ウルトラマンタイガ 〜NEW BUDDY, NEW RAINBOW!〜   作:門矢零

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お待たせしすぎて申し訳ございません!

またかなりの期間が空き、思った以上に長文になってしまいましたが、これにて第6話ラストです。

それではどうぞ!




キミとキモチ重ねて#7

宏高の機転と3人のウルトラマンの連携により、毒炎怪獣キラーセグメゲルの脅威は去った。

 

そして現在、日本科学未来館内にある巨大な地球儀のディスプレイ『ジオ・コスモス』の前に、エマと果林の姿はあった。

 

果林「ねぇ、さっきは私に何て言おうとしてたの?」

 

キラーセグメゲルが現れる直前から気になっていた事を訊ねる果林に、エマは鞄から1枚の紙を取り出し渡した。

 

エマ「果林ちゃん」

果林「ん?」

 

それはアンケート用紙だった。

果林がスクールアイドル雑誌に挟んで誤魔化し、そのままエマに持っていかれた経緯を持つアンケート用紙。

 

エマ「これ、果林ちゃんのでしょ?貰った雑誌に挟まってたの。それって、本当の気持ち?」

 

果林は沈んだ表情で用紙を受け取り折り畳むが、エマの問いかけで「え?」と虚を突かれた。

 

エマ「一番興味があるのがスクールアイドルって」

果林「……それは……」

 

エマは見てしまったのだ。

果林が用紙に書いてしまった本音を。

言葉を詰まらせる果林に、エマは悲痛な顔を浮かべて追及するように言った。

 

エマ「どうして言ってくれなかったの⁉︎私には興味の無いフリをして……ずっと……自分の心を仕舞い込んで……」

果林「…………」

 

俯いたまま無言の果林。

エマは責めてる訳ではないのだが、ここまでの経緯上、果林にとってはそう感じてしまう。

エマは悲しかった。

親友から何も相談されなかった事、素直に自分の気持ちを打ち明けてもらえなかった事が。

 

エマ「前に言ったの、覚えてる?」

果林「?」

エマ「私、見てくれた人の心をポカポカにするアイドルになりたいって。でも、私は一番近くに居る果林ちゃんの心も温めてあげられてなかった……そんな私が、誰かの心を変えるなんて、無理なのかもしれないけど……」

果林「エマ……」

 

哀しそうな顔で心情を吐露するエマの言葉に顔を上げる果林。

 

エマ「果林ちゃんの笑顔、久し振りに見たよ!私、もっと果林ちゃんに笑っててほしい!もっともっと、果林ちゃんの事知りたい‼︎」

果林「……」

 

包み隠さない真っ直ぐな気持ちをぶつけるエマに、果林は観念したようにぽつりぽつりと、心の奥底に閉じ込めていた思いを語り出した。

 

果林「エマの為に、同好会の事を手伝うようになって。そしたら……楽しかった」

エマ「っ⁉︎」

 

息を呑むエマを尻目に、果林は遠ざかるように歩いて話す。

 

果林「皆で一つの事に向かって、悩んだり、言い合いしたり、笑ったり。下らないと思ってずっと遠ざけてきた事が、全部……楽しかった。でも私は……朝香果林はそんなキャラじゃない」

 

戒めるように、己を律するように果林はそう言った。

 

果林「クールで格好付けて、大人振って……それが私なの。なのに今更……」

 

果林は心の何処かで恐れていたのかもしれない。

自分のイメージが崩れてしまうのではないか、モデルとしての自分を知り、応援してくれている人達から幻滅されてしまうのではないかと。

その所為で大切な友人であるエマにも冷たく当たってしまった。

 

果林「分かったでしょ?悪かったのは私。エマのせいじゃない。エマならきっと皆の心を……」

 

エマに対する後ろめたさ故か、未だ素直になれない。

そんな不器用で心が冷たくなってしまった果林を温めるように、エマは背後からそっと抱き締めた。

 

果林「あ……?」

エマ「良いんだよ、果林ちゃん。どんな果林ちゃんでも、笑顔で居られれば、それが1番だよ」

 

あらゆる果林を肯定し、受け入れるその言葉は、自然と果林の氷の心を解かしていく。

 

