ウルトラマンタイガ 〜NEW BUDDY, NEW RAINBOW!〜 作:門矢零
あの展開だと、また後半辺りに来てくれるんですかね?
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それではどうぞ!
現在同好会のメンバーは、個人のPVにおけるイメージを捻り出す為の会議をしていた。
かすみ「お2人はこんな所でしょうか?」
彼方先パイ 愛先パイ
・パジャマ ・ダジャレ
・子守唄 ・スポーツ
と書かれたホワイトボードを背後にかすみが言う。
ボードの『先輩』の部分が『先パイ』になっているのは、これを書いたかすみがあまり漢字が得意ではないからだろうか。
同じくホワイトボードの前に陣取るせつ菜がエマに訊ねる。
せつ菜「エマさんはPVのイメージってありますか?目指すアイドル像とか?」
エマ「私ね、人の心をポカポカさせちゃうようなアイドルになりたいって思ってて!」
朗らかな笑顔で答えるエマに宏高が「エマさんらしいかも」と賛同する。
エマ「でも、それがどんなアイドルなのかよく分からなくて……」
ポカポカというワードを口に出すのは簡単だ。
だがしかしそれをイメージして表現しようとすると、途端に頭を悩ませるほど難しくなる。
璃奈と愛が顔を見合わせて言う。
璃奈「心をポカポカ……」
愛「それって、どんなイメージかな?」
それを皮切りにどんどん意見が挙がっていく。
彼方「彼方ちゃんは枕とお布団だなぁ〜」
しずく「泣ける小説でしょうか?例えば、子犬と女の子が」
かすみ「かすみん特製コッペパンに決まってます!」
せつ菜「断然アニメです!」
歩夢「私はぬいぐるみ……かな?」
愛「お婆ちゃんのぬか漬け!」
宏高「特撮で決まりだろ!」
タイタス『ウルトラマッスルだ!』
フーマ『それもうポカポカ通り越して“暑苦しい”だぜ⁉︎』
苛烈する論争。
だが、宏高(とタイタス)まで言い終えたところで愛と璃奈、歩夢と宏高、エマと彼方がそれぞれ顔を見合わせ、同時に声を漏らす。
『ぁ……』
それにせつ菜が思わず笑い出しながら言う。
せつ菜「ウフフッ♪やっぱり私達バラバラですね」
それに同意するように宏高と歩夢も言う。
宏高「エマさんのイメージが大事かも」
歩夢「そうだね」
と言っても、やはりまだそのイメージが定まらない。
しずくは悩む素振りを見せて言う。
しずく「ん〜……演劇だったら、衣装を着るとイメージ湧いたりするんですけどね」
エマ「あっ…それなら……」
しずくの助言に反応したエマは、ある人物に電話した。
その相手は果林だった。
果林「え?衣装?」
────────────────────
エマが果林に電話をかけて数分後。
スクールアイドル同好会は、果林の案内で服飾同好会の部室にやってきた。
色とりどり、様々な種類の大量の衣装に女子陣は全員「わぁ〜‼︎」と歓喜の声を上げる。
そして早速物色し始め、宏高は遠くからこの様子を眺めている。
女子メンバーがエマに似合う衣装を和気藹々と話しながら物色する中、せつ菜は服飾同好会の部長の両手を取り礼を述べていた。
せつ菜「本当にありがとうございます‼︎」
服飾部長「い、いえ……!」
彼女もせつ菜のファンなのか、若干歓喜気味に声が上擦っていた。
彼方がエマの連絡を受けてここに案内してくれた果林に言う。
彼方「流石果林ちゃ〜ん。こんな同好会にツテがあるなんて〜」
果林「偶々クラスに部員の子が居ただけよ」
そう何ともないように告げる果林。
一方最初に着る衣装を決めて、試着室に入ったエマに愛は訊ねる。
愛「どう?エマっち!」
エマ「うん!ぴったり!」
その声の直後、試着室のカーテンが開き、ロングスカートのメイド服を着たエマが姿を現した。
それと同時に、宏高が様子を見に試着室の前にやって来る。
宏高「どんな感じ?」
その着こなしはあまりにも自然で、エマの雰囲気もあってか、ご奉仕精神旺盛な甘やかしメイドという背景をヒシヒシと感じ取れる。
これには宏高と愛が声を揃えて「おぉ〜‼︎」とどよめく。単純に似合い過ぎる事に感心したのだろう。
折角なのでエマはメイドの代表台詞を言ってみる。
エマ「お嬢様、ご主人様。お帰りなさいませ……なんてぇ」
しかし途中で少し恥ずかしくなったのか、俯き加減にはにかむ。
だがそれすらエマの魅力になるのだから、思わずかすみは悔しそうに唸る。
かすみ「ぐぬぬぅ……!可愛いぃ……!」
エマ「他にも試してみても良い?」
エマがそう訊ねると、宏高が「勿論!」と答えた。
そこから、エマは和を感じる為に浴衣を着たり、応援する気持ちを感じる為にチアガール衣装を着たり、果ては楽しさのあまりかクマの着ぐるみまで着てしまう。
エマ「がおーん!クマ・ヴェルデだよ?食べちゃうぞ〜!」
そう言ったエマに『なんか趣旨ズレてね?』とツッコむフーマに宏高は苦笑し、かすみは「これも衣装⁉︎」と怪訝そうに、しずくが「ですね」と肯定する。
エマはフフッと微笑んで、ふと思う。
(心をポカポカにするって、こういう感じなのかな?)
自分が目指すアイドル像。それは人の心をポカポカさせるスクールアイドル。
まだまだ曖昧で形は掴めないが、それでもほんのちょっとだけ、彼女はその欠片に手が触れた。
そこに果林が緑色の服を見せながらエマに言う。
果林「ねぇ、こっちはどうかしら?エマに似合うと思うんだけど」
愛「おっ、流石現役モデル!センス良い〜!」
すると宏高がエマに提案する。
宏高「そうだエマさん!次の衣装に着替える前に、皆で写真撮りませんか?」
エマ「良いよ!」
エマが了承すると、そこに歩夢とせつ菜も加わろうとする。
歩夢「だったら私も一緒に!」
せつ菜「私も!」
璃奈がスマホをカメラモードにして、良いポジションに設置する。
愛「じゃあこの辺にりなりーに入ってもらおう!」
璃奈「うん……分かった」
そしていざ集まって集合写真が撮られるその寸前、エマはふと思い立ったように端で見守る果林に言った。
エマ「あ……ねぇ!果林ちゃんも一緒に入ろう!」
果林「え?……私はいいわよ……」
果林はやんわり断るが、それでもエマは折れずに誘う。
エマ「え?一緒に撮ろうよぉ!」
果林「……」
それに果林はどこか陰のある顔でエマから目を逸らす。その時、ピロンピロンと軽快な音がした。
それは果林のスマホの着信音だった。
果林「ぁ……」
果林はスマホを取り出して画面を確認すると、「悪いけど行くわね」とだけ告げて去っていった。
エマ「果林ちゃん……?」
果林「インタビューですか?………はい。分かりました」
かかってきた電話はモデルの仕事依頼だった。果林は部室の外で応対し通話を終えると、先程まで居た服飾同好会の扉の方に振り向く。
その表情はどこか寂しそうにも見えるものだった。
続く。
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