ウルトラマンタイガ 〜NEW BUDDY, NEW RAINBOW!〜 作:門矢零
連載開始から今日でちょうど6ヶ月になりました。いや〜、なんかあっという間ですねぇ……
ちなみに今回のサブタイトルは、電撃G'sマガジンの果林&エマ特集のキャッチコピーが元になっています。
それとスクスタの新しいしずくのURが……尊すぎてヤベーイ!
というわけで第6話、エマ回スタートです。
それではどうぞ!
それは遡ること1ヶ月ほど前の、春先の季節。
スーツケースのキャスターをゴロゴロ転がして荷物を引き摺り、虹ヶ咲学園に編入してきた一人の女子高生がいた。
彼女の名は『エマ・ヴェルデ』。
風に飛ばされそうになる帽子を押さえて、彼女は自らが通う学園を見上げる。
立派な門構えに目を細め、少女は遠い故郷からわざわざ一人でこの日本にやってきた目的に想いを馳せる。
(どこまでも広がっている、スカイブルーの空!眩しすぎて見えなかった……!アイドルになった私に、どんな事が出来るのか!)
エマはスクールアイドルに憧れていた。
憧れた結果、自らもスクールアイドルになりたい一心でこの日本に来日し、これから待ち受ける未来に期待を膨らます。
エマ「………」
いつまでもここに突っ立ってる訳にもいかないので、エマは先ず辺りに人がいないかキョロキョロと見回し確認。
次いでその場に座り込み、肩に提げたバッグから案内書を取り出そうとするが、中々見つからない。
エマ「え〜っと、学生寮の地図ぅ……」
「どうかした?」
涼やかで大人っぽい女性の声が、エマの耳に入った。
エマがそちらを見上げると、そこには濃紺の髪をウルフカットに整えた、色気のある女子高生がいた。
エマは一瞬見惚れるも、女子高生が着ている制服が虹ヶ咲のものだと判断すると、直ぐ様起立して訊ねる。
エマ「あ、あの!虹ヶ咲学園の人ですか?」
これが、エマ・ヴェルデと朝香果林の出会いである。
────────────────────
時は少し経ち、場所は変わって虹ヶ咲学園のカフェスペース。
その角の隅っこの席に朝香果林は座っていた。
まるで自分の殻に閉じ籠るように。
そこへ、
「この前はありがとう♪」
つい最近聞いた声がお礼の言葉と共に降りかかる。
果林「あっ……あら……」
目の前にいたのは、エマだった。
両手には昼食が乗ったお盆を持っている。
続けて果林に訊ねるエマ。
エマ「一人?」
果林「ええ。騒がしいのは苦手なの」
エマ「そっかぁ。ウフフッ♪良かったら、一緒に食べてもいい?」
果林「……好きにしたら?」
するとエマは見るからに嬉しそうに笑い、果林の前に座った。
しかし。
果林「お……えっ?」
テーブルに置かれた彼女の昼食に果林は目を剥いた。
虹と書かれた丼に大盛で盛られたご飯、そして卵一個、醤油、水だけと随分質素なメニュー。
疑問符を頭に浮かべて絶句する果林を他所に、エマは笑顔で言う。
エマ「これ、スイスにいた時からず〜っと憧れてたのぉ‼︎」
そしてエマは生卵を手に取り、丼の縁にコッコッと軽くぶつけて罅を入れると、半分に割って白米に落とし、醤油をかける。
箸でぐちゃぐちゃに混ぜると、
エマ「あ〜むっ」
一気に口にかき込んだ。
エマ「う〜〜ん♪ボーノ♪」
満ち足りるような幸せな笑顔を浮かべ、感想を漏らすエマ。
それに果林は思わず可笑しそうに笑った。
果林「うっふふっ‼︎それを食べる為にわざわざ日本へ?」
エマ「えっ?ううん!そうじゃなくて‼︎」
果林「冗談よ」
エマ「なぁんだ〜。フフフッ♪」
どこまでも純粋なエマに果林はこの子はからかい甲斐がありそうだと確信する中、エマは日本に来た理由を話す。
エマ「私ね、スクールアイドルになりたくて日本に来たの」
果林「スクールアイドル?」
果林が聞き返すと、エマは祈るように両手を組み、瞑目して言った。
エマ「小さい頃、日本のアイドルの動画を見て、心がポカポカってなった事があったの。だから私も、そんな事が出来るアイドルになれたらっと思って」
果林「それで日本まで?フフッ♪やるじゃない!」
自分の夢を叶える為に、憧れの地に降り立ち、憧れを叶える。
そんな事を実際に行動に起こせる人物はそうはいない。それをやってのけたエマの意志の強さを、果林は素直に尊敬し賞賛した。
エマ「えっへへ♪」
嬉しそうに笑うエマ。
するとそこに2人の一年生らしき女子生徒が、恐る恐る果林に声をかけた。
「あの〜?朝香果林さんですか?」
果林「えっ?ええ……」
果林が戸惑い気味に答えると、2人の一年生は顔を見合わせて「わぁ……‼︎」と喜びを露にした。
女子生徒1「私達、雑誌でよく見てて!」
女子生徒2「ファンなんです‼︎」
果林「ありがと」
女子生徒1「これからも頑張ってください!」
応援のコメントを届けた2人は果林に一礼すると、興奮冷めやらぬ内に去っていく。
それをにこやかに見送る果林に、エマが不思議そうに訊ねた。
エマ「モデル…してるの?」
果林「ええ。読者モデルだけどね」
エマ「すごーい‼︎」
果林「アイドルだって凄いじゃない♪お互い頑張りましょ?」
それにエマはパァッと顔を輝かせ、「うん‼︎」と喜び全面に頷いた。
────────────────────
それからまた少し時が過ぎ、現在。
虹ヶ咲学園のカフェスペースにて、エマ・ヴェルデは昼食を摂っていた。
エマ「はむ!はむ!」
左手におにぎり、右手にフランスパンを持って、どちらにもがっつくように口に運んでいく。
エマ「どっちもボーノ!」
そしてこの幸せそうな笑顔。正しく幸福の絶頂と呼べる表情だ。
その様子を目の前に座る朝香果林は微笑ましいものを見るような表情で見守り、クスリと笑って言った。
果林「フフッ。相変わらず食べるわね、エマ」
エマ「だって美味しいんだもぉん!ウフフッ♪」
もう既にカフェスペースでは定位置となったこの隅っこの席に、座る席の順番。
出会ったあの時から続いてるこの何気ない習慣に果林はちょっとした郷愁に浸りつつ、エマに訊ねた。
果林「今日も……同好会?」
エマ「うん!メンバーも増えて、最近すっごく賑やかで。それにね、ソロアイドルをやろうってなってから、皆ますます張り切ってて!」
果林「そう」
どこか素っ気ない果林の相槌。
それにエマは気づかず、両手で頬杖をついてなんとなしに願望を口にした。
エマ「果林ちゃんも一緒にやれたら良いのになぁ〜」
果林「あ……」
僅かに声が上擦った。
しかしそれを誤魔化すように、果林は顔を窓に背けて言った。
果林「そういう賑やかなのは苦手って知ってるでしょ?」
エマ「そっかぁ……」
それなら仕方ないよね。
そう言いたそうなエマを置いて、果林はお盆を持って席を立った。
果林「じゃあ私、そろそろ行くわね」
エマ「え?果林ちゃん……?」
強引に話を切り上げて去り行く友人の背中に、エマは奇妙な違和感を覚えた。
自分を突き放すような冷たさ……その裏にはどこか寂しさも感じられた。
続く。
果たして果林の本心は……
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