エマ「だから、きっと大丈夫」

果林「……」

 

その様子を、戦いを終えて地上に戻ってきていた宏高が物陰から見守っていた。

腕を組み、壁に背中を預けながら微笑ましそうに。

 

やがてエマは果林から離れ、少しばかり名残惜しそうに振り返った彼女に母性を感じさせる微笑みを向けた。

 

エマ「もっと果林ちゃんの気持ち、聞かせて?」

 

そしてエマは果林の全体像がよく見える位置まで離れ、手を差し出すと、

 

エマ「私に!」

 

その歌声を響かせた。

 

(♪:La Bella Patria)

 

 

 

 

 

それは以前、果林がエマのために選んでいた衣装と初めて果林に出会った時に被っていた帽子を纏って歌うエマと、たった一人の観客である果林の二人だけの世界。

透き通るようなエマの歌声は、果林の心に確かな変化をもたらした。

 

やがてエマは歌い終わり、真っ直ぐ果林を見る。

お互いの視線が交錯する中、最初に口を開いたのは果林だった。

 

果林「スクールアイドル……出来るかしら?私に」

 

未知の体験に及び腰になる果林に、エマは言う。

 

エマ「やりたいと思った時から、きっともう始まってるんだと思う!」

果林「っ……!」

 

その言葉に背中を押された果林は「うん」と頷くと、フフッと晴れ晴れとした笑顔を浮かべた。

 

「歓迎します」

 

果林「…?」

 

ふと声がした方から、宏高がやって来た。

 

エマ「宏高くん!」

果林「貴方…っ⁉︎」

 

思わぬ人物が現れたことに驚きを隠せない2人。

 

エマ「どうしてここに⁉︎」

宏高「すいません、心配になって飛び出して来ちゃいました」

 

頭を掻きながら苦笑する宏高。

 

宏高「2人とも無事で、本当に良かったです」

果林「…どこから聞いてたの?」

宏高「…えっと、同好会を手伝ってたら楽しかったって辺りから……」

 

つまりエマに抱き締められる所も見られたことになる。

果林は赤面しながら宏高から視線を逸らした。

 

宏高「どうです?楽しそうでしょう?スクールアイドル」

果林「……そうね。もう見てるだけじゃ物足りなくなってきたわ」

 

再び宏高と向き合って答える果林。

既に彼女の心は決まっていた。

 

 

────────────────────

 

 

そして後日、同好会の部室では……

 

かすみ「えええぇぇぇぇ⁉︎果林先輩もスクールアイドルにぃ⁉︎」

 

開幕早々、かすみの驚愕の声が響き渡っていた。

その理由は、全員が集まってる所にエマが果林を伴って入室、メンバーが何事かと思ってる中で、果林が入部表明したためである。

エマと彼方が嬉しそうに言う。

 

エマ「うん!果林ちゃんが居れば、もっともっと楽しくなるよ!」

彼方「だね〜」

 

部室の机の上でくつろぐフーマと胡座をかくタイガも、

 

フーマ『まさかあの姉ちゃんも仲間入りするとはな』

タイガ『ますます賑やかになりそうだな!』

 

せつ菜が歓迎する。

 

せつ菜「ようこそ!スクールアイドル同好会へ!」

果林「ありがと」

 

果林がそう言うと、かすみが腹黒い笑みを浮かべて果林を挑発する。

 

かすみ「でもぉ、モデルもやってるのに、同好会に入って大丈夫ですかぁ?」

 

それに対して果林は、大人の余裕を以って返す。

 

果林「ええ。モデルでもスクールアイドルでも、トップを取ってみせるわ」

かすみ「うぐっ⁉︎」

 

目論見が外れた事で呻くかすみ。

そこでパソコンを眺めていた璃奈が言う。

 

璃奈「あ……!エマさんのPV、再生数もコメントも、凄い伸びてる」

 

それにエマが手を合わせて喜び、宏高と彼の肩の上でスクワットをしているタイタスが言う。

 

エマ「本当⁉︎」

宏高「凄いです!エマさん!」

エマ「スイスの家族からも電話があってね!凄い喜んでくれてたの!」

タイタス『大成功だな!』

 

