ウルトラマンタイガ 〜NEW BUDDY, NEW RAINBOW!〜 作:門矢零
大変長らくお待たせいたしました。
第8話、璃奈回スタートです。
アニガサキ2期もかなり盛り上がってますが、もうすぐ配信が始まる『ウルトラギャラクシーファイト 運命の衝突』の方もめちゃくちゃ楽しみです。
それではどうぞ。
それは春、満開の桜が咲き誇っていた季節の出来事。
新入生達は高校以前からの仲や、気が合う者同士、またはその両方で新旧のグループを作り、浅くも深い親交を深めていた。
しかし中には、誰とも趣味が合わなかったり、なかなか声をかけられずに孤立してしまう者もいる。
天王寺璃奈という少女もその一人だった。
「ねぇねぇ!帰り、どっか寄ってかない?」
「あっ!じゃあ私、ゲーセン行きたい!」
その日もいつも通りの放課後を迎え、真っ直ぐ帰宅する為に机の上で鞄に荷物を纏めていた璃奈。
すると不意に、教室の片隅からそんな会話が聞こえてきた。
璃奈「ん?」
気になる璃奈はそちらに無表情の顔を向け、会話の主である三人の女子生徒を視界に入れる。
黒髪で眼鏡の色葉、右の髪を括った茶髪のサイドテールの今日子、そして黄土色のロングヘアで長身の浅希だ。
色葉「え〜、ゲーセン?」
今日子「欲しいぬいぐるみあるんだよ〜」
色葉&浅希「フフッ」
色葉「いいよ。行こっ」
今日子「アハハッ、やった!」
色葉「超久しぶりに行くなぁ」
仲睦まじいその様子を見つめる璃奈の表情は変わらず無だったが、どことなく羨ましいという色が浮き出ていた。
璃奈「ゲーセン……」
ポツリと呟く。
璃奈自身は騒がしいのが苦手とか、人と繋がる事が嫌とか、孤高でいたい訳じゃない。
むしろその逆で、多くの人と繋がりたいと思っているし、友人を作って楽しく騒ぎたいと思っている。
だがどんなに楽しくても表情が変わらない彼女に親しい友人というものはなかなか作れず、結局はいつも諦めていた。
だからといって、ぼっちのままで終わるつもりは更々ない。
今日子「ぬいぐるみ取る!」
色葉「何が欲しいの?」
今日子「え〜とね、くまちゃんが欲しい」
意を決した璃奈は椅子から立ち上がり、スクールバッグを持つと色葉達に話しかける。
璃奈「あ……あの!」
浅希「ん?」
無表情で俯く璃奈の心は今、とてつもない緊張でドキドキしていた。
(喋らなきゃ……!)
彼女達はゲームセンターに行くと言っていた。
好都合な事にパーカーのポケットにはゲームセンターで使える割引券が入っている。
これを仲良くなれる好機と捉え、璃奈は無意識にポケット内の割引券に手を伸ばす。
しかし、自分を変えるというのは、簡単なことではない。
璃奈「あっ……」
璃奈は人見知りだ。
それが祟って、口は僅かに動くものの、肝心の言葉が出てこない。
振り絞った小さな勇気がポキリと折れていく。
やがて璃奈は逃げるように彼女達に背を向けた。
その様子に「ん?」と怪訝そうに首を傾げる浅希達に向かって、どこか寂しさを感じられそうな無表情を向けて彼女は言う。
璃奈「何でもない……」
そしてそのまま廊下に出ていき、仲の良い友人達と話す生徒達にチラチラ羨ましそうな視線を向けつつ、その隙間を縫うように早足で抜けていく。
(思いを伝えることって、難しい……)
そして校舎の外に出ると、隣の窓ガラスに映る自分の姿を見つめる。
窓ガラスに映る璃奈の表情は、やはり無表情。
その事実が、更に璃奈の心に追い打ちをかける。
(私の場合は特にそう……)
璃奈は口が映ってる所に人差し指でカーブを描く。
そうすると、ガラスの虚像だけを見れば、璃奈が笑っているように見える。
それは璃奈が一番望む願望だった。
(『友達になりたい』……そんな一言を言うのにも、ハードルがある)
彼女はポケットからアトラクションパーク『東京ジョイポリス』の割引券を出した。
最早璃奈にとっては何の意味もなくなった紙切れ。
それに璃奈の寂しさと未練が乗った力が加わって、僅かに皺が寄る。
やはり自分には無理なのか。
諦めきれない、だけど諦めるしかない。そんな身の丈に合わない願い。
このまま三年間、友人が誰一人としていない高校生活を送るのだろう……
そんな悲しい覚悟を受け入れようとしたその時……
「ど〜したの?フフッ」
横から声がかかった。
そちらを向けば、一人の女子生徒がいた。
金髪のセミショートヘアを位置が高めのポニーテールにしている、自分よりも背の高い少女、宮下愛。
襟元の赤いリボン、つまり上の学年である愛に、璃奈は見上げつつ内心萎縮してしまう。
(上級生……怖い……)
愛「怖くないよ〜」
璃奈「あ…」
璃奈は愛の言葉に奇妙な引っ掛かりを覚えた。
今の自分はデフォルトの無表情なのに、何故この人は自分が怖がってると分かったのだろうか?
