が頭から離れず、複雑な心境を打ち明ける愛。

 

宏高「人とは違うものを見たらまず怖いと思ってしまうのは、ある意味人間の本能なのかもしれない。でも、気持ちが通じ合えば、生まれとか育ちとか全然関係ないと思うんだ」

愛「あ……」

 

愛は思い出す。この街で知り合ったたくさんの人達、そして学園の友人達の笑顔を。

 

宏高「誰に何を言われたかは知らないけどさ、愛の気持ちはちゃんと届いていたはずだよ」

愛「……うん、そうだね。ありがと、ひろ」

宏高「よかった、いつもの愛に戻って」

 

夕陽の中で笑い合う、宏高と愛だった。

 

 

────────────────────

 

 

後日。

 

部室にてそれは突然始まった。

 

愛「歩夢!サイコーに可愛いね!高2だけに!走るのってランランするよね!ランだけに!」

宏高「………?」

愛「次は同好会で、どうこう行こうかい‼︎」

宏高「あの〜……これって?」

 

椅子にポツンと座る宏高に、愛が駄洒落を聞かせているという世にも珍妙な光景。

愛の駄洒落もそうだが、それに対して微妙な反応を示す宏高に唖然としながら、せつ菜は真顔で言う。

 

せつ菜「いまいちウケてないみたいですね……」

 

それに歩夢が言う。

 

歩夢「宏くん、昔のコント番組とかでは大笑いするんだけどね……笑いのレベルが独特なところがあるから」

タイガ『何だこれ?』

タイタス『ほう、駄洒落か……』

 

これにはウルトラマン達も呆気にとられていた。

ただ一人を除いて……

 

フーマ『プッ…!ククッ…!』

 

フーマは何やら必死に力んで噴き出さないように堪えている様子だった。

 

タイガ『どうした、フーマ?』

フーマ『……あ?別にどうもしねぇけど』

 

適当に誤魔化すフーマ。そしてかすみが愛に訊ねる。

 

かすみ「何でいきなり駄洒落を?」

愛「スクールアイドルの特訓だよ!」

 

いきなり何が始まったのかと思えば、まさかの特訓の一環だった。

そんなありふれた何気ない日常にエマは「フフッ♪」と笑うが、すぐに曇った顔を浮かべて空を見上げた。

 

 

────────────────────

 

 

その頃、朝香果林は学生寮にある自分の部屋で椅子に座り、机に頬杖を突きながら考え事をしていた。

 

それは、スクールアイドル同好会の事。

親友のエマから相談を受けたのをきっかけに、何度も関わってきた。

けれど……

 

 

『力になれることあるかしら?』

 

『たまたま同好会に親友がいてね。何で生徒会長が正体を隠してスクールアイドルをやっていたのか、興味があるんだけど……』

 

『私はエマの悲しむ顔が見たくなかっただけよ』

 

 

そう、すべてはエマのため。スクールアイドルに興味があるからじゃない。

はずなのに……

 

果林は一つ溜息をつくと、机に置いてあるアイドル雑誌を見つめながら自身に問うように呟いた。

 

果林「どうしたいのかしら……私」

 

 

続く。




今回も読んで頂きありがとうございました!

愛さんの駄洒落ですが、あれ?フーマ、もしかしてウケてる?
フーマのリアクションは、某バルカンをイメージしています(笑)

そして完全オリジナルのシーンとして、ラストに果林の心の葛藤を描きました。
エマが空を見上げる場面から繋がるようにしましたが、いかがでしたでしょうか?


次回 第6話「キミとキモチ重ねて」

タイガ『宏高急げ、変身だ!』


お楽しみに。


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