そこで果林が「当然よ」と不敵に呟き、そのままエマの肩に肘を乗せて続けた。

 

果林「私が撮ったんだもの」

エマ「果林ちゃんのは私が撮るね?」

果林「ええ。お願いねエマ」

エマ「うん!」

 

この日、同好会に新たな仲間が増えた。

一方、パソコンの前に座る璃奈は何か含みのある無表情で画面を眺めていた。

それに愛が目敏く気付き、璃奈に訊ねる。

 

愛「ん?どうしたん、りなりー?」

璃奈「あ…………何でもない」

 

一瞬、言おうかどうか迷ったが、結局口を閉ざす事にした璃奈。

今回の一件で心に変化があったのは何も果林だけではない。

ここにも一人、確かに変わろうとしている者がいた。

 

 

 

 

 

宏高「そういえばさ」

 

宏高が唐突に口を開き、率直な疑問を発した。

 

宏高「この新しいスクールアイドル同好会の部長って、結局誰なの?」

 

「「「「あっ……………」」」」

 

その言葉に固まる一同。

 

愛「たしかに……」

彼方「今まで考えてなかったね〜」

 

その時、せつ菜が話を切り出した。

 

せつ菜「その事で、皆さんにお話があります」

 

そして宏高に向き合うと、こう告げた。

 

せつ菜「虹野宏高さん。私たち、スクールアイドル同好会の部長になってくれませんか?」

 

…………………………えっ?

 

数秒の沈黙。

聞き間違いか?と思いながら目をぱちくりさせた後、自分を指差しながら驚きの声を上げた。

 

宏高「俺が部長ぉぉぉぉ⁉︎

 

 

愛と璃奈が同好会に入って間もない頃、せつ菜とかすみがソロ活動について話し合っていた時まで遡る。

 

かすみ「宏高先輩を部長に……ですか?」

せつ菜「はい。最初の頃は、私が自分の好きって気持ちを無理に共有させてしまったせいで、あんな事になってしまいました」

かすみ「………」

せつ菜「でもあの人なら……宏高さんならきっと、私たちそれぞれの“大好き”を、受け止めてくれるはずです」

かすみ「ぁ……」

 

『自分なりの一番をそれぞれ叶えるやり方って、きっとあると思うんだ』

 

『なりたいものは違うけど、目指すものは同じかも…ってね』

 

かつて宏高に言われた言葉を思い出すかすみ。

 

かすみ「……いいと思います!宏高先輩に、もっと可愛いかすみんを見てもらいたいです!」

せつ菜「フフッ、では決まりですね♪」

 

 

そして現在。

 

せつ菜「どう思いますか?皆さん」

歩夢「宏くんが部長……私もいいと思う!」

彼方「同好会唯一の男の子……彼方ちゃんもいいと思うなぁ〜」

しずく「異議なしですね♪」

宏高「い、いや、でも……っ」

 

タイガ『いいじゃんか、やれるだけやってみろよ!』

タイタス『君の発想力のおかげで、我々はセグメゲルに勝つことが出来た。君ほど相応しい部長はいないだろう!』

フーマ『悪くないと思うぜ?』

 

宏高「(タイガ達まで……)皆がそこまで言うなら、いっちょやってやりますか‼︎」

 

トライスクワッドからも背中を押され、ついに折れた宏高。

 

果林「これからよろしくね、部長さん♪」

エマ「よろしくね〜」

愛「よろしく!ぶちょー」

璃奈「よろしく」

 

こうしてスクールアイドル同好会は、新たなスタートを切った。

 

 

続く。




オレが部長でウルトラマン

今回もありがとうございます!
第5話でせつ菜がかすみに言っていた「提案」というのは、宏高をスクールアイドル同好会の部長に推薦することでした。
アニメ版では結局部長が誰なのかはっきりしていなかった為、スクスタ同様、「あなた」に相当する宏高が部長になる展開にしました。
あと軽いネタバレですが、これ以降かすみは同好会の副部長を自称するようになります笑

次回は璃奈回の前にもう1話、オリジナルエピソードを挟みます。
この回のメインはせつ菜になる予定です。


次回 第7話「怪しすぎる隣人」

???「ライオンは生きる為に全力で兎を倒すものさ」


お楽しみに。


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