璃奈が疑問を口にする前に、愛が言った。
愛「何か君、元気なさそうだったからさ〜」
璃奈「え?」
ただの当てずっぽう、本能的直感だった。
だが璃奈はどこか嬉しかった。
傍から見れば何を考えてるか分からない、1ミリも表情が変わらない自分の事を、ちゃんと理解してくれるかもしれない人物がようやく現れたのだから。
愛「あっ、ジョイポリの割引券じゃ〜ん!ここって楽しいよね!」
しかし聞かれた途端、璃奈は頭を下げて割引券を愛に差し出した。
愛「え?」
璃奈「お友達と行って下さい」
もしここで遊びに誘えていたら、また違ったルートになっていたかもしれない。
璃奈はつくづく自分の人見知りを呪った。
そして愛から返ってきた答えは、
愛「あ〜……じゃあ、一緒に行こっか!」
意外にも、璃奈を誘う言葉だった。
璃奈「…え?」
愛は思わず固まる璃奈の手を取ると、
愛「ほら!レッツゴー!」
笑顔で前方を指差しながら璃奈の手を引いて、東京ジョイポリスへと向かった。
(初めて、人とつながることができた)
これが璃奈と愛の出会い。
この日をきっかけに、璃奈の日常は一変した。
常に彼女の近くには愛がいた。
休み時間は勿論、放課後も、遊ぶ時も。
時は流れ、優木せつ菜のライブに胸打たれた璃奈は、愛と共にスクールアイドル同好会に入り、そこでの新たな出会いを経て、今に至っている。
(そして今の私は、もっとたくさんの人達とつながりたいと思っている。今からでも……変われるんだ!)
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そして現在。
愛「りなりー!来る!」
璃奈「分かってる!」
顔の上半分を覆う巨大なゴーグルを頭に装着した愛と璃奈が、ショットガンを構える。
2人の眼前からは、無数の雛鳥に似た灰色のモンスターが迫ってきていた。
ショットガンを連射し、弾切れになれば即座にリロードして再度連射。移動も駆使しつつモンスターを撃破していく。
一方その頃……
宏高「うわああぁぁああぁっ⁉︎」
宏高が悲鳴を上げていた。
宏高「ヤバいヤバいヤバい!挟まれたんだけどぉ‼︎」
どうやらモンスター達の挟み撃ちに遭ってしまったようだ。
宏高も必死に迎撃しているが、このままでは危ない。
歩夢「今行くよ!宏くん!」
歩夢は銃撃しつつ宏高の元へと急ぐ。
璃奈「すぐ救援に向かう!」
それに続くように、璃奈は遮蔽物を利用しながら、愛は銃撃しながら正面突破で宏高の援護に向かう。
愛「愛さんに任せなさ〜い‼︎」
愛、璃奈、宏高、歩夢の4人は一体何をしているのかと言うと……
東京ジョイポリス内にある、VRを使ったシューティングゲームアトラクションで遊んでいた。
続く。
読んで頂きありがとうございました!
今回はここまでとなります。冒頭の場面だけで、これだけ長い文章になるとは……
またここから頑張って書き進めていきますので、続きを楽しみにしていてください。
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